ドゥとディスが乱入しました。
「こんちには、ドゥ、ディス。
ってか、なんでそんなに葉っぱまみれなんだ?」
「あぁ、これですかっ!
さっきまで山でフルーツやら木の実やらの採集に出掛けていたもので、あっはっはっは」
照れ笑いも爽やかに、ドゥは白い歯をキラリと輝かせて笑った。
「キキキ、キィキキキィキーキキ〜」
「そうか! ならアンにケーキのデコレーションは全面的に任せたよ!」
さっきドゥが言っていた、十字架建設隊が第2フロアへ行くらしいから、景気付けに夕食会で巨大ケーキでも作ろうという計画。
巨大ケーキというのも気になるが、私が注目したのはそこではない。
「なぁ、十字架建設隊って何なんだ? 第2フロアで人間を貼り付けにした木の棒をいくつか見かけたんだが、あれを作りに行く部隊のことか?」
むむっ、とドゥたちの視線が私に集まる。
「その通りです。 半年前から設置された部隊でして、これは狂人の神を沈める儀式なんだとか」
「半年前!?」
「えぇ、半年前にこの迷宮に狂人の神が現れまして、その神の命でゴブリン一族は十字架を建設しているのですよ」
半年前に狂人の神が現れただと……!?
半年前と言えば、チュチュたちロリっ子がリヒトの雷鳥で迷宮に飛ばされた時期と一致する。
ここが木魔法の迷宮であることを考えると……
その狂人の神というのはチュチュたち8人姉妹の6女、メンヘラ僕っ子のシヴァだろう。
「狂人の神はなんで十字架建設を命じたんだ?」
「あの日以前、この迷宮は緑豊かで平和な迷宮でした」
それは、第1フロアの番人フェルから聞いていた。
「ですが、狂人の神が舞い降りたことにより、土地は荒れ、緑が枯れて生き物の心は荒み、とうとうヘルガーデンと呼ばれるまで落ちてしまったのです」
ん?
そこ、私の知っている話とちょっと違うな。
迷宮が荒れたのはフェルの妹、ルーシーが先祖の犯した罪を背負わされ、罰として第1フロアから出ないというのを破ったからだと聞いている。
「このままでは迷宮が死んでしまう。そこで、父上はこれだけは勘弁してほしいと、狂人の神に救いを乞いました。
それで、狂人の神が命じたのが十字架建設だったんですよ」




