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九十一話 月華媄神/ゲッカビジン

閲覧感謝です!

貴重なお時間にお邪魔します……

「キュワァーーーッ!!」

「なに?」


「(この声。まさか!)」


2人の背後から声をあげやってきたのはディーノと同じ恐竜のような姿をしたモンスターだった。


「キュワァ!」


モンスターは飛び上がるとロープを跨ぎ、入れない筈のリング内に入りこんでくる。


「チッ…」


モンスターに邪魔をされた葵は仕方なくエプロンを置いて一度距離を取る。


「紅生姜!……もしかしてとは思っとったけどお前も来てくれたんやな!」

「キュワッ!」


「このタイミングで来たって事はウチにもまだチャンスはあるって思ってもええんかな?」

「キュワァーー!!」


紅生姜は叫び頷く。


「…じゃっ、もうちょっと頑張ろか!」


エプロンは自らに気合いを入れて立ち上がる。


「おいおい、このリングの上からは勝負がつくまで降りられない、そんな設定じゃなかったか!?」

「ウチが作った訳やない。ウチに文句言うなや葵」


「……」

「でも、どうやら中から外へとは降りれないが外から中への侵入は出来るらしい。つまり場外乱闘はなしやけどセコンドの乱入はありって事や」


「……随分都合がいいな!!」

「だから文句言うな!そんなに言いたいならさっさとウチ倒して直接本人に文句言ったらどうや?……させへんけど」


「言われなくてもそうするさ。でも沙莉の前にまずはこの邪魔者を排除してからだ。乱闘は嫌いじゃないが関係ない奴が水をさす乱入ってのが一番俺は嫌いなんだよ!!」


「キュワァ!!」


エプロンの相棒、紅生姜は主人を守るため率先して葵に攻撃を仕掛ける。


「邪魔だっ!!」


紅生姜の攻撃を粗方かわすと気迫を纏った強烈な蹴りが紅生姜を吹き飛ばす。


「ウチも忘れんなや!」


背後からエプロンが打点が高い顔面を狙ったドロップキックを放つ。


「忘れるわけないだろ」


それでも葵は動じず冷静に避けると。


「死に急ぐなよ沙莉」


隙が出来たエプロンに葵はかかと落としを叩き込む。


「!!」

「キュワァァァッ!!」


駆けつけた紅生姜がエプロンを庇う。


「紅生姜!」

「モンスターは単純で助かった……」


「葵、お前…」


宣言通り先に邪魔者を排除する事に成功した葵は微笑む。


「ッ、紅生姜!…」


紅生姜は僅かに残った力を振り絞ると、


「キュワ……」


エプロンの頬を舐めると、自身に満ち溢れた顔で頷くと目を閉じた。


「紅生姜……ありがとな。ウチ、出来るだけやってみるわ」

「結局無駄だったな、沙莉。お前のせいで無駄に命が失った。まぁ、モンスターだから問題なんてないか」


「無駄やない、無駄なわけあるか!モンスターだろうがウチらの仲間で相棒や。…紅生姜が来てくれたお陰でウチはもうちょっと頑張ろうって思たんや。ってか頑張るわ。どうであれ、これがチャンスのきっかけになったのは間違いない。ならそのチャンスをものにしてみせる!」

「…ワンチャンあると思うか?」


「あるやろ。思ってる限り」

「ねぇよ、そんなもん」


殴りかかるエプロンを葵はひらりとかわす。

だがそれを読んでいたエプロンは再び裏拳で葵を襲う。更に回転力を上げ2発、3発と連続で叩き込む。

するとついにこの状態の葵の動きが鈍くなる。

そこをチャンスと踏んでエプロンは自らロープ超えるとそこから葵を捕まえてジャーマンスープレックスの体制で持ち上げるとトップロープを超えてリングのエプロンと呼ばれる硬い場所に叩き落とす。

本来なら衝撃で場外に落ちていてもおかしくないが、今回は普通のリングとはわけが違う。たが、エプロンと呼ばれる場所はリングの中より硬い場所だ。ダメージにならないはずがない。

エプロンはロープ跨ぎリング内へと戻ると一度息を整える。

当然エプロンは追撃を狙う。


「沙莉ィ!!」


ゾンビのように直ぐに復帰した葵はエプロンからトップロープへと登るとそこから突き刺すようなミサイルキックを発射した。

エプロンはそれをかわそうと体を翻すが僅かにタイミングが遅れてしまい嫌な当たり方で被弾してしまう。


「……ッ、ああッ!!(体が動かへん。感覚なんかとっくにない……やけど!)」


リングに戻った葵は、


「想像以上に楽しかったよ沙莉。だけど、もうこれ以上遥を待たせられない。終わりにしよう」


葵はエプロンを掴み高く持ち上げる。


「イヤや!もうちょっとやらせろや!」


エプロンは残り力を振り絞りきってひたすら暴れる。

それでも強引に技へと持って行こうとする葵だったが、エプロンの悪あがきは強引に持っていけるほど甘いものではなかった。

マットへと着地するとエプロンは直ぐに葵の顔面に渾身の1発を叩き込む。

半歩下がった葵の隙をエプロンは見逃さない。

瞬時に葵をコウモリ吊りの要領で逆さ吊りに捉えると得意のコウモリ吊り落とし(シュガー⭐︎ドーナッツ)を狙う。


「いやだね」


今度は葵が抵抗するが構わずエプロンは技を放とうとするが不自然な形になってしまったため失敗に終わってしまう。


「分かった、それにしよう」


着地した葵はエプロンに顎目掛けての膝蹴りを喰らわせる。


「!!」

「!!……」


崩れ落ちたエプロンの体を今度は葵がコウモリ吊りの要領で逆さ吊りに捉えてみせる。

葵はニヤッと笑うと躊躇なく掟破りのコウモリ吊り落としでエプロンを叩き落とした。

常軌を逸した勢いと衝撃でリングは破壊され砕け散った。

そんな衝撃に生身の人間であるエプロンが耐えれるわけがなく……。


「沙莉……お前の勝ちでいいよ。本気を出した俺の負けだから。でも、ダチになれて本当によかった」


葵はそう呟くと深呼吸する。


「遥待っててね、直ぐに追いかけるから!」


●麻戈 莉沙(エプロン)VS ○月美弥 葵


フィニッシュ シュガードーナッツ(コウモリ吊り落とし)

ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。


よろしければブックマーク、評価を頂けると、とても励みになります!



次回もお付き合い頂ければ嬉しい限りです。

勝手に祈ってお待ちしております。

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