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攻めの剣と受けの盾


次は冒険者職業を決めるパターンだな。


 「それと、スキルについても説明しておきます」


 おっと、

 まだスキルがあったか。


 「スキルは、一定のLVと一定の学習があることで習得可能となります。

 リリスさんの場合、LV1のスキルで既に学習済の、“器用”が習得可能です。

 あれ?既に1つ習得していますね……“バスト(AAA)”?」


 あ、そこは言及しないでください。

 あの鬼死女神の仕業なので。


 「とりあえず、この冒険者カードの“器用”をタップすると、器用が習得できます。習得しておきますか?」


 「あ、はい……お願いします」


 職員さんの完璧な営業スマイルが苦笑いに……

 まぁ、そうなるわな。

 なんかだんだん、申し訳なくすらなってきた。


 「チュチュさんも……鑑定(3)が既に習得済みですね……こんな事は初めてです」


 でしょうねぇ。

 だって両方あの鬼死女神の気まぐれだもの。


 職員さんは首をひねっているけど、どうにも説明できないし。

 ごめんよー。けど、悪いのはあの鬼死女神だからー。


 「と、取り敢えず、この下の“このスキルを習得しますか?”から、『真顔』と『攻めの姿勢(1)』が習得できます。

 この、(1)というのはスキルレベルで、このスキルを使うほど熟練度が上がり、スキルレベルが上がります。

 スキルレベルが一定に達すると、より良いスキルにバージョンアップしますので頑張ってたくさん使ってくださいね」


 うん。スキルレベルについては感覚的に分かっていた。

 主に危機感という感覚だがな。

 チュチュの『攻めの姿勢(1)』は絶対にスキルレベルを上げさせないし、その前に習得を阻止すr……


 「おい!チュチュ、何してんだ!」


 首傾けて、ん?

 って顔してんじゃねーよ!


 黙ってポチポチすんな!

 気がつけなかったじゃねーか!

 何勝手に『攻めの姿勢(1)』を習得してくれちゃってるんだよ!


 ……終わった。

 私の安全賢者ルートがたった今、塞がれた……


 「で……では、これを踏まえてリリスさんとチュチュさんの冒険者としての職業を決めていきたいと思います」


 死んだ魚の目をした私と目を合わさないようにしながら職員さんが冒険者職業一覧表らしきものをさし出してきた。



〜選択フリー職業〜

《剣士》:剣を使う職業。

《魔術剣士》:魔術を施した剣を使う職業。

《魔法剣士》:剣に魔法を込めて使う職業。

《魔術士》:魔術を使う職業。

《魔法使い》:魔法を使う職業。

《弓使い》:弓を使う職業。

《魔術弓使い》:魔術を施した弓と矢を使う職業。

《魔法弓使い》:弓矢に魔法を込めて使う職業。

《盗賊》:盗みを働く。

《シールダー》:盾使い。

《魔術シールダー》:魔術を施した盾を使う職業。

《魔法シールダー》:魔法を込めて盾を使う職業。

《暗殺者》:敵を暗殺する。


〜LV100以上選択職業〜

《騎士》:馬に乗った剣士。

《聖職者》:神の力で浄化を行ったりする職業。


〜見習いスタート職業〜

《魔術学者》:魔術の研究を行う。

《魔法学者》:魔法の研究を行う。

 


 

 おぉ、これが冒険者職業か。


 ……うん。説明書きが雑だ。

 だが、まぁいいだろう。


 「お2人はLV1ですので、〜選択フリー職業〜か、~見習いスタート職業~の中からお選びください」


 うーん、どれにしようかなぁ。

 私は魔力少ないけど、せっかく魔法がある世界に来たんだから、魔術とか魔法を使いたい。

 系統が、火と闇だから……

 

 「魔法剣士で」


 ……

 なにぃ!?


 「おいチュチュ、お前、体力とか筋力とか低いだろ!

 剣なんて振るえるのか?

 それにせっかく大量に魔力あるんたから、魔法を使いまくえる魔法使いになれよ!」


 「魔法剣士で」


 うぉぉぉお!


 「なんで言うこと聞かねぇんだよ!」


 「プイッ」


 プイッ

 っじゃねぇ!


 「あぁもういいよっ、好きにしろよ!」


 チュチュが前衛攻撃系の魔法剣士なら、私はそれをサポートする感じの冒険者職業を選ばねばなるまい。

 

 だが、チュチュだけ前衛で攻撃させるのは不安だ。

 となると、前衛で剣士をサポートしながら攻撃にも加担できる職業……


 「リリス」


 「なんだよ。いま冒険者職業を何にするか考えて……」


 チュチュが冒険者職業一覧表の《シールダー》を指でノックしていた。


 「シールダーですね。前衛で盾を使って敵の攻撃をガードしたり、盾に魔術を施したり魔力を込めたりすれば攻撃なども可能で、最近、冒険者職業として人気が高まってきているんですよ」


 ほほ〜。

 それはいいかもしれない。

 いや、いいな。

 よし。


 「じゃあ私は、シールダーで」


 「はい、かしこまりました」


 シールダーかぁ。

 物防高いし、うん。意外と向いている職業かもしれないな!

 冒険者職業が決まったら、なんかやる気でてきたー!


「お疲れ様でした、これで冒険者登録は以上になります。

 晴れてお2人は、この始まりの街と呼ばれる街、“デビュール”の冒険者となりました。

 これから色々な壁や困難がお2人を待ち受けることでしょう。

 そんな時はぜひ冒険者ギルドを頼ってみてくださいね。

 これからよろしくお願いします」


 よーし、これで私も立派な冒険者だ!

 やってやるぜ。

 私はシールダーとして迷宮ダンジョンを攻略しまくって、こんなことじゃ、私の女嫌いなんか治せないってあの鬼死女神に証明してやる!

 

 【ユリ・リリス】

 女 12歳

 LV1

 魔法適性:火・闇

 体力:58/58

 魔力:100/100

 筋力:35

 敏捷:128

 物防:78

 免疫:890

 魔耐:5

 幸運:1

 スキル:【『女嫌い』『バスト(AAA)』『器用』】

 このスキルを習得しますか?

 《女の敵》

チーム所持金:マイナス1000コレイ



【リップ・チュチュ】

 女 12歳

 LV1

 魔法適性:水・雷

 体力:22/22

 魔力:6890/6890

 筋力:5

 敏捷:100

 物防:14

 免疫:13

 魔耐:29

 幸運:30

 スキル:【『鑑定(3)』『真顔』『攻めの姿勢(1)』】

 このスキルを習得しますか?

《魔法力高めココアフロート系女子》

チーム所持金:マイナス1000コレイ

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