ファーストキスはココアフロートの味がした。
キスの刺激が強いようです。
苦手な方はご注意下さい。
私の抵抗虚しく、チュチュが私の口を口で塞いできた。
チュチュの長いまつ毛が私のまつ毛と触れ合うほど近い。
私は思わず目を瞑ってしまった。
「はむっ……」
わざわざ口に出して言わなくてもいいのに、チュチュは“はむっ”とか、“プイッ”とか、口に出して言うくせがある。
唇が柔らかくて温かなものに包み込まれる。
チュチュが私の上下の唇を挟むようにしてくわえてきた。
冷たい水色の見た目からは想像もつかない、痺れるような熱さを唇越しに伝えてくる。
チュチュが私の唇の間を舌で突くと、まるで体中に電撃が流れるような感覚がする。
私の体はガチガチに硬直し、敏感になっていることがわかる。
チュチュの手が、私の脇腹に回されると、ビクッと腰が浮いた。
私は私と戦っていた。
自分の女化を食止めたい気持ちの私が勝つか、
それとも女嫌いとしてのプライドを持つ私が勝つか。
「チュチュま……んあっ……!」
うわっ、何だ今の声…!
私から発した声なのか!?
ぎゃぁぁぁあ!不覚っ!一生の不覚!
私は自分の声に驚いて目を開くと、チュチュと目があった。
こんなにも熱いキスなのに、瞳はどこまでも深く冷たい湖のようだった。
……んちゅっ…………ちゅぱっ、んちゅっちゅっ……
その落差が私には恐ろしく思えた。
冷たく熱く、甘く辛く、優しく痛く……
「も、もういい!もう充分だ!」
私はチュチュを跳ね除けた。
唾液の残る唇を腕で拭う。
藁の散らばった床に転がるチュチュ。
最っ低〜!なんて言われても気にしない。
ああ、最低でケッコーケッコーコケコッコー!
あの鬼死女神に何を指示されたか知らねえが、いきなりキスしてきたコイツが悪い!
私はそう思うことにした。
むくりと上半身を起こしたチュチュが上目遣いで私を見てくる。
な、なんだよ。
なんか文句あるのかよ……
「キス、初めてした?」
「……っ!?」
何を言うかと思えば!
まあ、図星なのだが。
「うるせえ、寝る!」
そう言って私は逃げるように藁の上に顔を伏せた。
藁のニオイがダイレクトに鼻を突くが、そんなことは気にならなかった。




