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三十四話 電怒呂美宇霧/デンドロビウム

閲覧感謝です!

貴重なお時間にお邪魔します……

毒霧をまともに喰らい目も開けられずもがいているシズカ達。


その様子をゲラゲラ笑いながら見ているアイツ。


「作戦大成功!!やりたい事が出来たって超嬉しいっ!!さぁ、ここから一気に決めるよ!後ろにいる後輩ちゃん達もほ〜ら今のうちに!!」


呼びかけを受けるドヤガオ達。


「どうする、やる?」

「…やるしかないでしょ!」


「だよね!チャンスだもんね!」

「そうだよ。さっきのお返しといこうよ!」


「なら一緒に、2人まとめて3倍返しだ!!」

「そうだそうだ!って、なんで3倍?2倍じゃなくて?3倍ってなんか中途半端じゃない?2人なのに3ってなんか変だし、しっくりこないよ〜」


「何でもいいのよ!ただ雰囲気で言っただけなんだから!ぐだぐだ言ってないで一気にやるわよー!」

「は〜〜いっ!!」


2人は走り出しさっきのリベンジとばかりにシズカに狙いを定める。


それを察したアイツはコハルに狙いを定める。


「いいねいいね!その感じ。なら2人ともそっちの相手は任せたよ!私はこっちをやるからぁさっ!」


「はい!、マケガオ!アレ、やるわよー!」

「アレって?…アレ?!一度も成功した事ないのに!?」


「だからやるんじゃない!!今ならなんとかなる気がする!!だって成せばなる、やってやるわよ!それが私の個性で生き様なんだから!!」

「その自信がどこからきてるかは知らないけど、なんかイイよねそれ!私もそういうのやりた〜い!!」


「そう言うと思った。なら、分かってるわね?息を合わせるのよ」

「うん!せーのでやるんでしょ?」


「そういうこと。準備はいい?」

「いつでもいいよ!覚悟はできてる!」


シズカは目が見えないながらもなんとか立ち上がり視力の回復をはかる。


「何が、起こってんのよ……よし、もう少しで目が見えそう……目が見えればコイツらなんか……」

「よしっ……せーーーのっ!!」


走り出したまま2人は掛け声と共に飛び上がり、息を合わせて同時にシズカの顔面を狙って思いっきり両足で蹴りつけるドロップキックを放ってみせる。


「!!っ!」


2人は見事に受け身をとり着地する。


「どうだぁっ!!参ったかぁ!これが私達の3倍返しだ!!」

「できた、出来たよ!見よう見まねだったけどなんとかなったよー!」


2人はハイタッチして技の成功を喜ぶ。


目が見えず能力も発動しなかったシズカは2人のドロップキックをまともに喰らってしまった。当然、受け身をとる事も出来ずそのまま頭を地面に打ちつけたシズカはそのままノックアウト。


美しかった筈の顔面は緑色に染まり悶絶な表情のまま気絶してしまった。


「シズカっ!!」


余りにも彼女達の素早い咄嗟の行動に、ついていけなかったアキラはそう叫ぶのがやっとだった。


「なに。なんなのよ!!まさか、シズカがやれたわけ?!」

「後輩ちゃん達2人ともやれば出来るじゃん!……私も負けてられないね。今度はあなたの番だよ〜」


アイツは目が見えないコハルを掴む。


「誰!?……離しなさい!!私からその汚い手を離して!!」


先程とは打って変わって感情を露わにするコハル。


「汚くないよ〜。ちゃんと手は洗ってるし消毒もしてるから安全だよ。新しい生活様式で癖になっちゃったからね」

「何言ってんのよ!!意味わからない!とにかく離して!!」


「そうか……その前に貴方達は転生したんだね。だから知らないんだ〜」

「だからなんなのよ!それを知ってなかったらなんなのよ!!」


「別に。関係ないよー。ただ私がそう思って言いたかっただけだから」

「なんなのアンタ?いい加減にしてよね!もう私決めた。アンタから先にぶちのめしてあげるわ!私はね、別にシズカと違って目が見えないからって何も出来なくなるわけじゃないんだからね。…私の魔法を喰らいなさい!」


コハルが魔法を唱えようとした瞬間。


「もういいや。おしまーーい!!」


そう言うとアイツはコハルを掴んだまま半ば強引な形でジャーマンスープレックスの様な体制で相手を思いっきり後方へ投げ捨てる。


「ひえっ!!……うぐっぅ……」


こちらも思いもよらない攻撃を受けた結果、魔法を放つことも出来ず、もろに体や頭を地面に強く打ちつけてあっという間に意識を失ってしまう。 


想定外の結果にこれを見ていた観衆達もどよめきを隠せない。


勿論、明らかにアキラ達を贔屓していたユウリの顔も真っ青になっている。


「コハル!!マジかよ……あり得ないだろ?俺達はSランクだぞ!この街の英雄なんだぞ!!なのになんで…なんで!こんな素人の集団に負けるわけがないんだぞ!」

「さあ、今度は君の番だよ〜」


「ふざけるな!!俺がお前ら如きにやられるわけがないだろ!!」

「だったらそれを自分で証明してみてよ。私と闘っててさ!」


「……そうだな、最初から俺が1人でやればよかったんだ。結局は俺が主人公なんだ、俺が一番強くて俺さえ勝てればそれでいいんだ!そしたら俺がこんな目に遭うこともなかったんだ…。いいだろう、気が変わった。そこまで言うなら俺が本気でやってやる!」

「そうこなくっちゃ!」


そんな2人の様子を見ていたドヤガオ達。


「ねぇ、今ってチャンスなんじゃない?」

「チャンス?」


「そうよ。だってさ、アイツ、あ、アイツって男の方ね」

「うん。分かってるよ」 


「アイツさ、今はアイツさんに夢中で後ろがガラ空きでしょ?きっと私達にやられそうでムキになってるんだよ。でね、その後ろにいるのが丁度私達。これってどう考えてもチャンスでしょ!?」

「……チャンスだね!そうだよチャンスだよ!だってアイツさんのお陰でアイツは夢中でこっちのことなんか見えてないんだもん」


「だからそう言ってるじゃない!同じ事言わなくてもいいのよ。とにかく今ならアイツに奇襲が仕掛けられる。もしこれが上手く行ってアイツさんじゃなくて私達がアイツを倒したなんていったら、私達めちゃくちゃ評価されて園芸部入りもあり得るかもよ?!」

「本当に?そんな事って本当にアリ?」 


「アリよ、大アリよ!だって、ちょっと遠くで副部長であるエプロンさんが私達のことを見てるんだよ。しかもマケガオのお陰で何故か私達はエプロンさんに気に入られてる。これはこれでチャンスでしょ!!」

「もしかしてこれって一挙両得ってやつ?!」


「そうよそれ。多分それ!」

「じゃあ全部私のお陰だ〜」


「そうね。生まれて初めてアナタの気絶が役に立ったんだもんね。エプロンさんが言ってた通りこれはコンプレックスなんじゃなくて個性だったってことなんじゃない?」

「そうなのかなぁ〜」


「でも喜ぶのはもう少し後でよ。まずはちゃんと結果を残さなきゃ。2人一緒にね」

「うん!2人一緒に!」


「そうと決まったらここから一気に仕掛けるわよ。アイツの後頭部はガラ空き。狙うならそこしかない」

「そうだね。アイツはアイツさんの事しか見えてないもんね」


「そういうこと。さっきも言ったみたいにアイツがアイツさんに夢中の内にこっちが不意打ちで仕留める。アイツさんより先に!」

「なんかもう、アイツばっかでよく分からないね…」


「本当よ!誰よ!あの人にアイツなんてあだ名をつけたのは!!」

「でも、言葉だけはややこしいけどちゃんと区別はついてるならそれでいいじゃん。そんな事より早くやろうよ!気づかれちゃう!」

「そうね。……なら早速決めるわよ」


2人はアキラに気づかれないようにひっそりと駆け寄る。


「……せーのっ!!」


先程と同じように今回も息を合わせて2人同時に飛び上がりアキラの後頭部を狙って強襲をかける。


しかし、


「さっきからごちゃごちゃうるさいんだよーっ!!!」


アキラは2人に気付き2人に向けて思いっきり剣を振る。


勢いよく振られた剣の大きな風圧が強襲をかけようとしていた2人を吹き飛ばす。


「バレてたーっ!!」

「やっぱり私達じゃ無理ー!!」


2人は吹き飛ばされながら地面に体を打ちつける。


辛うじて意識はあるが2人にとって大ダメージなのは間違いない。


「死に急ぐなよ、後でちゃんとお前らの相手もしてやっから黙って見てろ!」


「2人とも大丈夫!?でも、コイツは私の相手なんだから抜け駆けしようとするからそんな目に遭うんだよ〜。だけど大丈夫。ちゃんと私が仇は打ってあげるからね!」


「なんなのこの人たち……」

「もういやーーっ!!」


そう言って2人は倒れた。

ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。


よろしければブックマーク、評価を頂けると、とても励みになります!



次回もお付き合い頂ければ嬉しい限りです。

勝手に祈ってお待ちしております。

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