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化学者の定番、爆発っ!


 アンの香水セラーを一人見物して回っていると、ゴブリンたちの9番目、緑色ゴブリンことナフに出くわした。

 引っ込み思案で人見知りなナフは、突然私が来たことに驚いてさっきまでやっていた事を中断。

 香水セラーの物陰に隠れてしまう。


 私が気を遣ってUターンしようとした時、ナフの足元にほっぽり出されたソレらが爆発した。


 「うわっ!」

 「キィッ!」


 だが、それは小規模なものだった。

 ちょっと火花が散って煙に巻かれた程度。

 この広い香水部屋の片隅で起きた小さな出来事は、入口付近にいるチュチュたちの気に留める材料には不足だろうという程。


 その煙が肺に入った私とナフは、ケホケホと二人してむせている。


 一通り、肺に入った煙を追い出した後、私は何が起こったのか状況を確認した。


 ナフの足元には、めのー乳鉢と乳棒、丸底フラスコに、コニカルビーカー、ナスフラスコ、ろ紙に珪藻土に、アルコールランプ、ピペットにと、化学室で見たことのある実験器具のオンパレードだった。


 そして、そのパレードの舞台中央に、色とりどりの試験管が十本、試験官立てに立てかけられて並んでいた。


 そして、その色とりどりの液体からはこれまたカラフルな煙がモクモクと上がっている。


 つまり、アニメや何かでよく見る、“色々混ぜちゃって大〜失敗! 爆発するからみんな逃げて!”

 っていうお約束のアレだ。


 「キキ……」


 重い足を一歩一歩、その試験官たちへと進めるナフ。


 そこで私はハッとなる。

 やばい、泣かれる!!!


 女の涙に弱いを変な意味じゃなくて、本当に弱い……というか生理的に受け付けません! な私の目の前でこの年長くらいの大人しゴブリンに泣き叫ばれてみろ!

 どうなるか言うまでもない!

 どうしようもないのだッ!


 きたる衝撃波に耐えるべく、その場にかがんで両耳を覆う! これしかないッ!



 


 …………あれ?


 そっと両手の平を耳から外してみる。

 特に耳障りな音は聞こえない。

 私の予想に反して、ナフは大泣きしなかったのだ。


 そしてそのナフはどうしているかというと……


 「キキキッ!キッキー!キッキー!」


 カラフルな10色の試験管を前に瞳を潤ませておお喜びしていると……


 「ギャーーーッ! やめろっ! いきなりなんだなんだ!?」


 ととととっと、私の脚に抱きついて頬ずりしてきたのだ!


 その叫び声は爆発音より大きかったらしく、私が喚いているうにチュチュとアンが、なんとも駆けつけたというにはトロトロとしてやって来た。



そろそろテスト週間入るので、更新遅れるかもしれません!(仁娯は書き溜めも、プロットも、この先どうするかも一切決めてないので笑…)

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