チュチュの過去〜第3幕(紺色のロリ)
そこからの映像は、特にこれと言った劇的な事は起きなかった。
ただピンクの騎士改め、リヒトが8人のロリたちと山小屋で暮らし、ロリたちは相変わらず魂の抜けたような、人形のような、人間味のなさ全開だったが、スラスラと言葉を覚えていった。
リヒトといえば、毎日手がかからないロリたちの世話に、教育に、内職にと忙しい日々を送っていながらもその表情は明るかった。
特に、ロリたちに言葉を教える時が1番いい顔をしていた。
乾いた砂が水を吸収していくようにロリたちが言葉を覚えていくのは、確かに面白いし、感動がある。
なんとも微笑ましいホームドラマでも見ているような気分だった。
「こいつら、なかなか物覚えがいいな。
チュチュも興味が出てきたのか、だんだんロリたちにピントが合うようn……!?!?」
映像のピントが合ってきて、私は目を疑った。
どうして気が付かなかったのか。
チュチュの焦点が合っていくに連れ、ロリたちの顔も見えるようになってきた。
だからこそ、私は彼女たちの表情の変化に気が付き、風呂のシーンでは目を背けてきた。
ロリたちは、みんな青系の髪色に、青系の目の色をしている事が分かった。
ひとりひとり、青緑、空色、青紫、青、青と赤のメッシュなどの髪色に違いがあるように、瞳の色も皆それぞれだった。
そして私はその中に彼を見つけてしまった。
いや、リヒトの言葉や風呂のシーンからして、……はっきりとは見たわけではないが、ぼんやりとだ。……私が彼だと思っていた人物は彼女に、訂正するべきである。
「まさか……嘘だろ?」
そして、私が認識してしまった彼女は、つまりチュチュの姉妹であるという事実に私は驚愕していた。
チュチュ含め、ロリ8人。
その中に映るひとりの、紺色のロリ。
陶器のように白く滑らかな肌。
黒に近い紺色の長い髪を、後ろでひとつに結っている。
大きな丸い瞳は、片方が前髪で隠れてしまっている。
間違いない。
この紺色のロリは、デビュールの村で私をゴリラ、キツ、ネブタの3トリオ誘拐犯から助け出してくれた勇者。
チャーミングすぎるダークエルフを連れに、私のドレインタッチの特訓をサポートしてくれた。
カレンに手を出すものは皆殺しの勢いで、静かなる恐怖を私にもたらした人物……
それが今、チュチュの過去で、ロリとして、リヒトに救い出された実験体として、王の実の娘であるチュチュの姉妹として、私の目の前に映像として映っていたのは、
──アーティだった。




