八十五話 譜李武蘭歩李闇咲/プリムラポリアンサ
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「嫌な趣味してる……」
「今の何が起こったんや。全然分からんかった……」
陽子の絶命と同時に和葉を燃え上げていた炎は消失した。
「お待たせしました。さぁ気を取り直して続きと行きましょうか?遥さん」
「別に待ってなんかないわよ。凄いわねアンタ。宣言通り躊躇も無しに仲間を殺すなんてアンタもよくやるわよね。もしかしてアレと同じことを私にもやるつもり?」
「いやいや遥さん相手に全く同じやり方でなんて事はしませんよ。その為にわざわざ時間差で殺したんです。アナタと違ってあのモンスターは見た目通りノロマでしたから。焦る必要はない」
「わざわざ私の為に工夫してくれたなんて嬉しいじゃない。私には一体どんな事をしてくれるのかしらね?」
「言うわけないでしょ。私はアナタを舐めてるわけじゃない。確実にアナタを殺したいんだ。でも、一つだけ教えて差し上げますよ」
「なーに?」
「遥さんの時はあんなもんじゃない。きっと最後には嫌でもそうなる事でしょう」
「…そ。なら楽しみにしておくわ」
「ええ。どうぞ楽しみにしておいてください。さぁ、本気でどうぞ。そうじゃなきゃ何もかも意味がない」
指を動かし遥を誘う
「本気ね…。暫くそんなの出してないから上手く出せるか分からないわ」
遥は和葉の誘いに乗り前へ出る。
「待ちい!!」
和葉の背後にいた沙莉が声を上げる。
「何するつもりですか沙莉さん」
「黙って見とき」
紫鶴那の静止を振り切ると遥の目の前に出る。
「ならその本気ウチが出させたるわ」
「…………」
「和葉、遥の相手はやっぱりウチがやる。ウチが遥を殺したる」
「駄目ですよ沙莉さん。勝手な真似は許しませんよ。言ったでしょ。この人は私達3人で相手をして殺すと。あの人の強さはこの中じゃアナタが1番知ってる筈だ」
「やからウチが相手をするって言ってるんや。この中で遥を殺せるのはウチだけや。和葉ならウチの強さも知ってるやろ。それともまだお前らを見捨てたウチの事は信用できないって事か?」
「…今それは関係ありません」
「ならええな。ウチが遥の相手をしても」
「それはそれ。これはこれってやつです。私達は必ず勝たなければならない。そして日本に戻る。ムードにかまけて無駄な事をしてる暇はないんですよ。沙莉さんと遥さんの関係は私達も知っています。沙莉さんにも色々と思う事があるんでしょう。だけど一言だけいいですか。ワガママ言わずに私について来い」
低いトーンで改めて沙莉に釘を刺す和葉。
「沙莉さん。私達3人であの女を殺すんです。それでいいんですよ。変な事は考えないでください!日本に帰れば沙莉さんの居場所はいくらでもある。もう一度プロレスラーとしてリングに立つことも出来るんです。私達も沙莉さんを応援していたファンの人達もきっとそれを望んでる。だから、ここは我慢してください」
「……ありがとな、紫鶴那。そう言ってくれて嬉しいわ。だけどな、別にウチはもう一度プロレスラーとしてリングに立ちたいからとかそんな理由で日本に戻りたいわけちゃうねん。死にたくないから。誰も殺したないから日本に戻りたいねん!いつも通りアイツらとバカやってたいねん。遥や仲間達と一緒にな……」
「今更何言ってるんですか沙莉さん。この女を殺さなきゃ日本には戻れないんです!アナタの夢は一生叶わないんですよ!…だから諦めてください。沙莉さんが殺せないと言うのなら私達が殺します。だからアナタは黙ってそれを見ていればいい。見たくないならその場で目でも瞑ってろ。後それとその喋り方やめて下さい。前も言いましたよね。似合わないんですよ」
声を荒げる紫鶴那。
「夢の終着点はウチが決める。ごちゃごちゃ言うな。それにな、これがウチの喋り方や。これが今のウチや!!否定はさせへん。……自分でも色々と矛盾してる事を喋ってるのは分かってる。殺すって言ってみたり殺したくないって言ってみたり支離滅裂で無茶苦茶や。……ウチも正直自分でも何を考えてるかなんてよう分からん。ただ思いつきで話してるだけやから。でもな、ひとつだけはっきりしてる事がある。誰かが遥を殺すくらいならウチがやる。それは絶対に譲らへんし邪魔するならどんな奴でも容赦はせん。その為ならウチは目的も約束も夢も全てを捨てる覚悟はある」
「沙莉さん……」
「もういいですよ。ここで沙莉さんと問答してる時間の方がよっぽど無駄ですね。わかりました…」
「和葉さん、本当にいいんですか!?」
「ああ。ですが一つだけ」
「なんや?」
「私と紫鶴那が手を出さないのは5分だけ。それを過ぎたら当初の予定通り3人であの人を殺します。どうなっても文句は言わせません。それでいいならお好きにどうぞ」
「それでええよ。5分もあればやれたい事はやれるからな」
沙莉の言葉を受け和葉は軽く頷き後ろへ下がる。
最後まで反対していた紫鶴那も渋々納得する。
「和葉さん本当に良かったんですか?」
紫鶴那は小声で和葉は問いかける。
「さっきも言った筈だよ。ああって」
「だけどやっぱりいくら無謀なんじゃ。沙莉さんだけじゃあの女は……」
「確かに可能性は低い。だから5分と決めた。無駄に駒を失いたくはないからね」
「……」
「でも、あの人1人で勝つ可能性が無いってわけでもない。本気であの人が勝とうと思っているのならだけど。沙莉も知ってるでしょ?あの人はかつて全盛期の遥さん相手と引き分けた。それが出来たのは私が知ってる限り2人だけ。麻戈莉沙と」
「月美弥葵ですか」
「そうよ。あの3人は業界内でも異質な存在だった。だから普通に考えたら私達よりも沙莉さんに戦わせた方が圧倒的に勝率は高い。仮に倒せなくてもダメージは与えらるわけだからね。でもそれは私達の記憶の中の話。今のあの人はどうだろうねー。私達が知ってる時より強くはなってるみたいだけど……準備と覚悟はしておきなよ、紫鶴那」
「ああ……」
「フンっ……」
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