サンクにお任せ♪
サンクは早速、チュチュの脚のサイズを測りだした。
モノサシやメジャーを当てたり、型紙をとったりしてペタペタチュチュの脚に触りまくるもんだから、チュチュは時折くすぐったそうに身をよじらせている。
「それで一体、サンクは何を作るっていうんだ?」
「さぁー」
「さぁ!?」
注文をしてくれたのはトロワじゃないのか!!?
カトロは喋った感じはしなかったし、……そーいやぁトロワも具体的な注文をしていた所なんて見なかった……
「けどまぁ、サンクは天才だから」
そう言ってケラケラ笑っている。
私は呆れてものも言えない。
「キッキー!」
と、ここで測定が終わったのか、サンクがチュチュを解放した。
「キィキキィキキキキキキキキッキキキキ」
「えっと……なんて?」
ドヤ顔のサンクだったが、生憎私はゴブ語が分からない。
鑑定をオンにしているチュチュに翻訳を頼む。
「夕方までにできるって」
「なにが?」
しかしと言うか、やはりと言うか、チュチュはコテンッと首を傾けるだけだった。
「あぁ、まぁいい。とりあえず何だかわかんねぇが、頼んだぜサンク大博士」
任せとけ! と言わんばかりにサンクは自慢のツインテールを揺らしながら、ダンメムシの虫レンズを装着した。
サンクの工場をあとにして、私たちは再び森で稽古を再開した。
私は引き続きクワをトロワに振り回し続けるという、シールダーの稽古とは思えない猛稽古。
壊れ物のチュチュはあの振り回される謎の稽古は置いといて、精神集中の座禅を行っていた。
だが、気が乱れた時に「喝ッ!」と、叩かれる棒は、カトロがチュチュの脆さを理解したためか、チュチュの気が乱れる度、一喝の代わりにチュチュの肩に花を置いていった。
日が暮れ、汗びっしょりになった私は地面に倒れ込み、筋肉痛で一歩も動けなくなっていた。
「よし、今日はここまでにしやすか。お疲れさん」
「お、おぅ……」
返事をするのもやっとだ。
まじでキチィー。
ってか、このクワを振り回す稽古って意味あんのか?
私ってシールダーだよね? えっ、シールダーだよね!?
「カトロー、そろそろメシa……ブフォッ!」
と、トロワがいきなり吹いた。
何事かと思い、私もカトロたちの方へ痛む肩に鞭打って首を向けると、
「ブフォッ!!」
ッテテテテテテ……!
き、筋肉痛がぁッ……!
しかし、これが笑わずにいられるかってんだ。
困った顔を作るカトロも、よくよく見ると笑いを堪えている。
そこには、座禅を組み、ムスッと笑われたことに対してほっぺたを膨らませるチュチュの姿。
しかし、その姿は間抜けで、両肩と頭に風に揺れてビヨンビヨン揺れている大量の花だらけになっていた。
その中の1つがチュチュの鼻をかすめ、そして、
「へっくちっ!」
この1打でチュチュに乗っていた花は1つ残らずずり落ちたのだった。




