八十三話 葵流涼兎炉芽莉愛/アルストロメリア
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「ようやくお会いできましたわね。お噂は予々。私はずっとアナタに会いたかったのですよ」
「…………」
「こうやってアナタはわざわざここに姿を現した。何か理由があるんでしょう?」
「…………」
「どうしてアナタは王を殺した?何故この世界に他の世界の人間を巻き込んだのです!?この世界に遥さん達がやってきたのもアナタが関係あるんでしょう?様々な人間を巻き込んで一体何が目的なのですか!?」
「…………」
「沈黙ですか……まぁ、そうですわよね。想定内です。言いたくないならそれでも構いませんわ。後のことは力づくで吐かせるだけ。知ってる事全部絞りあげて差し上げますわ」
「……邪魔だ」
「!喋れるんですね……」
「お前は邪魔だ。必要ない……」
「邪魔?どうして私が邪魔なのですか。理由を聞かなければ私も対処のしようがありませんわ」
「邪魔なんだ……俺の目的にお前は必要ない。邪魔をするな!」
「頑固な方ですね。ならばその目的を聞き出すだけです。そう時間はかけませんわ!!」
レッカは最初から全力で一気に勝負を決めにいく。
レッカの槍は奴の仮面を捉える。が、寸前の所で奴はそれを手掴みで止めて見せる。
「やりますわね……なら!!」
レッカはその手を振り払い、槍に特大の炎を纏わせると奴を焼き尽くす。
「ちょっとやり過ぎましたかね……」
何事もなかったかのように奴は燃える炎の中から歩いて出てくる。
「いやはや、死んでなかったのは安心しましたが、アレを喰らって無傷とは…アナタは本当に何者なのですか?」
「…………死ね」
突如目の前に現れた奴はレッカの顔面を狙った鋭いハイキックを繰り出す。
「!!」
レッカは瞬時にそれを槍で守るが、衝撃で槍が真っ二つに折れてしまう。
「なっ!!」
そのまま再び繰り出されたハイキックによりレッカは大きく吹っ飛んでいく。
咄嗟に体勢を変えて顔面への直撃は避けられた。
「……この力。人間とはとても思えない。これ以上話を聞きだすのは無理そうだ。これ程の力を持つ人物、ますますアナタの正体が気になりますよ。私も奥の手を出さなければ勝ち目はなさそうですわね」
レッカは立ち上がり、魔法によって散らばった槍を自身の元へ集める。
「こんなにあっさりと私の相棒が壊されるとは……本来なら武器としての役目を終えたこの子を丁重に葬りたいところですが。私にはまだアナタが必要だ。もう少しだけ付き合っていただきますよ」
槍に語りかけ魔法を唱えるとレッカの体が光り輝き槍が元通りに再生する。
「私の命半分を贄に生まれ変わった槍の神名はゲイボルグ。全てを貫きあらゆる邪を祓う。この槍と共に私は華麗に美しく生まれ変わる。アナタはきっとこの国にとっても私の友にとっても害ある存在でしかない。私がこの手で全てを終わらせる!!」
レッカの体は炎で燃え上がる。そしてその炎は形を変えてレッカを護る鎧となった。
「これが私の本気です!!降参するなら今のうちですよ。始まってしまっては私も加減ができるか分からない」
「……茶番だな。少年マンガなら胸熱展開だろうけど今の俺はそういう展開をお前に求めていない。そして何よりも……遥はお前の友ではない!!」
「ようやく言葉らしい聞けた言葉が聞けましたわね。でしたらその続きは然るべき場所ですることにいたしましょう!勝負はこれでお終いです!!」
レッカは槍を振り回し炎を纏わせるエネルギーを蓄積させる。
「強く気高く美しく。紅蓮の焔で悪しき者を焼き尽くせ!!ブレイズゲイボルグッ!!!」
灼熱の炎を纏った槍、ゲイボルグは仮面の人物目掛けて一直線に投げ出された。
「……ダサっ」
ゲイボルグは奴の心臓を貫き体を焼き尽くす。
「……仇は取りましたわよ、国王」
「…………あーあ」
「!!」
レッカは慌てて奴の方を振り返る。
確かに奴の心臓は確実に貫かれている。
だったら生きてるわけがない。
なのに奴は。
「どうしてくれんだよ。メインの為に……メインを盛大に楽しむ為に取っておいたストックがこんな所で無くなるなんて想定外だぞ。お陰でもう死ねないじゃないか……やっぱりお前は邪魔だ」
奴は立ち上がる。貫かれていた筈の体はいつの間にか再生して血一つ流してはいなかった。
「まさか!!そんな筈は……」
「熱い」
仮面の人物がそう呟くと自身を焼き尽くしていた炎のの火がみるみるうちに小さくなり鎮火する。
「私の炎をコントロールした。こんな屈辱私も初めてですわ……」
「予定通りお前にはここで消えてもらう」
「化け物ってのはアナタみたいな奴の事を言うんでしょうね……」
「黙ってろ」
再び目の前に現れた奴はレッカの首を片手で軽々掴み持ち上げるともう片方の腕を添えてそのまま上方へ持ち上げ、背面から地面に叩き落とすチョークスラムを放つ。
勢いと衝撃で地面にはヒビが入る。
「ぐあっ!!……」
衝撃で炎の鎧は儚く砕け散る。
「死ね」
「イヤですわ!」
「死ぬんだよ」
「だったら悪あがきくらいはさせて貰いますわ!!」
レッカはなんとか立ち上がるが、瞬時に奴が背後を取りスリーパーの形で首を締めていく。
レッカは抵抗するがすぐに抵抗をやめる。
「潔いな」
「……無理なら仕方ない。死なないのは諦めましたわ……だけど、ただじゃあ死にません!」
レッカの体は炎で燃えあがり強力な爆発が2人を襲う。
その筈だった。
燃えあがる炎と爆発は奴の体に吸収されるように無効化されたのだ。
「っ!……」
レッカの顔は絶望の表情と締め付けにより恐怖に青く染まる。
「死ぬのはお前だけで十分だ」
奴は突如スリーパーを解くとそのままレッカの首を一瞬で躊躇なくへし折った。
「もうすぐだよ遥……誰も私達の邪魔はさせないから」
威薔薇ノ棘VS獸虹死賭
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