第1章 [encounter of alteration] 1-1 [歴史]
西暦2044年、エネルギーが限界に近づいたこの年、最後のエネルギー資源地、モザンビークの争奪戦が全国で起こった。当初、各国代表が円卓会議を開き、激しい論戦が繰り広げられたが、結局決められぬままでいた。2045年、ある人物により、会議中に一発の銃弾が走った。それを引き金に、会議は決裂、全面戦争へ突入した。
飛び交う銃弾。
砕け散る大地。
焼け焦がれる街。
そして・・・積み重なる・・・死。
世界に戦いの逃げ場はなかった。人々に残された選択肢は、わずかだった。戦うか、逃げ続けるか・・・。ただ、「終わり」を願って人々は生き残り続けた。だが、「人間」が朽ち果てるのは、時間の問題だった・・・。
だが、そのとき「希望」が舞い降りた。
2049年、「SAVIORS・ARK」と名乗る組織が突如として現れた。彼らはどの国にも属しなかった。一人の創設者と、幾多の傭兵で構成された組織の願いは・・・「戦いの終わり」・・・。
仮面で顔を隠した創設者は、高らかにそう告げた。それを引き金に、各地の戦闘地域で彼らの介入行動が始まった。当初、世界は組織を見下していた。彼らだけで終わらせられない。そう感じていたのだ。だが、事態は急変した。
各地で起こっていた戦闘が、ことごとく停止していった。原因は、「SAVIORS・ARK」。数々の彼らの勝利の要因・・・未知のエネルギー技術。その技術は世界のどこでも研究されていないものであり、しかも、彼らはそれを難なく兵器に転用していたのだ。それらは当時の最新兵器を遥かに上回る性能を持ち、各国にその力を見せ付けていた。が、「SAVIORS・ARK」はそれをあくまで「象徴」として扱わず、不殺を掲げていた。
「万物の消失は負への誘導にしかならない。」
創設者は、敗北者にそう言い聞かせた。
そして、活動開始2ヶ月後・・・最後の戦火が消えた。わずか2ヶ月で、4年間続いた争いは終わった。信じられない現実が、世界に響いた。
望んだ「終わり」は来た。だが、何もなかった。生きる糧がなかった。
だが、「SAVIORS・ARK」はその時、その名通りの「救世主」となった。
彼らは、最新技術を世界に解き放ったのだ。それまで眠り続けた、「力」を・・・。
荒廃した世界は再生した。以前よりも高度に、巨大に、強力に。
再生した世界は、同じ過ちを閉ざすために、世界恒久平和維持機関「LURER」を設立。
世界全体の親交を促し、恒久平和維持を目指した
それほどまでに発展させた根源――未知に溢れた青い液体状のエネルギーは、人々から「S・E(SAVIORS・ENERGY)」と名づけられ、その後の世界の発展に利用された。
――――――――だが、「救世主」である「SAVIORS・ARK」は、「S・E」提供後に創設者が姿を消したため、自動的に解体した。
――――――――多くの「抗体」を残して。