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第一章: 新任の保健医、そして出会い

私立○○高校に新しく着任した保健医、野々村和兎かずと

彼は冷静で落ち着いた雰囲気を持ち、長身でメガネをかけた知的な外見から、すぐに生徒たちの注目を集める。


しかし、和兎自身はそれを特に気にする様子もなく、淡々と仕事をこなしていた。


そんな彼に興味を持ったのが、元気で好奇心旺盛な入家きい。


彼女は誰に対してもフランクな口調で話し、いつも明るく元気に過ごしている。


しかし、彼女には学校で隠している大きな秘密があった。実は、世界的大企業「入家グループ」の会長である入家鍵蔵の孫娘だが、学校では「普通のサラリーマンの娘」として通している。


ある日、きいは保健室に姿を現した。


「先生、ちょっといい?」と気軽に話しかける。和兎は一瞬彼女を見やったが、冷静に対応する。


「どうしましたか?具合が悪いなら休んでください」


「ちょっと風邪っぽくてさー、あと少し話したいこともあって」


きいは保健室のベッドに腰掛けながら、野々村を見つめた。


「先生さ、推理とか興味ない?」


突然の質問に、和兎は少し戸惑ったように眉をひそめた。


「推理ですか? それは、どういう意味ですか?」


「いや、私、探偵になりたいんだよね。それで思ったんだけど、先生の名前、和兎かずとでしょ? それでさ、野々村の『村』って『ソン』って読むじゃん? だから先生、ワトソンって呼んでいい?」


「ワトソン…ですか」


和兎は軽くため息をつき、口を開く。


「勝手に呼ぶのは良いですが、もう少し敬語を使ったらどうですか?私はあなたの先生ですよ?」


「えー、先生堅いなぁ。でも決めた!ワトソン先生って呼ぶね!」


満面の笑みを浮かべるきいに、和兎は少しだけ困ったような表情を見せたが、それ以上は何も言わなかった。


――――――

その日から、きいは野々村を「ワトソン先生」と呼ぶようになった。彼女の活発で軽快な口調に、和兎は時折「もう少し丁寧に話しなさい」とたしなめるが、きいは一向に気にする様子もなく、明るく話しかけ続ける。

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