第八章:隠された指示者
いじめの聞き込みを続ける中で、和兎ときいは、茶子をいじめていた生徒たちにも異変があることに気づき始めた。生徒たちの態度には不自然な緊張感が漂っていた。いじめの真相を掘り下げるため、二人はさらに突っ込んで質問を重ねた。
「ねえ、何か変だと思わない? いじめてたはずの生徒たちも、みんなビクビクしてる」
きいは、聞き込みの中で感じた違和感を和兎に伝えた。
「確かに、ただのいじめではない気がするな。何か別の力が働いているのかもしれない」
和兎も同意し、さらなる真相を探るために再度、いじめに関わっていた生徒たちに接触することにした。
彼らが次に向かったのは、いじめの中心人物だとされていた男子生徒、山本のところだった。和兎は冷静に、山本に対して質問を始めた。
「山本、君が茶子をいじめていた理由はなんだ?」
和兎の声には強い圧力が込められていた。
「お、俺……俺は……」
山本は言葉に詰まり、何かを言いたげに和兎を見上げた。
「話せ。隠していることがあるなら今言うんだ」
和兎が静かに促すと、山本はついに口を開いた。
「俺だってやりたくなかったんだ! でも……誰かに脅されてたんだ。指示に従わないと、俺の家族が危険だって言われて……」
「脅されてた……?」
きいは驚きの表情を浮かべ、すぐに和兎に目を向けた。
「誰が脅していたんだ? その人物は誰だ?」
和兎はさらに突っ込んで質問した。
山本は震える手でスマホを取り出し、そこに保存されていたメッセージを見せた。画面には、家族の写真と共に「指示に従わなければ、君の大切な人にも危害が及ぶ」という脅迫文が表示されていた。
「俺だけじゃない。いじめに関わった他の生徒たちも、みんな同じように脅されてたんだ……誰が指示を出しているのかを調べることも、誰かに話すことも許されなかった。もし破ったら……俺の家族がどうなるか分からないって」
山本は震えながら語った。
「つまり、君たちは何者かの手の内で踊らされていたということか」
和兎はその事実に冷静な表情を保ちながらも、内心の驚きを隠せなかった。
「そうなんだ……俺たちだって怖くて逆らえなかったんだよ……」
きいはその場で黙り込み、何かを考え込んでいる様子だったが、やがて口を開いた。
「つまり、このいじめは誰かが裏で操っていて、生徒たちはみんなその人の指示に従わされていたってことね。じゃあ、その黒幕って……」
「まだ分からないが、ここから先は慎重に調査を進める必要がある。誰が指示を出しているのか、そしてなぜ茶子がそのターゲットになったのかを解明しなければならない」
和兎は冷静にそう告げ、きいもうなずいた。
このいじめ事件の背後には、単なる学校内のトラブルを超えた大きな陰謀が潜んでいることが明らかになってきた。和兎ときいは、生徒たちが脅迫されているという新たな事実を元に、次の手がかりを追うため、さらなる調査を決意した。




