チュチュの過去〜第3幕(賢く。美しく。進化を。源を。命を。)
リヒトの言葉には007も逆らわない。
リヒトの傍らを離れ、場所をあける。
「001……」
「リヒト……」
「お前は賢く……生きられる子だ……知恵があり、姉妹たちを守ってくれる優しさもある……私はお前に……何度も助けられた……そんなお前の名前……アーティだ……」
リヒトは名前を与え、呼んだ。
アーティは受け取ったばかりの自分の名前を噛みしめるようにつぶやいた。
「確かに受け取った。
リヒト、私はリヒトから様々なことを学んだ。
リヒトは私たちの親だ。
私はリヒトの子であることを誇りに思う。
ありがとう、リヒト」
そして次に青紫色のロリ。
溢れでる魔力が虹色に放射されていた。
「002……」
「ここにおるぞ……」
「お前は美しいもの……美しいことが好きだったな……それはお前の個性だ……大切にしろよ……」
「あぁ。
リヒト、そなたは美しい。
我はそなたが大好きであるぞ」
「ありがとう……ライア」
「ライア、良き名だ。
大切にさせてもらうぞ、リヒト」
次は泣きじゃくりながらも、ライアに促され、003がリヒトの手を握る。
「泣くな泣くな……」
リヒトは涙で濡れるロリをなだめるかのように優しく笑う。
「リ、リヒトォ……」
ロリは大粒の涙をポロポロ零しながら、しゃっくりをあげている。
「お前はとても人間らしい……そして、毎日違った顔を見せる……これからも進歩し続けろ……」
「うん、リ、リヒトがいたからっ……ヒクッ……が、頑張ってこれたんだよぅ」
「これからは私だけじゃない……だから、大丈夫だ……アネス」
「う、うんっ。
リ、リヒト……わ、わたし頑張るよ……」
次は泣きそうな顔を必死にこらえ、明るい笑顔を見せようとしている水色に黄色のグラデーションの髪を持つロリ。
「やぁ、やっとうちの番かぁ」
「待たせたな……お前はこんな時でも明るいやつだ……」
リヒトも思わず声を漏らして笑う。
「それがうちやからなぁ」
「そうだ、それがお前……私と、みんなの元気の源……これからもそうあってくれ……レア」
「レアか。ええ名前やなぁ。
任せといて、リヒたん」
次は様々な青を詰め込んだかのようなロリ。
「005……」
「あらー?
わたしにもー、お名前をくださるのでしょう?」
おっとりとした高い声で気丈に振る舞うが、やはりリヒトの手を握る小さな手は震えていた。
「ああ……その前に……お前は外の世界に憧れを持っていたのに……ずっと閉じ込めてごめんな……」
「それはいいのですわ。
だってあなたは、私たちを檻から連れ出してくれたんですもの」
「ありがとう……自由なお前がもっと自由に生きるに相応しい名前を……パナ」
「リヒトが考えたにしては随分と可愛らしいお名前ですねー。
とても気にいりましたわ。
また、自由な世界でお会いしましょうー」
次は青緑色のロリ。
「ごめんねリヒト、ボク……ごめんねリヒトごめんね、ごめんね……」
「シヴァ」
「?」
「お前の……名前だ。
私に……謝るよりいい言葉を知ってるだろ?……お前が……命を大切にできる子だから……大丈夫だ、分かってる……」
「うん、ありがとう、リヒト。
ボク、名前シヴァ、ありがとう」
「よし……いい子だ……」
リヒトは震える手でシヴァの頭を撫でた。