どっちのおっぱい飲みたいの?
「今何つった?」
「んー? あはははっ!」
「キキキキキキッ!」
いやいや、笑うな! お前らはいちいちの笑ってないと会話できんのかっ!
「もう1回ちゃんと言ってみろ、聞き間違えたかもしれないからな……」
いや、寧ろ聞き間違えであってくれ。
「もう1回?」
「キィ?」
「そう。もう1回」
んー、と少し考えて、ユィが再び元気いっぱいに、
「じゃあ、セプトのおっぱい飲む?」
「飲むかぁぁぁぁぁぁあああああッ!!!」
はぁ…はぁ…ぜぇ…ぜぇ…。
また少し、山へ行った疲れがぶり返してきた気がする。
「お前、ユィ! いきなりなんだ! お前はそういうネタとは無縁だと思ってたのにっ! いったいどういうつもりでそんな事言ったんだ!」
ユィは一瞬キョトン?
としてから、またセプトと顔を合わせて爆笑しだした。
いやいや、笑えねぇって!
「ごめんねー、お連れ様ってモウモウミルク嫌いだったの?」
……モウモウミルク?
「あっ、ユィ知ってるよ! “あれるぎい”ってやつでしょ! セプト、“あれるぎい”! あはははっ!」
「“キキキキキ”! “キキキキキ”! “キキキキキー”!」
あれるぎい……アレルギー?
もしかして、牛乳アレルギーの事を言っているのか?
「ま、まてまて、モウモウミルクって、家畜から搾ったミルクの事か?」
「ん? そーだよー! あはははっ!」
「け、けどさっきユィの……その……」
その先のワードは、ちょっと口に出すのは恥ずかしかった。
「うん! 時間的に、ユィとセプトのお乳が一杯になる頃だから、とれたてのモウモウミルク、お連れ様にも飲んでもらいたいと思ったの!」
あっ、もしかして私はとんでも無く恥ずかしい勘違いをしてしまったのではないのか?
「い、一応聞くが、そのユィとセプトっていうのは……」
「えー、さっきも言ったよー? モウモウウシさんたちには、私たちと同じ名前つけてるんだよ!」
・・・。
「セプト、お連れ様、ボーッとしてたから聞いてなかったみたいだよ?」
「キキキィ?」
いや、セプト。そこは笑ってくれ。お願いだからいつものように笑ってくれ!!!
「わ、わかった。私はアレルギーなんかじゃない! 話も分かった! うん。わかった、ようやく分かった……」
「じゃぁ、ユィとセプト、どっちのおっぱい飲みたい?」
「キィ?」
うっ……
分かってはいるが、なんか勘違いさせる言い方だな……
「ユーィ? セープト? どっちーのおっぱーい飲〜みたいの♪ あはははっ!」
「キキキキキキキキキキ!」
「あーもう! おっぱいおっぱいうるせぇ! どっちでもいいから適当にやってくれ!」
「あはははははははははっ!」
「キキキキキキキキキキっ!」
恥ずかしい勘違いをしてしまった私だが、相手がこの天真爛漫ピュアゴブリン達で助かった。
こ、これからは人の話だけでなく、ゴブリンの話もよく聞くことにしよう。




