2 バラされる
2 バラされる
あまりに衝撃が強すぎた。だもんで、もう一回聞いた。
「あんだって?」
声が裏返ってしまう。
それを馬鹿にされたととらえたらしく、おばさんは怒り、言った。
「お前のスキルは馬に角を生やすスキルだ。バーロー!」
かなりデカい声だった。
マジか? と思った。すぐにスキルを使うこともできないので、長老に嫌がらせなんてできない。それに同世代のやつらに馬鹿にされる。
「あの、みんなには秘密に……」
「そんなことするわけないだろ。ったく、最近のガキは大人に命令しくさって」
おばさんはキレて、長老の家を出て行った。
長老と二人きりにされた。
「行ったね。広まるよ、スキル」
「そうですか。明日から地獄だ」
「スキルは使う人次第。がんばりなさい」
長老は優しかったが、エルクの手をなでなでしている。
「がんばります!」
エルクは長老の手を振り切って、家を出た。
「馬に角を生やすスキルーっ! エルクのスキルは馬に角を生やすスキルーっ!」
村の広場まで行って、大声で叫んでいた。出し慣れていて、よく通る声だ。
村人は声を聞きつけて何人か集まってきた。その中にはエルクと同世代のやつもいた。
最悪だ。エルクが膝をつく中、おばさんがまだ叫んでいる。
「エルクのスキルは馬に角を生やすスキル!」
おばさんのデカい声より、周りの目はコソコソ話されるほうが、気になった。みんながエルクを嘲笑っているように思えてしまったのだ。
結果、エルクは家までダッシュを選んでいた。
「エルクおかえり。どうだった?」
母親が聞いてきたが、答えられなかった。エルクは部屋に閉じこもって、夕飯まで出てこなかった。




