サボテンの花
サボテンの花
見たことのないその花に、わたしは心惹かれた。その花は何色で、そしてどのように咲くのかは分からないからだった。
わたしは想像で花を描いてみることにした。夏花をイメージ。色は青と緑の混色に赤のメッシュ。ずっしりと詰まった黄色の実。色とりどりの美しい花。バックに空を描いてみよう。青く澄んだ空と浮かぶ真っ白な入道雲。熱いくらいに明るく照らす太陽の光線。
見たことのないその花は、わたしの理想そのものだった。何も淀んではいない、誰が見ても美しいと思えるに違いないその花。そんな花はこの世にあるんだろうか。何もない平坦な大地に咲く一輪の花を見て、わたしはサボテンの花と名づけた。
サボテンの花 終