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第六話

 修正した結果、長くなったので、前半と後半に分けました!

 やっぱり……。ロミが落胆すると同時に、喉がギュルルル、と鳴った。


 カミーユはもう一度、すまない、と言った。いや、カミーユ先輩のせいじゃありません!ロミは首を横に振った。


 カミーユはそんなロミを暫く見た後、軽く頭を振る。そして、微笑を浮かべ、大丈夫そうだな、と小さく呟いた。その声には安堵が滲んでいた。


 その後、和らいでいた表情が再び引き締まった。


「悪いな、通らせてもらう。」


 カミーユはロミに軽く声をかけると、身体を小さくさせながら横を通る。カミーユ先輩、狭くて、すみません。彼女の喉からギュルルル、と言う音が鳴る。


 窓からは時々、ジジ!フシャー!ギャアギャア!と言う声が聞こえて来る。それを聞く度に、孤独が風のようにロミの心を通って行った。カミーユは、何だ?と呟き、不思議そうに窓を見る。ロミを見て逃げる動物たちに気付くと、苦笑し、大丈夫だ、と柔らかい声をかける。影が差していたロミの心が晴れる。代わりに安堵や歓喜と言った感情が胸に溢れた。カミーユ先輩、ありがとう……!ところで、さっき、近くでチルルルと言う音が聞こえた気がするけど……。威嚇の声じゃないし、気のせいだよね?


 そして、カミーユはなるべくロミから離れた位置に立ち、部屋の様子を見回した。ロミを捜索するためであろう。


「それにしても、酷い有り様だな。」


 カミーユの低い声に、ロミは改めて家の様子に意識を向けた。首を上げ、周囲に視線を向ける。


 確かに、酷い。


 部屋の壁は破壊され、開けた状態。破損した家具。気落ちした気分になる。彼女の喉がギュルルル、と小さく鳴った。

 

 カミーユはロミの近くの机に細められた目を向けた。


「杖やブレスレットは……、ある。家の中にいることは間違いないな。」


 カミーユ先輩、私のことを凄く心配してくれてる!ロミは、飛び立つ思いになる。喉からキュルルル、という高い音が鳴った。


「ロミ君、何処だ!?」


 カミーユが抑え気味に声をかけるが、当然返事はなく、沈黙のみが帰って来る。カミーユは眉を顰め、何も聞こえないな、と低い声で呟いた。フシャー!


 カミーユは、やや歩きにくそうにしながら部屋の中を移動した。家具や魔導具が半壊している為、木屑等が散乱している部屋。しかし、靴を履いている為、カミーユが痛そうにする素振りはない。日本じゃなくて良かった。ロミは安堵からため息を付いた。


 カミーユは机の下や引き戸の中、クローゼットなどを開け放つ。その都度ガタ、ガラ、などと言う音が鳴った。ロミがいないか捜索しているのであろう。カミーユの行動に、ロミの頰が熱を持つ。部屋がめちゃくちゃなのに!カミーユ先輩、そんなにあちこち見ないで!ロミは口を開けたが、キュアアア、と言う鳴き声が出るのみであった。


 私はそんなところにはいません!ここにいます!


──キュアアア


 ロミが再び鳴くと、カミーユはこちらに視線を向けた。柔らかい光を宿す青い瞳。


「美しい鳴き声だな……。大丈夫だ、安心してくれ。エタン……、魔術師を呼んでいる。君のことは、ロミ君を探してから何とかしてあげよう。」


 優しい声に、ロミは心臓の鼓動が早くなった。私は本物のドラゴンじゃないけど……、カミーユに先輩に優しくされて、嬉しい。フシャー!


 カミーユは静かに腕を伸ばしかけたが、途中で止めると再び下ろす。ロミは彼が良くドラゴン達を撫でているのを思い出し、やや落胆した。


 そんな場合じゃないけれど、ドラゴンだから、撫でて貰えたかもしれないのに……。未練から、カミーユの手を目で追った。


 カミーユは再び部屋を見回す。


「いないな。」

 

 カミーユは呟く。そして、ロミに視線を向けると、ロミ君が何処にいるか分かるか?いや答えられないか、と苦笑した。私は此処にいます!ロミは主張するために尻尾を振った。


 カミーユは視線を戻すと、杖を取り出した。杖が振られ、杖先に白い光が灯る。白い細い光は伸び、同色のロミの身体と繋がる。彼女は目を瞬き、光に視線を向けた。何で、私の身体と繋がってるの?首を傾けるロミに、カミーユは眉間に皺を寄せている。


「光はライト・ドラゴンと繋がっているな。」


 そう言って顔を俯かせるカミーユに、ロミは納得した。魔力反応とかで探してるのかな?私は此処にいるのにな……。再び鳴こうとしたところで、不意に、カミーユがバッと顔を上げた。青い目は見開かれ、ロミ、正確に彼女の下を見ている。そして、彼はやや大きな、震える声で言った。


「まさか……。ロミ君は、ドラゴンを刺激してしまったのか!?それで彼女の下敷きに!?」


──キュアアア!?


 私が悪いこと前提ですか!?


 ロミは大きな声で鳴いた。


 カミーユの考えは飛躍していた。彼の頭の中では、突然現れたライト・ドラゴンから離れようとして、ロミが刺激してしまい、下敷きになった、と言うシナリオになっているらしい。みもしそれが本当ならロミは重傷である。しかもライト・ドラゴンではなく、刺激した彼女が悪い、と言う前提である辺りが、カミーユらしい。


 そりゃないよ!


──キュアアア!


 ロミは不満から、再び大きな鳴き声を出した。ギャア!


 そんなロミに、カミーユは一歩一歩近付いて来た。そして彼女を見上げ、眉を下げ、懇願するような声で言う。


「ロミ君が悪かった。どうか、どいてくれないか?大事な後輩なんだ。後で、欲しいものをあげよう。」


 そう言って、カミーユは素手でロミの身体に触れる。そして、そっと優しい手付きで撫でた。ロミは彼の目付きと撫でる手を交互に見る。ロミの心の奥から幸福感が湧き上がってくる。カミーユ先輩、そんなに私のことを心配してくれてるんだ……!しかも、異性としてではないけれど、大事な後輩だって!……まあ私は下敷きになんかなってないし、此処にいるんだけどね。


 ロミは下を見やすくするため、身体をずらそうとする。


 人間に戻って、カミーユ先輩に私は此処にいる、と言いたいな……。


 そう思った瞬間。ロミの身体が目も眩むような光を放った。

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