配達竜が運ぶもの(1)
同人誌『Lair Dragonizm 2』掲載作品の、加筆修正版です。
40字/行で表示して、60000字程度の小説。完結済みです。
ドラゴン好きによるドラゴン好きのための小説。
(※pixivにも投稿中)
季節は晩夏。人間にとって、暑さが和らいで過ごしやすくなり始める時期。
ラウの町は、特に大きくも小さくもない中規模の町である。
町の南西側にはなだらかな丘が続いており、春から夏にかけて、そこには多種多様な花が咲きほこる。その景色の美しさは、観光名所としても有名となっているほどで、ラウの町の売りでもある。
そんな花の丘も、晩夏になると咲く花も減り、寂寥感を漂わせはじめる。やがては花だけでなく草木の緑も色あせてゆき、秋の景色に、そして冬の景色になっていくことだろう。
昼。高く薄い雲が少しかかる程度の蒼空が清々しい。南天からの陽光は、まだ夏は終わってないと主張するかのように、大地に降り注ぐ。
青に白がまぶされただけの空。そこに、風を受けて滑空する巨大な黒い染みが1つ、丘を越えて現れた。
丘を越えてしまえば、ラウの町からでもその巨大な染みは視認できる。
町の住人の誰かが偶然、空にそれを発見したならば、適当な人間に情報が渡り、『それを出迎える準備』を整えることだろう。何度も繰り返されている事。
そんな町の状況を想像しながら、空の巨大な染みとなって飛翔する者──この世界の生態系の頂点に位置する者であり、翼を持つ巨大生物、竜──は、ラウの町を見下ろす。
(確か九回目になるか、この町は)
その巨竜は、眼下にあるラウの町を次の目的地としているが、すぐに降下しようとはしない。楕円を描くように、町の上空を旋回し続ける。
町の人間が己を受け入れる準備を整えるまでにかかる時間を、考慮しているためであった。
地上から見ると逆光の効果もあって、巨竜は黒い染みのように見える。しかし実際は土のような暗い褐色の鱗を全身に纏っていた。
町を見下ろすその両眼は、澄んだ黄金色。
犬よりもやや細長い鼻口部で、鋭い印象を与えるその頭部には、正面から見て左右に一本ずつ灰色の角が生えている。角の長さは非対称だった。一見して解るくらい、右側の角が短い。
巨竜は、その長い首の付け根に皮のベルトを巻いていた。そのベルトから繋がる大きい革袋を、胸元に垂らしている。
革袋の中には、手紙や荷物が詰まっている。巨竜が今俯瞰している視線の先にあるラウの町と、次に訪れるであろう他の町の人間に届けるためのものだ。
<配達竜>
人間たちが彼を呼ぶ一般的な愛称である。
配達竜と呼ばれる彼は、世界中の人間の町を訪れて回り、善意で人間の手紙や荷物を運んでいた。基本的に無報酬である。どのみち、人間の通貨などは、竜である彼が貰っても使い道が殆どない。
その代わり人間からしてみれば、彼が手紙や荷物を正しく送り先に届けるかは、彼の意志次第であり、保証などは無い。それでも今のところ配達竜は、全ての荷物を間違いなく届けているため、信用されているようだった。
発端となったのは、変わり者の人間が彼に手紙の配達を依頼した事だった。
(『移動のついで』で引き受けただけの事だったんだが、もう十年以上になるか。しかし人間たちも、あっさり信用するものだな……。さて──そろそろいいか)
滑空旋回すること5分ほど。褐色の竜は、ゆっくりと降下していった。
西の街門から伸びる、町と町を結ぶ一筋の道──人間たちの通商の生命線と言える大通り──の傍らに、人間その他が存在しないことを確認し、そこに降りることにする。
町の中にも降りられる場所があることにはあるのだが、『突然町中に巨大な竜が舞い降りてくる』という状況は、人間たちを非常に驚かせてしまう。悪い場合には、町中が恐慌状態に陥ったり、対空に使える武器で迎撃されたりもする。
実際、町中に降りようとして迎撃され、手傷を負いかけた経験もあったため、以後は町の外に降りてから町に入る事に決めている。
降下するにつれて、大地に落ちる竜の影が小さく、そして濃くなっていく。
やがて褐色の竜は、巨大な体躯を地に降ろした。
その強靱な四肢は大地を踏みしめ、彼の巨体を苦もなく支える。
竜のしなやかで長い尾が大地に垂らされる。横から見ると三角形の突起が、尾の上にいくつか並んでいる。
竜の見た目の大きさからすると、比較的小さい地響きが鳴った。着地の瞬間にタイミング良く翼を下に振ることで、衝撃が多少軽減されるのだ。
そして彼が巨大な両翼を畳むと、身体が一回り小さくなったように見える。とはいえ、ただじっと佇立しているだけでも人間に畏怖や感嘆を抱かせる威容を持つのが、竜という生き物だった。
町の西門の警備をしていたらしき守衛が二人、彼の方に駆け寄ってきた。どちらも大人で男性の人間に見える。
人間の性別を一見で見分けるのは竜である彼にとって容易ではない事だが、長く人間の街を回っていると、判断できるようになってきた。判断材料は、人間が身につける服飾品や体つき。また、声音の高さ、言葉遣いも良い判断材料になる。しかし、人間の幼い子供となると、未だに性別を判断するのが難しかった。
人間の一人は、しっかりと巨竜の黄金の瞳を見上げる。
「イムナストージャ=ブラオーン様、ラウの町へようこそ!」
名前と種族名を一切省略せずに正確に呼び、そして敬称まで付けて、頭を下げて挨拶する片方の人間。緊張はしているが、恐怖は抱いてないようにみえる。恐らく会うのが初めてではないのだろうが、イムナストージャ=ブラオーンと名を呼ばれた竜は、さすがにその人間の顔を覚えていない。
「イムナか配達竜とでも呼べばいい。『様』もいらん。自分でも長くて呼びにくい名だと思っているからな」
呆れたような、そしてぶっきらぼうな言葉ではある。だが低く響く巨竜の声は、人間の耳から入ると頭に畏怖を植え付けようとするかのような効果を産む。
言いながら、彼はもう一方の人間の様子を伺う。
声をかけてきた方の人間の後ろに隠れるようにして、怖々とした様子で竜の姿に視線を這わせている。初めて彼に会う人間──初めて竜を見る人間には、よくある反応の一つであった。
それも仕方がないと考える。四肢を地に着けて立っているだけでも、彼の背中の部分までの高さは、目の前にいるような男性の人間二人分近くはある。頭から尾の先までの長さは、五人分か六人分と言ったところだろうか。それだけ巨大に成長するのが竜である。
例えば、前足一本を重力に引かれるがままに振り下ろす、ただそれだけの動作で、一人の人間を叩きつぶして絶命に至らしめる事ができてしまう。
例えば、火炎の吐息を一吹きすれば、数人の人間を焼死体にできてしまう。
そのような生き物を初めて目の当たりにして、恐怖心も警戒心も抱かない人間のほうが、異常だ。
それゆえ、褐色の竜イムナストージャは、そんな反応をする人間を嘲ったり侮蔑することはしない。逆に、気を遣う事もしないのだが。
彼と視線が会ってしまったその人間は、己が見られている事に気づいて、慌てて目をそらした。
イムナストージャは、それも一般的な反応であるとして全く気にしない。
「そ、そうですか。では以後はイムナさん、と。──おい、おまえも挨拶くらいしろよ。なんだ、怖いのか?」
最初は竜に向かって愛想笑いを浮かべながら。後半は、自分の後ろに隠れる同僚に向かって、肩で小突きながら小声で言っていた。小馬鹿にするような態度だ。
その口調と態度からして、こちらは怯えている人間の先輩なのだろう。
怯えている人間は、なんとか竜の顔を見上げ──
「あ、あの、その。どどどどうも、こんにちは! ななな長旅でお疲れでしょうし、ぜぜ是非この町でまったりとゆっくりと羽を伸ばして、いや羽というか翼? でも翼を伸ばしてというのも変かもしれませんけどとにかく、存分に休んでいってくださいませっ!」
支離滅裂だった。
本人も何を言っているかよく分かっていないだろう。挨拶するように促した先輩のほうの人間は、さすがに肩を竦めて苦笑している。
「うむ。数日間世話になる。よろしく頼む」
イムナストージャは、人間の無様な様子に苦笑もしない。表情も変えず、ただ淡々と返事をする。愛想は全くない。しかし人間に対して無関心なわけでは無かった。その耳は人間の言葉をしっかり聞き、その瞳は人間を良く観察しているのだ。
「それでは、前にいらした時と同じ、公園の広場まで案内させてもらいますので、付いてきてくださいますか」
先輩のほうの人間は落ち着いた様子で言う。そして身振りで街門から町の中を示す。
「わかった」
イムナストージャは少しだけ頭部を下げて鷹揚に頷いてみせる。
そして先導する二人の人間に付いて、褐色の配達竜イムナはラウの町へと入っていく。
門から町に入って公園までの道中、イムナは人間の町をよく観察し、気になるものを見つけたら先導する守衛に訊ねたりしていた。
同じ人間でも、町によって文化や政治形態、生活慣習、建築様式、食物や服装の流行、子供の遊び方など、多くの違いがある。
竜族も、個々で違った生活をするが、主に単独で生きる孤高の存在であるため、社会単位・町単位で差異を見せる人間はやはり興味深い。
イムナは表情は変化させないが、町の観光を充分に楽しみながら、二人の守衛と共に大きな公園へと入っていった。野次馬の人間をたくさん引き連れて──
◆ ◆ ◆
少しだけ時はさかのぼり。
昼休み中の下級学校の教室。リオラ=フォーリーブは友達数人と集まって、昼食を済ませたところだった。
いつもなら昼食の後は、友達と喋ったり遊んだりして残りの昼休み時間を過ごすのだが、この日は独りで校舎の外に出た。
そして校舎の壁に背をもたれて腕を組み、考え込む。
(まさか、あたしから頼んでも駄目だとは思わなかったなあ……。世間体ってのは、大人にとってそんなに大切なものなのかっ!)
端整な顔立ちの少女で、少し大人びて見える。赤みがかった茶色の髪を持ち、短めに適当に切りそろえたような髪型にしていた。切れ長の眼は、少し攻撃的にも見える。
体格は特に目立つところも無く平均的だが、身体を動かす遊びが好きな事もあり、他の同級生よりも手足の筋肉などが引き締まってみえる。その見た目通り、身体能力は平均以上である。
動きやすい服が好きで、この日も膝までのズボンと長袖のシャツ一枚だった。
そんなリオラは、十二歳の誕生日を迎えてから、一ヶ月と少し経つ。
いつもは明るく快活であるため、このように独りで考え込んでいる姿を見た友達は皆、「らしくない」と言うだろう。
らしくないことはリオラ自身も自覚していたが、思いついた作戦を昨日実行して上手くいかなかったため、新たに別の作戦を思案中なのであった。
(この町の孤児院に入れてもらえないとなると……浮浪者? でも浮浪者になるのはちょっとヤだよなぁ。でもなんとかしてソフィニアの家から出て行かないと。世間体ってのが理由で断られたなら、他の人の家に居候するのも駄目よね。母さんと住んでた家には、もう戻れないし。うーん……)
まだ成長途上の頭脳を総動員して、良い作戦を考えようとするリオラ。しかし、何も閃かないまま、時間だけが刻々と過ぎてゆく。
と、校舎の前に広がる校庭で遊んでいた学生たちから、声があがった。
「おい、見ろよあれ!」「なに、どこ?」
「あそこ!」「ありゃなんだ?」
「あれ、〈配達竜〉じゃないの!?」「すげー、また来たんだ!」
生徒たちが上げる喚声。
声を聞いたリオラも、空の一点を指差す生徒たちの指先──その延長線上に視線を移していく。
薄い雲が少しかかっている青い空。そこに黒い染みが一つ動いていた。
あんなに巨大な鳥は存在しない。空を飛翔する巨大な生物というと、竜くらいものだ。リオラは竜の他にそんな生き物を知らない。そして竜であるのならば、この町にやってくるのは、お馴染みの〈配達竜〉に違いないだろう。
近くまで来ているため、けっこう大きく見える。逆光で黒く見えるが、実際は確か茶色の身体をしていると聞いたことがあった。
リオラ自身はまだ、近くで配達竜を見たことがない。
「今月か来月に来るかもっていう噂だったけど……。本当に来るなんて、律儀なもんだね。今回でもう九回目になるんだっけ?」
独り呟きながら、リオラも他の生徒と同様に、蒼空を優雅に旋回する〈配達竜〉を目で追っていた。
(あんな風に自由に飛べたらなあー)
それは、竜や鳥の飛翔する様子を見た人間の誰もが一度は夢想する、平凡な願望。
(そしたら、あたしも簡単に別の町に行って……別の町で暮らせたなら、ソフィニアにも、ソフィニアの家族にも迷惑をかけずに生活できるのになぁ。今のうっとうしい状態からも解放されるし──)
それは、普通の少女では考える事も無いような特殊な願望。
今のリオラは、特殊な環境に置かれていた。
五歳の時に父を亡くし、一年ほど前に母も亡くしたという事も原因ではある。だがその事よりも、一ヶ月前の<事件>が、彼女の境遇を更に追いつめていた。
(ん? まてよ。〈配達竜〉は、手紙とか荷物を持って、数日経ったらまたこの町を出て、別の町へ行くわけだ。それなら──)
それなら、配達竜に別の町まで連れて行ってはもらえないだろうか。
竜という生き物に対する畏怖などは、リオラの頭から吹き飛んだ。名案を思いついたと確信するリオラ。
「これならいけるかも……!」
新しい作戦を思いついた事で興奮し、口元が緩む。
ちょうどその時、昼休み終了を知らせる鐘が鳴った。
校庭でずっと配達竜を見上げていた生徒たちが、慌てて校舎に駆け入っていく。リオラもまた、その流れに混ざって校舎の中に戻る。
(午後の授業が終わったら、とりあえず〈配達竜〉のいる所に行ってみよっと!)
去年や、その前に町に来た時は、確か公園で過ごしていたと聞く。学校の生徒や教師に聞いて回れば、その場所などすぐに解るだろう。
教室に戻った時、新たに閃いた事もあってリオラは、明るい普段の顔に戻っていた。
そんな彼女が、そんな彼女だからこそ心の裡に押し込んでいるものを、知るものはまだ誰もいない。
◆ ◆ ◆
午後の授業が終わると、リオラはすぐに目的地にやってきた。
〈配達竜〉がいるという公園は、リオラも何度か来たことがある場所だった。学校や家からそんなに離れた場所ではなく、早足で二十分程かけて到着。
公園の敷地はけっこう広い。並木が綺麗に植えられていたり花壇や噴水があったりと、人々の目を楽しませてくれる。春から夏ならば、秋の今よりも綺麗な場所になる。また、子供が遊ぶための遊具が集まった一角や、軽食店・露店もある。
ポケットから懐中時計を取り出して見ると、午後四時半。六時までに帰らないと怒られてしまうため、帰りの時間を考えると、あまり余裕はない。
公園の中に入らずとも、多くの人々が集まっているのが外から見て取れた。人々の話し声も、混ざりあった大きい雑音となって聞こえてくる。
「まるでお祭り騒ぎだなあ、こりゃ」
人々の野次馬根性に呆れるリオラだったが、自身もまた<配達竜>に会いに来たのだから、似たようなものであると気づく。
公園の中に足を進めていくと、芝生地になっている広場に、巨大な竜と人々は居た。
〈配達竜〉を囲み、円を描くように人だかりができている。人だかりの中には、リオラの知っている近所の人なども確認できた。殆どが大人だ。念のためにぐるりと一周してみるが、ソフィニアの家族は来ていないようだった。リオラは胸をなで下ろす。
しかし竜はやはり大きい。今までに見たどの生き物よりも大きい。円を成す人だかりの後方からでも、竜の首の途中から、その上にある頭部までがよく見えた。
リオラはこの時、産まれて初めて自分の眼で竜を見たのだった。
褐色の鱗に覆われたその竜の威容。圧倒的な存在感。
友人たちの中では度胸がある方のリオラも、息を飲まずにはいられなかった。
でもそれは最初の数十秒だけで。
(近くで見ると大きいなー。さすが竜。でも怖いっていうより……なんだろ?)
恐怖はそれほど感じない。それは周りに沢山の人がいて賑やかだったからかもしれなかったが。
ただ、何か神々しいものを見ているような、素晴らしいものを見ているような。そんな感情がリオラの中を駆けめぐるのだった。
生態系の頂点に立つ存在。人間と同等かそれ以上の知性も持つ存在。
その竜の黄金色の瞳が、知的でありながらも強い生命力のような力を宿しているように見えて、リオラの目に焼き付いた。
〈配達竜〉は、取り巻き連中の前の方にいる人間の誰かと喋っているようだったが、辺りの喧騒に混じってしまって、話の内容は聞き取れない。
(って、わたしはただ〈配達竜〉を見るために来たんじゃなくてっ! とはいえ──これじゃあ、運んでもらえるかどうかって事の前に、こっそりお願いすることも、できそうにないよね……)
リオラは肩を落とした。またしても、良いアイデアだと思った作戦が上手くいかない。
この『ラウの町脱出計画』を他の誰かに聞かれたら、人づてにソフィニアの兄や両親に知られる事になる可能性が高い。ソフィニアの父が町の役所で働いているということもあって、彼ら一家は顔が広い。
つまり、秘密裏に〈配達竜〉に依頼することが必須の条件なのである。条件が満たされないならば、どうしようもない。
(深夜なら公園にも人がいなくなるかな……。ああでも、〈配達竜〉が人に危害を加えないって言っても、監視する人くらいは居てる可能性が高いかなぁ。それに、深夜に気づかれないように家を抜け出すのも難しいし。ああああぁーー、だめだだめだだめだっ!)
リオラは頭を抱えたくなった。
そして再び、リオラは〈配達竜〉の顔を見る。視線が合うことは無い。〈配達竜〉は、彼が話している相手の人間を見ている。
(いっそ、〈配達竜〉があたしを連れ去って行ってくれないかな~。おとぎ話の中で悪竜が美女をさらうみたいに。…………って、ありえない事考えだすようじゃ、あたしもかなり追いつめられてるのかも。だめだだめだ)
内心で自分の妄想に苦笑しつつ竜を見ていると、そのやや後方に、公園内の時計台が見えた。
「あ、まずい!」
針が指すのは午後五時過ぎ。門限に遅れるとまずいので、リオラはもう帰ることにした。
足早に公園の中から出ていきながら、
(こうなったら思い切ってソフィニアに相談してみるかな。反対されるかもしれないけれど、あたしよりソフィニアのほうが知恵あるだろうし──)
リオラは年上の親友に頼ることを考えた。
この時間なら、上級学校に通っているソフィニアも家に帰っている頃だ。帰ったらすぐに相談してみよう。
閃いたらすぐに実行してみる。それがリオラの性格である。
リオラは『ソフィニアの家』への帰路を急いだ。