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第二話、聖女様と出会います!

──遅い、マナはまだか!

「お待たせしました!」

 新品のメイド服に着るのに時間を取ってしまった。これは、魔王様の世話係が使っているものと全く同じだ。今まで一度も袖を通したことがなかったので、どう着ればいいのかがよくわからなかった。

「まったく、我を待たせるとは……ほら、行くぞ」──時間を取らせおって。

 魔王様は、あたしに背を向けて歩き出す。

「あ、はい!」

 あたしは、魔王様の後ろに付いて歩く。あたしが魔王城を歩く時は、いつも魔王様と一緒だ。そうでもしないと命の保証がないから。

 後ろから、魔王様を見る。いつも着けているマントが新品の物に変わっていた。聖女様と会うのに、いつもよりオシャレに気を遣っているみたいだ。

 

 ──それにしても、マナも中々メイド服が似合うではないか。あれだけみずぼらしかった娘がよくここまでになったものよ。

「魔王様、それは直接言ってくれても構わないんですよ?」

「ククク……流石だな、マナ。その能力、今こそ存分に使わせてもらうぞ!」──やはり、この娘の能力は余に必要だった。流石、余の慧眼よ! 余とて、他人の心を読むことなど叶わぬからな。

 あたしのことを魔王様が褒めるのでほんのちょっぴり恥ずかしくなった。こんな、誰からも望まれていない、あたしの力も魔王様だけが認めてくれた。村を追われ、さ迷っていたあたしを魔王様が拾ってくれなければ、今頃あたしはこの世にいなかったと思う。あたしが魔王様に恩返しをしたいのはそういう理由だ。

 ……だから、あたしは魔王様の恋を全力でサポートすることに決めた。この人が幸せになることが自分の幸せだ。

 魔王様は裏表がなく、こんなあたしにも優しくしてくれる。

魔王様は、あたしの理想の人だ。まぁ、唐突に挟まれるポエムがなくなればもっと理想通りになるんだけど……


 ──ククク、マナの力があれば、聖女を懐柔することなど容易いであろう。そこから、余を紹介してもらえばいい。なぁに、時間はたっぷりある。焦ることはあるまい。いずれ来たる日のために、海辺のコテージを用意しておくとしよう。満点の星の下、聖女と余は結ばれる。ククク──余はその瞬間に星を手にするのだ!

(それそれ、それをやめてほしいって言ってんの!)

 心の中で魔王様に悪態をつく。それでも、絶好調になった魔王様はその後のことを考え始めていた。夜空の下で聖女とキスを交わし、それから──

「あの、それ以上は考えないでもらえると嬉しいんですけど……」

 魔王様は心の中で聖女の服に手を掛けていた。ちょっと朝っぱらからそれ以上のことを聞かせられるはご勘弁願いたい。

「おっと、すまぬな。ククク……マナにはまだ早かったか」

「いや、早い遅いの問題ではなくてですね……はぁ、もういいです……」

 あたしが諦めたその時、色々な心の声が城中から聞こえてくる。魔王城にいる配下たちの声が聞こえる場所にあたしは踏み入れたようだ。

 ──今日は武器の手入れをしなくちゃな。

 ──メシ、メシ、メシィィィィ!

 ──今日もグッチはかわいいねぇ。食べちゃいたい。

 ──ネムタイ……

 ──今日は人間達にいたずらしに行っちゃうもんねー!

 大量の心の声が頭の中に反響し気持ち悪さを覚える。

──クハハ、マナもまだまだ子供だな。……ん? マナ、大丈夫か?

「マナ、大丈夫か? 顔色が悪いようだが……」

 心配そうな顔で魔王様があたしの方を見てくる。その綺麗な赤い瞳を間近で見てしまい、ちょっと顔が熱くなった感じがした。

「だ、大丈夫です。ちょっと気分が悪くなっただけで」

「それはいかんな、聖女に会わせる前にちょっと休め」

「えっ、ちょっと⁉」

 魔王様は、あたしに一言も聞かずにひょいっとあたしを元上げる。そして、優しく両手でお姫様だっこをされた。

「魔王様⁉」

「歩くのは余に任せ、今は心の声を受け流すのに集中せよ」

 あたしに一言そう言うと、何もないかのように廊下を歩き始める。あたしは、魔王様に降ろすように言いたかったが、この人が一度決めたことは覆さないことを知っていたので諦めた。

 ──あ、魔王様! げっ、あの女もいるのかよ。

「魔王様、おはようございます!」

「うむ、ゴンタおはよう」

 ──まおうさまだ! あ、なんだ、にんげんもいるのかぁ。

「まおうさまおはよー!」

「うむ、スララおはよう」

 魔物達のあたしを蔑む声と、魔王様に挨拶する声がダブって聞こえてくる。心の声をなるべく聞かないように、こちらの心を無にすることだけを考える。それでも、耳に入ってくる……嫌な声ばかりが。

 ──なんで、魔王様はこいつを運んでるんだ? 誰かの餌にするつもりか?

 ──ペット如きが魔王様を患わせてるんじゃないよ。

 ──人間って、なんでこんなに気持ち悪いのかしら。

 ──早く死なないかなぁ。人間って寿命短いんだよね? 後、何年生きるんだろ?

 頭の中に大量の悪意が入ってくる。いつものこととは言え、未だに慣れることはない。人間界に居た時のことを思い出しそうで気分が悪くなってきた。

 耐えている間に心の声は遠ざかっていき、やがて聞こえなくなった。それで、あたしはようやく一息つくことができた。

「……魔王様、もう大丈夫です。ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」

「なに、気にするな! マナは我の所有物だからな、これくらい当たり前だ!」

 そう言いながら、魔王様は早足で歩き続ける。

「あの、降ろしていただいても構わないのですが」

「ここから聖女のいる場所まではしばらく歩く。このままの方が都合がよい」

 あたしが後ろに付きながら歩く速度よりも、魔王様があたしを持ちながら歩く方がよっぽど早い。まるで馬にでも乗っているかのようだ。

「……わかりました。お任せします」

「クハハ、どうした、いつもよりも随分と殊勝ではないか」

「今は言い返す気力もないですよ……」

 魔王様の腕の中で、あたしよく力を抜いた。この人の胸の中は安心できる。


──ふむ、しかしマナが聖女の元に行く度にこれだけ消耗するのなら、魔王城の中にはいない方がいいかもしれんな。今日から聖女の元で一緒に過ごしてもらうか?


あたしは魔王様の心の声を聞き、顔を上げて魔王様の顔を見る。魔王様は真剣な顔であたしのことを考えてくれていた。

少しだけ嬉しいが、魔王様のところから離れるのは不安だ。あたしは魔王様という盾があるからこの世界で生きていけるのだから。

「どうした、マナ?」──怯えているのか?

「え、なにがです?」

「いやなに、我の服を強く掴んでいるからな、もしかすると我から離れたくないのかと思ってな! ククク、我も相当罪づくりな男よな! フハハハハ!」

 気付けば、あたしは魔王様の服を強く掴んでいた。無意識の内にとっていた行動に、顔が熱くなるのを感じた。

「心配なのはわかるが、お主もいつまでもそのままで居るわけにはいかないだろう?」──そろそろ、我から離れた方がいい。お互いの為にもな。

「それは……そうなんですが……」

「さっき、我の心の声を聞いただろ。今日から聖女の世話係になるのだ。一緒に居た方が都合がいいはずだが」

「聖女様の傍ですか……確かに、そちらに住んだ方がいいかもしれませんね……」

 魔王様の迷惑にならないならそっちの方がいいだろう。あたしが部屋にいる時以外は魔王様はあたしにずっと付いてくれている。それはいずれ魔王様が行動する時の邪魔になることは明白だった。

 あたしは、魔王様の顔をしっかり見て、にやりと顔に笑顔を作った。

「そうですね。そろそろ魔王城暮らしも飽きてきたことですし、そちらの方で暮らしましょうか。いやぁ……毎朝、毎朝、魔王様の心の声が聞こえてきてよく眠れなかったんですよね」

 これは事実だ。騒がしい声で起こされるこっちの身にもなって欲しい。

「クハハ、言うようになったではないか! では、これで決定だ! マナ、今日からそなたは聖女と共に暮らすがいい!」──そっちの方が安全だろうしな。

 魔王様がぽつりと心の声を漏らす。

(安全? 一体どういう意味だろう)

 あたしは、魔王様が何を言っているのかよくわからなかった。言っている意味を理解したのは、今から一時間後のことだった。その間中、聖女のことばかりを考え始めたので、ちょくちょく釘を刺しておいた。

「到着だ!」

「……なぁにこれ?」

 目の前にある物を見て、思わず変な声が出てしまった。いや、本当になにこれ?

「…………なんで魔界に教会があるんですか⁉」

 魔王城の裏手にある深い森の中に、教会がぽつりと建っている。

「クハハ、余が昨日一日で建てたのだ! どうだマナ、よい出来であろう!」

(なんっで! 魔王が! 教会を建ててんだッ!)

 ツッコミたい気持ちを抑え、「そ、そうですね」と生返事をする。魔王様の言う通り、聖堂の出来は完璧だ。というか、聖都にある大教会を一度見たことがあるが、目の前にある物はまんま同じだ。それを一日で建てたとか、やはり魔王様は規格外の男だ……頭がぶっとんでるという意味で。

「それにしても、なんで教会を建てたんですか?」

「聖女と言えば教会であろう! 教会が無ければただの少女だからな、フハハハハ!」

 高笑いをしながら、魔王様はあたしを地面に降ろしてくれた。

「どんなこだわりですか……」

「細かいことは気にするな! とにかく聖女に会おうではないか!」

 そう言いながら、魔王様は聖堂に向ってずかずかと歩き始めた。あたしはその後ろを付いていく。あたしのひざ辺りまで伸びる草が気になる。後で草刈りでもしよう。

 魔王様は教会の前に着くと、息を大きく吸い込み、深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから、扉をゆっくりと開く。

「そうだマナ。あまり、いらないことを喋るなよ」

「はい」

 こう答えたが(いらないことってなに?)となった。

とりあえず、今回の方針としては二人の会話を静観しておけば間違いないだろう。

(それにしても、聖女様ってどんな人だろう? あんまり堅苦しい人じゃないといいなぁ……)

 あたしは聖女様のことをよく知らない。ただ、高貴な身分の方だから気品を備えているだろうし、完璧な淑女なのだろうと予想していた。

「聖女よ、おるかァァァァァァァァ!!!!!!!」

(声でかっ!)

 あまりの声のでかさに、あたしは耳を塞いだ。キーンと耳の奥が響いている。

 魔王様の声は、教会の中にある聖堂の中によく響いた。そして、あたしは教会の中にいるその人を見た。

金色の髪を持つ女性が、膝を地面に着きながら教会の奥にある十字架に向かって祈っている。腰まで伸ばした金色の髪が光を放っている。あれが聖女の聖なる気、オーラなのだろう。その人は、あたし達の存在に気付いたのか、祈りをやめた。

ゆっくりと立ち上がり、こちらへと振り返る。蒼い瞳がこちらへと向く。あたしは、その人があまりに綺麗で、ほぅっと惚けてしまった。

──魔王……

 その声であたしは我に返った。魔王様を睨みつける聖女様の目は憎しみに満ちている。

 ──ククク、聖女よ……そなたは今日も美しいな……光って見えるぞ。フハハ! それは言い過ぎか!  

(いやいや、本当に光ってるんですけどぉ⁉)

 あたしは心の中で魔王様の心の声にツッコミを入れた。恋は盲目と言うが、本当に光に目がやられてしまったのだろうかと心配になった。

 かつり、と魔王様は教会の中へと足を踏み入れる。あたしも、その後ろを付いて教会の中に入れた

(え、なにこれ……)

 教会の中に入った瞬間、すっと胸がすくような気持ち良さを感じた。魔界の中では感じたことがないような、晴れやかな気持ちにさせてくれる空気だ。

 聖気は邪な空気を浄化すると聞いたことがある。きっと、聖女様の周りには綺麗な空気が漂っているのだろう。

 あたしは、魔王様が大丈夫か気になった。魔王様はこれでも魔界の王だ。深淵の闇と呼ばれる、闇を統べる王。そんな人が光を浴びたらどうなるのかという不安があった。

「ぐっ!」

 魔王様は小さなうめき声を零した。やはり、この人には光属性である聖気は毒なのだろう。あたしは、魔王様が倒れてしまわないか心配になった。

 ──くっ、なぜだ。なぜこんなに胸が苦しいのだ……

 魔王様の苦しげな心の声を聞き、あたしの心はドキリと跳ねた。今すぐ魔王様をこの場から離れさせなければという焦燥感があたしの心に募る。

「魔王様、大丈ぶ──」


 ──ククク、聖女を見ると胸が締め付けられるようだ……そうか……これが恋という物か! 余をこんな気持ちにさせるとは、さすが聖女よ!


 心配したあたしが馬鹿だった。さっきした心配を返して欲しいと本気で思った。


 ──さすが、魔王……私の聖気を受けても平然としているなんて……!


 聖女様は、魔王様の姿を見て驚いている。だが、あたしは聖女様にこう言いたかった。

(この人、平然としてるように見えるけど、あなたを見て心を取り乱してます!)と。

 あたしが二人の思考に色々とツッコミを入れている間に、魔王様は聖女様の前に立ち、聖女様を見下ろす。二人の間には結構身長差があった。

二人が並んでいると、美男美女でお揃いだ。あたしが魔王様の横にいるよりも絵になる。いや、あたしは絵にしてもらうような人間じゃないから別にいいんだけどさ。


「ククク、聖女よ、よく眠れたか?」──そなたの為に極楽鳥の羽毛で出来たベッドを用意したのだ。さぞゆっくり眠れたことだろう。

「……貴方に言う筋合いはありません」──魔王、一体こんなところに私を連れてきてどうするつもりなの?

 聖女様の顔には不安の色が浮かんでいる。それは当然だ、自分がなぜ魔界に連れてこられたのかの理由がまったくわからないのだから。それに……魔界に教会がある理由も!

 ──それに、ここ魔界よね? なんで教会があるの? 魔王……何を企んでいるの。


(やっぱり不思議ですよねぇ!)


 魔界に教会など不釣り合い以外の何物でもない。でも、魔王様は何も企んでいない。ただ聖女様の気を引きたいだけだ。

(ある意味、これも企みかな……)

 魔王様の心の声を伝えてあげたい。でも、今言ったところで信用されるわけがないしなぁ。と、あたしは歯噛みした。

 心を読める立場だと時折こういうことがある。でも、あたしは何も言えない。それで、嫌な思いを何度もしてきたから。

「……どうやらお気に召さなかったようだな! ククク、仕方あるまい。今夜を楽しみにしておくといいぞ!」──今から、新たにベッドを作るとするか、羽毛でダメなら羊毛の方がいいか? ふむ、聖女の好みがわからんな。ククク、こうして与える物を考えるというのも楽しいものだな。

「今夜……? 私に何をするつもりなのですか⁉」──まさか……私の体を?

「ククク……聖女よ、感謝しろ! 今宵は貴様に快楽をプレゼントしてやろう!」──貴様の喜ぶ顔が今から楽しみだ!

(魔王様、もっと言い方を考えて! それダメなやつだから!)

「くっ、なんてハレンチな!」──その為に私を攫って……おお、神よ! 私をお助けください!

(あああああああああ! じれったいぃいいいいいいいい!)

 この二人の会話を聞いてると、頭を掻きむしりたくなるくらいにこじれてしまっている。魔王様は魔王語が染みついていて、相手に勘違いさせるような言葉しか言わないし、聖女様は聖女様でなんかよくない妄想をしているし、この二人の相性は最悪と言っていいだろう。……はぁ、仕方ない。ここは、あたしが一肌脱ぐとしよう。

「あの……魔王様。その会話を続けるよりも、聖女様にあたしの紹介をしてほしいです」

「む、そうか」──マナよ、いいところで邪魔しおって。

「……貴女は?」──人間の女の子がどうしてここに? はっ、まさか魔王! この子を奴隷にするために⁉

(誰が奴隷だ、誰が)

 聖女様があり得ない妄想をするので、心の中でツッコみを入れておく。聖女様は悲し気な顔でこちらを見ていた。こんな顔をされたらあたしからは名前を言いづらい。

「えっとですね……魔王様、説明をお願いします!」

 あたしは説明が面倒になったので、魔王様に全てを丸投げした。

「聖女よ、よく聞くがいい。今日からこの者がお主の世話係だ」

「マナです。聖女様、本日よりよろしくお願いします」

 あたしは聖女様ににこやかに笑いかける。これは、敵意がないことを示すために一番重要なことだ。魔王様の笑顔は、なんというか邪悪なのでこの人はしない方がいいと思うが。

「世話係?」──世話係? というと、まさか……あっち本面の……? 聞いたことがあるわ。溜まった欲望のはけ口、それが世話係だと!

(だから、なんでアッチ方面の想像をするの⁉ 貴女、本当に聖女⁉)

 魔王様には侍女と言ってもらうべきだったかもしれない。しかし、聖女様と言うより性女様と思うくらいに脳内がピンク一色だ。

 しかし、聖女様の顔には驚きという感情が一ミリも浮かんでいない。体面という意味合いでは本当に聖女なのだろう。


 ──夜な夜なあんなことやこんなことをされるのだわ……神様、不埒な私をお赦しください。私は、淫らな女になります……


 そう、頭の中以外は聖女なのだ! この人のことはこれからむっつり聖女と呼ぼう。

「あの、お世話係と言いましても、侍女と思ってくださいね」

 思わず言葉を出してしまった。まぁ、これくらいなら許されるだろう。

「そうなのですね、ではマナ様。これからよろしくお願いします。私一人では何も出来ないので」──危ない危ない、変な勘違いをするところでした。

(既にしてたんだよ!)

 あたしが聖女様に抱いていた理想は既に壊れてしまっていた。

 心が読めなければどれだけよかっただろう。と思ったことは度々あるが、今日はトップスリーに入るに違いない。それだけ、聖女様は見た目と内面の差が激しかった。

「はい、聖女様にお仕えできて光栄です」

 あたしは色々と言いたいことをぐっと飲み込んで、挨拶を終えた。

「それでは、これからはこの教会で二人きりで過ごすがよい。余は少しばかり出かけてくる」──聖女の為にいいベッドを作らねばな。

 魔王様は、バッとマントを翻しながら聖女様に背中を向けた。

「さらばだ、聖女よ! 今日の夜にまた会おう! フハハハハハ!」──もっと居たかったが仕方ない。この後にせねばならぬ仕事もあるからな。

「…………」──夜に来るのね。その時に身を清めなければ。

「魔王様、行ってらっしゃいませー」

(なんかもう、ツッコむの疲れた……)

 これから、ずっとあたしはこんな生活を強いられるのだろう。この時点でもどっと疲れているのに、これが毎日……

 あたしは、教会の天井を見上げて、はぁ……とため息を吐く。

 体力よりも、精神がすり減りそうな仕事にめまいがした。



ここまで読んでいただきありがとうございます!


この作品が面白いな! 続きが読みたいな! と思った方は、お手数ですが画面下の方にあるブックマークというものを押していだけると嬉しいです。


☆☆☆☆☆を押して★★★★★にしていただいたらもっと嬉しいです。


展開が気にいらない方は★一個とかでも全然いいので付けてください。今後の参考になりますので。


していただけると創作の励みになりますので、どうかよろしくお願いします!

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