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サイドテールリリス。


 チュチュが私の手を引いて、ドレッサーの前に座らせる。

 ドレッサーの鏡に、こうして真正面から自分の姿を写したことなんてない私は、なんだか不思議な感じがした。


 似た感じで、美容院で髪を切ってもらう時に鏡の前に座らされるが、それともまた少し違う、なんともソワソワした気分になった。


 ドレッサーに置いてあったコームをチュチュは手に取り、私の髪に挿した。


 だが、予想以上に髪が絡まっていたのか、コームを元の位置にもどして手櫛から始める。


 コレーのせいとは言ったものの、私はこれまでこの長い髪を一度も解かしたことはなかった。

 一応、ゴブリン屋敷の風呂場でワシャワシャとシャンプーもコンディショナーもしたが、それくらいだ。

 絡まるのも無理はない。



 「イテッ! ちょっ、引っ張ってる引っ張ってる!」


 手櫛で絡まっている髪の毛を解いていくのだが、なかなか私の髪の毛の絡まりは手強いらしい。

 チュチュが悪戦苦闘しながらダマになってしまっている髪の束を少しずつほぐす。


 そしてようやく手櫛が通るようになり、やっとコームを手に取った。

 今度こそ髪にコームを挿す。


 今度はさっきよりずっとマシに髪を解かせた。

 まだ所々ひっかかり、その度に私は痛い痛いと小言を言い続けたが、チュチュは気にせずに上から下へコームを滑らせていく。


 

 そして、遂に私のピンク色の髪の毛が流れるように、玉一つ無くサラサラになった。


 「ふぅー、女ってのは毎日こんな痛い思いと時間をかけて髪を解いているのか?

 まったく気が知らねぇぜ」


 「リリスが毎日解かないから」


 「だいたいよ、なんで女は髪を伸ばしたがるんだ?

 シャンプーは減るし、クシを通すのもひと苦労だってのによ」


 すると、チュチュはおもむろに自分のツインテールを1束手にとり、片方のリボンを解いた。


 かろうじて水色に色付いた、透けそうなほど細い髪がフワッと舞う。


 さっきまでその髪を纏めていた、これまた細いリボンを口に咥え、空いた両手で私の髪を束ねだす。


 されるがままに髪を束ねられ、リボンをキュッと結ばれると、サイドテールの完成だ。


 「おぅ、これなら無駄に広がって邪魔になったりしねぇな。

 けど……」


 私のサイドテールを作るために、チュチュのツインテールが崩れてしまった。

 ドレッサーの鏡に、片側だけ結われ、もう片側がおろされたという、ちょっと間抜けなヘアスタイルとなってしまったチュチュが映っていた。


 「よし、代われチュチュ」


 私はドレッサーに対峙する椅子を引くと、くるっと方向転換。

 代わりチュチュを座らせた。


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