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0_リトとリーリアは13才


ねえ、リーリアって将来なりたいものってあるんだっけ?


うん、わたしは記述家。


記述家って術式を書く?


そう、詩人が書いた詩を算術家が式化して、その術式を最後に清書する人。


僕リーリアは算術家になりたいんだと思ってた。


ちょっと前はね。でもあたし才能なかったし。


そうなんだ。でもまだわかんないんじゃない?


ううん。パパが言ってたんだけど、算術の才能は若いうちにわかるんだって。本当にすごい人って誰にも教えられてないのに、数の世界を自由に歩き回ったり、数式の中からも外からもどんな角度からも術式を見ることができるんだって。あとね、数に触ったり匂いを嗅いだりもできるって。


本当?


本当よ!


お父さん算術ギルドの算術家だったっけ?


ううんパパは計算手。算術家とは違う。


どう違うの?


パパは詩の式化はしないの。やるのは検算とか・・・試算とかかな。あんまり詳しいことは知らないけどね、詩の解釈とか構造計算とかはしないんだって。


ふ〜ん。


わたし最初は魔法使いになりたかったんだよ。


知ってるよ。いっつも言ってたじゃん。


覚えてんの。


そりゃまー。


でもわたし魔力なかったから諦めた。まー、人間だと持ってない方が多いし、しょうがないんだけど。へこんだなあん時は。


知らなかった。


めちゃ泣いたし。


そうなんだ。


で、次に算術家になりたいと思ったけどそれもダメで、今は記述家ってわけ。


詩人になりたいとは思わなかったの?


詩人?そうね、思ったことないわそーいえば。何でかな。


才能あるかもよ?


ううん、私は無いと思う。詩人ってさ、霊感に愛された人を言うんだって、愛した人じゃなくて。選ぶんじゃなくて選ばれるって。もしそうならなんの理由も無くわかるって。


てかリーリアってすごいよね。


何が?全然でしょ。


だってめっちゃやりたいことがあってさ、それを二回も諦めても術式の仕事がしたいとか。ほんと根性あるよ。


切り替えが早いだけよ。でもさ、わたし小さい頃から魔法使いとか算術家になるために記述の練習をお母さんに習ってて。結構良い字だって言われるの。わたしの字には魔力のグルーヴがあるって。


グルーブ?何それ?


”ヴ”よ。異世界人はそういうんだって、術式の良い記述にはグルーヴがあるって。魔力の流れる良い感じって意味らしいわ。想起で詠唱する時に全然違うんだって。


自分は魔力ないのに?


そうよ、逆にすごくない?こういうのを才能って言うんじゃないかしら!


いや、すごいと思うよ。ほんと。グルーヴが何かは知らないけど。


リトはさ、ちょっと魔力あるんだから、いつか私が書いた式を使うといいわ。グルーヴの何たるかをわからせてあげるから。


期待してる。


でリトは?


将来?


そ。


さあ。僕やりたいこととか特にないんだよね。


ほんと変わんないわね。


まあ今の生活に不満もないし。


別に私も不満はないわよ。


冒険者とかかなあ。


冒険者?リトが?意外。


そう?


だってあの人たちって荒っぽいっていうか、お酒飲んで喧嘩ばっかしてるし。


冒険者も色々あるらしいよ、薬草とったり探し物したり、戦わない依頼を受ければ。


それで生活できんの?


Cランク以上になればちゃんと家も持てるらしい。


ちゃんと調べてんだ。


いや、たまたま聞いただけだけど。


ふーん。でも案外向いてるのかもね、リトはどっかに所属して集団行動とか苦手そうだし。


ああ、そうかも。


あんたもしかして適当に言った?冒険者って。


いや適当っていうか、聞かれたから思いついたこと言っただけだよ。でもさ、エミーがもしかしたら王都の学校に行けるかも知れなくて、お金必要そうだし良いのかも。


へーエミーちゃん頭いいんだ。


らしいよ。家ではぐーたらしてるだけだけど。


じゃあいつかエミーちゃんが計算した術式を私が記述してリトが使うとかあるかもね。


いや、エミー文系らしいから図書館の司書とかじゃないかな。


えー?じゃあ私が書いた術式をエミーちゃんが図書館で管理するかもね。


僕は?


借りてよ。

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