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三十六話 蜜魔叩/ミツマタ

閲覧感謝です!

貴重なお時間にお邪魔します……

 回想

 約1年前。


 暴れまわるアイツの前に突如現れた遙。


「……あれ?もしかして今度はアナタが相手をしてくれるの?」

「ねぇ、暇なの?こんなにめちゃくちゃしちゃって」


「めちゃくちゃ……どこが!!これのどこがめちゃくちゃなの!?全然違うよ!!違う……めちゃくちゃはこんなんじゃない!」

「ステゴロで暴れてるだけならまだしも、凶器持って暴れちゃったら十分めちゃくちゃでしょ?」


「だ・か・ら!こんなんじゃないんだってばぁっ!!」


 アイツは叫びながら遥を襲いに走り出す。


「話もできないか……いや、コレがこの子なりのコミュニケーションってやつ?」


 遥は飛び込んできたアイツを軽くいなす。


「そっちがその気ならこっちもその気にならないとね。話はそれからでいいや。まずは落ち着いてその頭冷やしなさい!!」


 遥は暴れまわるアイツを捕まえてアイツの頭に躊躇なく頭突きを喰らわせる。


「いったぁぁあ!……なんなのよコイツの頭硬すぎじゃない?!」


 思わぬ返り討ちにあってしまった遥は頭を抱える。


 そんな様子を見てアイツは、


「そんなもん?……そんなもんなのー!!まだでしょ!まだだよね?まだやれるんでしょぉっ!!?」


 再びアイツは手に持った凶器を片手に遥に襲いかかる。


「なに当たり前のこと言ってんのよ?こんなんで終わる訳がないでしょうが!」


 素早い動きで遥を攻め立てるアイツ。


 だが遥はそれを全て冷静にかわす。そして遥がカウンターばりに繰り出した回し蹴りはアイツの持つ凶器にヒット。思わず凶器を手放してしまう。


「まだよ」


 その勢いのまま遥はアイツの顎に渾身の膝蹴りを叩き込む。


 渾身の一撃はアイツの脳を揺らし倒れ込ませる。


「どう?満足したかしら?」

「はぁ…はぁ……。楽しいな…。アンタ最高だね……」


「そう?どうもありがとう」

「でも、まだだよ。まだ終わってない。…これで終わるのは勿体無い!」


 アイツは思い通りに動かない自分の体をなんとか体を動かそうと起こそうとする。


 しかしそれを止めるように遥がアイツの上に乗る。


「もう終わりよ。諦めなさい」

「なに言ってるの……まだだよ!」


「いいえ終わりよ」

「だからまだだってば!!」


「いい加減にしなさい!!自分のワガママで他人に迷惑かけてんじゃないわよ!」

「……楽しくないの?」


「は?楽しいわけないでしょ?こんな喧嘩のどこが楽しいのよ?」

「じゃあ、なんで本気出して私と闘おうとしたの?さっきの蹴りだってめちゃくちゃ良かったのに……」


「あのね……私は本気どころか自分の力の3割も出してるつもりはないのよ」

「え……」


「私と本気出した勝負をしたいのなら頭冷やして自分のやってきた事少しは反省しなさい!…そのあと、ちゃんと私の所まで上がって来なさい。いつでも来れるように部室のドアは開けといてあげるから。その時はアナタのお望み通り本気の喧嘩をしてあげる。忘れられなくなるくらいの興奮と楽しさを約束するわ。だから待ってる」

「うわぁーーーー……」

 アイツの叫びは校内中に響いた。 




「みたいなやり取りが2人の間であったらしいんや」

「2人一役での説明お疲れ様です。非常に分かりやすかったです」


「おう」

「それでアイツさんはどうしたんです?」


「ん?そりゃ決まってる。ちゃんとアイツは約束守って遥に会いにきたで。そんでそのまま、はちゃめちゃや。園芸部部長の座をかけた本気の喧嘩。正直、終わったあとの片付けとかはウチも思い出したくないくらいやわ」

「そんなに酷かったんですか?」


「酷いってもんやない。アイツらどうせやるなら場所を変えてやればいいものをわざと部室内でやりやがってな、物は壊れる、面倒ごとは増えるで大変やったんやから。それで決着ついて見れば負けたアイツは血だらけで勝った遥までも血まみれときた。まぁ、本人達曰く互いにやりたい事やった結果らしいけど何がどう起こったかまではウチもよく分からん。えげつなかったのだけは確かやけど」

「無茶苦茶なのはお2人とも同じなんですね」

「ほんまやで。少しは後片付けするこっちの身にもなってくれって話や。でも、2人からしたらそれが当たり前で最高なんやろうけど…。この戦いでアイツはそれを思い出そうとしてる。あの時の興奮をもう一度体験する為にな」




「あーーー楽しいーー!アンタ口ばっかじゃないんだね!本当に私は嬉しいよ」

「くたばれっ!この死に損ないが!!」


「死ぬわけないでしょ?このくらいじゃ死んでも死にきれない。だってお楽しみはこれからなんだから!!」


 そう言うとアイツは笑顔を見せたあと気合いの入った頭突きでアキラの持っている剣をへし折って見せる。


「なんだとぉっ!!……」




「ええぇぇーーーーー!!!」


 普通じゃありえない光景をその目で見たヤヨイは声をあげて驚く。


「ホンマ、アイツも遥と似てめちゃくちゃな奴やな」

「なんでそんな冷静にいられるんですか!!おかしいでしょ!何でもかんでもさっきからめちゃくちゃで片付けないでくださいよ!!しかもなんであんなに刺されているのに平気な顔して立ってられるんですか!!その方がおかしいですよ!!その方がって、どっちも同じくらいおかしいですけどね!!…もうどうなってるんですか……」


「ウチに聞くなや。アイツは昔からそういう奴なんや。理屈もへったくりもない」

「そんな……」

ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。


よろしければブックマーク、評価を頂けると、とても励みになります!



次回もお付き合い頂ければ嬉しい限りです。

勝手に祈ってお待ちしております。

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