6 マリアと会う
6 マリアと会う
エルクの両親が起きてくるのが遅かったので、井戸に行った。昨日より遅い時間だったので、ジョンではなくマリアと会った。彼女は先に顔を洗っていて、帰るところだった。
「エルク、角出たんだって? 聞いてるよ。ジョンから」
マリアはジョンと付き合っている。だからユニコーンを近づかないのだ。
「まあね」
「あんたのしょーもないスキルでもジョンの役に立つんだからありがたく思いなさい」
「は?」
ジョンの役に立つ? 意味がわからなかった。角の練習はただでさせてもらっているし、スキルで何か功績を立てたこともない。
失言だと思ったのか、マリアは愛想笑いをしだした。
「なんでもない」
「なんでもないわけないだろ」
「なんでもないったら、なんでもないの! だからモテないのよ」
青筋を立てて暴論を言ってそのまま逃げていった。
エルクがその暴論がただの目眩しだと気付いたころにはマリアはいなくなっていた。
「なんだ、あいつ」
昔から偉そうなやつだった。そのくせ、ジョンや大人に媚を売っていた。露骨な態度の変化を目の前にして、エルクはマリアを嫌いになっていた。
マリアとジョンが何を企んでいても、エルクはスキルを使えるようになるだけ。母を偽ユニコーンにまたがらせるために頑張るのだ。
昼にジョンのところへ行くと、見知らぬおじさんが若い人達といて、エルクが練習に使っていた老馬を無理矢理引っ張っていた。
「おい、どういうことだ?」
エルクはジョンに聞いた。
「馬を売るんだよ」
「ユニコーンを安値で手に入れられて、私はラッキーだ」
おじさんは嬉しそうだ。ジョンとおじさんから同じ感じがした。老馬にはジョンの言いつけで、角を生やしたままにしていた。
ジョンは価値の低い老馬を高値で売ったようだ。それをおじさんがユニコーンと勘違いして買ったというところだろう。
「俺は帰るぞ」
「ああ、しばらく来なくていいぞ」
ジョンは用済みとばかりに手をヒラヒラさせる。
もう怒っているエルクはそのまま帰ってきた。
翌日、村の広場で長老の所のおばさんが、叫んだ。
「ジョンの一家が惨殺された。犯人はまだこの村にいる!」と。




