5 父を手伝う
5 父を手伝う
試した結果、馬の体中からを角生やすことができた。限界は三本。これは老いた馬だからの限界で、馬川かければ、騎馬兵用の馬ならばもっと出せるだろう。
「ありがとう」
老いた馬に無理させてはいけない。
「明日、角生やしたまま農作業ができるか試してみる。明日もよろしく頼むよ」
なぜかジョンがスキルの使い方に口を出してきた。気に入らなかったが、使わせてもらってる人間としてわがままは言えない。やはり自由に使いこなすには自分の馬を買うしかないのだ。
家に帰ると、母から言われた。
「お父さんの仕事も手伝ってね」と。
エルクは、パンとチーズとワインを携えて、森に行った。エルクの父は木こりなので作業場があり、居場所はエルクも把握していた。
作業場に行くと、父親は木に斧を打ちつけていた。
「飯持ってきた」
エルクがそう言うと、斧を持って近づいてきた。
椅子がわりにするためわざと残した切り株に腰掛け、エルクの持ってきたパンに齧り付く。
「どうだった?」
「使えたくて、ホントに馬に角が生えた」
「後はどう生かすかだな」
「しばらくジョンのまで練習する。金も稼がないと」
「がんばれ、俺はそれしか言えない」
頼りにならない。村から出るしかないのだろうか、
まずは能力を磨いて、自信をつける。これに決めた。
切り倒した。木の枝打ちを手伝って、帰るエルク。ほどよく疲れて、晩御飯にありつく。今日もシチューだ。村を出たらこれも当たり前ではなくなる。エルクはいつまで食べられるのだろう。
「いつまでもいいわよ」
母がまるで答えるかのように言った。
「間違えたわ。何枚食べてもいいわよ」
ただのいつものボケ(天然)だったようだ。
「おいしいよ」
「そうでしょう、そうでしょう。角は出せたの?」
母も興味津々だ。
「まぁね。とりあえず眉間に角を生やした」
「ユニコーンね」
「ユニコーン?」
「伝説の馬で額に角が生えてるのよ。その馬に近づけるのは処女だけらしいわ。私には無理ね」
母のボケ(天然)に父がむせて、咳き込むのが止まらない。
ここはエルクがなんとかするしかなかった。
「角の生えたただの馬でよかったら乗せてあげるよ」
「ありがとう、エルク。楽しみにしてるわね」
「よかったな母さん」
「お父さんは何もしてくれないの?」
甘えた声を出す。
「わかった。頑張る。エルク、今夜は早く寝なさい」
大人になったエルクは全てを察してうなずいた。




