ドイツが政府債務を増やせない理由
ドイツは現在政府債務を増やすことができるのだろうか? 私なりに考察してみた。
ドイツでは、メルケル政権の時にドイツの財政赤字を制限する法律が作られた。現在、その財政赤字を制限する法律を緩和するべきだという論調が一部界隈で見られる。理由は、ドイツの政府債務が対GDP比で60%台と格段に低いからだそうだ。私はその意見に対して反対だ。ドイツが政府財務を増やすことができない理由は以下の通りだ。
一つ目の理由(そしてこれが最大の理由)は、ドイツが欧州共通通貨(といっても欧州の中でも採用していない国も多いが)であるユーロを採用しており、自国の通貨を持たないからだ。日本やアメリカのような自国の通貨を持つ国は、自国通貨建ての国債を自国の中央銀行に買わせることで、自国通貨建ての政府債務の返済期限を事実上無限に引き伸ばすことができる。ところがドイツには自国の通貨がないのでこのようなことができない。故にドイツのユーロ建て国債には破綻のリスクがある。故にドイツはドイツの構造的に政府債務を増やすことができない。
二つ目の理由は、ドイツの国債の金利は(日本の国債の金利に比べて)高い上にドイツではインフレが加速しているからだ。一般的に、国債を発行して財政政策を行う行為はその国の国債の金利を上げ、さらにその国のインフレを加熱させる。つまり、今のドイツは国債を発行して政府支出を増やせる状況ではない。
では、ドイツは今後どのような政治を行うべきだろうか? ドイツの政党のうちの一つ「ドイツのための選択肢」は、ドイツのユーロ圏離脱を主張している。もしこの政策が行われれば、ドイツは自国の通貨を持つことができるようになり、ドイツは構造的にはドイツの政府債務を増やすことができるようになる。さらに、ドイツの政府債務は比較的少ないので、おそらくドイツの国債の金利は下がりドイツのインフレは落ち着くだろう。つまり、ドイツがユーロ圏から離脱すればドイツは政府債務を増やすことができるようになる。だが、ドイツがユーロ圏から離脱すればユーロ圏のドイツ以外の国のインフレは今よりさらに加速するし、ユーロ圏のドイツ以外の国(特に南欧諸国)の国債の金利は上がるだろう。つまり、ドイツのユーロ圏離脱はドイツがドイツ以外のユーロ圏、特に南欧諸国を見捨てるということを意味する。それでも私はユーロは「ユーロ圏の国は政府債務を増やすことができない」という問題を抱えた通貨なので解体されるべきだと思うが、読者の方々はどう考えるだろうか。
私は経済に関しては詳しくはない。よってここでいっていることは一部間違っているところがあるかもしれない。もし間違っているところがあったとしたら申し訳ない。