表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユニコーンを作るスキル  作者: 古山 経常


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/11

8 エルクは勝つ

8 エルクは勝つ



 人生初めてのピンチだった。


 村の男たちがエルクを取り囲み、殴ってくる。最初はかわしていた。が、スペースを潰す戦略を取られて羽交締めにされて、動きを封じられ、殴られた。馬さえあれば逆転のチャンスはあるが、無理っぽい。


 だが味方は現れた。


「このバカ亭主どもがーっ!」


 マリアにNTRされた男たちの奥さんだ。みんな迫力にビビって、逃げ出す。マリアのスキルより奥さんに対する恐怖が勝っていたのだ。残されたのは馬商人と手下三人だけになった。


「まったく肝心なときに役立たずなんだから。あんたたちだけでもエルクをやっつけて!」


 「やっつけて」が穏やかな意味じゃないのは若いやつらの服についたジョン一家の血でわかる。馬の近くに逃げるしかない。


 だが殴られすぎてちょっとフラフラする。


 若い男Aが殴りかかってきた。


「オラァ!」


 大振りな拳が腹に当たった。エルクは倒れてしまう。そして取り囲まれて、蹴りを入れられる。


 馬がいれば、馬がいれば対抗できるのに。


 エルクが自分の無力さを呪っていると、指笛が響いた。馬商人が吹いたのだった。


 それに呼応するかのように馬が集まり始めた。その中にはエルクのスキルを受け続けたあの老馬も一緒だった。老馬はエルクを救うように割って入り、ただ立っている。だが若い連中の攻撃はやんだ。


「なんで馬なんて呼んだのよ?」


 馬商人は答えなかったが、そばにおばさんがいたので、何かを言われたのだろうと推測がつく。


 エルクはその隙に立ち上がり、老馬に触れた。


「何やってんのよ。その馬ごと殺しなさいよ!」


 それを言われた若い男たちは首を横に振る。


「見習いでも馬商人だ」

「俺らは馬を殺さない」

「そうだそうだ」


 マリアの顔が絶望に染まる。


「クソ。一番操れるジョンが死んじまったから、洗脳が薄いあんたらしかいないのに……言うこと聞けぇ!」


 マリアの叫びだけが響いた。


 馬が来たことで逆転した。マリアのスキルでは若い男たちの矜持をなくすことはできなかったのである。


 エルクは馬商人に頭を下げて、老馬の体をマリアに向ける。


「お前にされた仕打ちを返してやるよ。スキルにはスキルで」


 エルクが念じると老馬の眉間から角が生えてきた。エルクのスキルだ。


 それを見てもマリアは慌てたりはしなかった。


「しょぼいスキル。それでどうするの? 私を刺しにくる?」


 煽ってきた。いつもの上から目線で、エルクをバカにしていた。エルクのことが嫌いなんだろうと思った。だったら嫌われることをしても問題はない。モテないとエルクをさげすむマリアをモテなくすればいい。殺すよりはダメージがデカいだろう。


 エルクは角をある程度伸ばして、念じる。角が取れて飛んでいく。マリアへ向けて勢いよく。


 角はまっすぐ飛んでいき、マリアが庇った手を貫通した。そして左の目元に傷を作った。かなりの血が出た。


「私の顔が……」


 マリアはその場にへたり込んだ。


 勝った。マリアのスキルに勝ったのだ。気分がよかった。今までマウントを取られていた仕返しだ。


「エルクが勝った! エルクが勝った!」


 おばさんはいつのまにか近くにいて、老馬を触っていたほうの腕をつかんで、強く掲げた。テンションが上がっていたのだ。そのせいで老馬がおばさんにビビっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ