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三十三話 鈴懸乃喜/スズカケノキ

閲覧感謝です!

貴重なお時間にお邪魔します……

「ねぇ、どうするの?アイツら本気で私達を殺そうとしてる!このままじゃ私たち勝つどころか、本当に死んじゃうよー!」

「……私だってあんなの見せられて勝てる気なんかしないわよ!」


「じゃあさ…!」


「そうね。……こういう時はそれしかない」

「うん…。これもせーのでやる?」


「いや、必要ない。だって、私が先に行くんだから!逃げるが勝ちよー!」


 ドヤガオは我先にとアイツのいる方へ逃げていく。


「あっ、ズルい!私のこと置いてかないでよー!」


 それを追うようにマケガオも逃げ出していく。


「逃げた…シズカ、追わなくていいの?」

「慌てる必要もないんだからほっときましょう。負け犬らしい正しい選択をしたんだから、ご褒美に少しの間は生かしといてあげましょ。どうせ勝つのは私達なんだから」


「シズカらしいな」


「アキラにだけは言われたくないわ。こんな見え見えの挑発に乗って弱い者いじめしようとしてる貴方にはね」

「よく言うよ。それにこれはな、弱い者いじめなんかじゃない。強者が弱者に格の違いをただ見せているだけに過ぎない。俺達は当然で当たり前のことをしてるだけなんだからな」


「そうだったわね。強者は常に堂々としてなきゃね」

「そういうことだ」


 逃げ出したドヤガオ達は慌ててアイツ元へ駆け寄る。


 するとアイツは2人に笑顔のまま無言で頷くと、ようやくアイツはアキラ達の元に歩みを進める。


「怒られなかったね」


「うん。正直、めちゃくちゃドヤられると思って覚悟してたからちょっと拍子抜け。でもさあの笑顔」

「うん。違和感ありすぎて逆に怖いよね」


「遂に来たぞ。例の奴」

「さっきからずーっと私達に笑いかけてた奴ね」

「気持ち悪い」


「そんな事言ってやるな。きっと彼女なりの必死な抵抗なんだ」

「そんなに言うならアキラが相手してやりなよ?」


「分かってる、そのつもりだ。俺がちゃんと責任もって力の差を分からせてやるさ」


 アキラは手に持っている剣を構える。


「さぁ、どこからでもいいぞ。かかってこい」


 アイツは笑顔のままアキラに徐々に近づいていく。


 そしてそのまま笑顔のままアイツはアキラの横を過ぎ去っていく。


「?おいっ!お前の相手は俺だぞ!こっちを見ろ!」


 アキラの叫びは通じないままアイツはシズカとコハル元へ近づいていく。


「あら、アナタも私達とやりたいわけ?……しょうがないわね。いいわよ。相手になってあげる。コハルもいつも通りね」

「分かってる。今度は外さない」

「期待してるわよ。さぁ、どこからでも、どこを攻撃していただいても構わないわ。どんな攻撃でも受け切ってあげる」


 シズカは手を広げ無防備な体制をとる。


 シズカ達の側まできたアイツの顔は更に笑顔が目立つようになる。


「なんなのアンタ……!」


 シズカが一言。


その後、一瞬の出来事だった。


 アイツは口に含んでいた緑色の液体をシズカとコハルに向けて思いっきり吹き付ける毒霧を放ったのだ。


 思わぬ一撃が2人を襲い動揺を隠せないまま2人はしばらく目を開けれずに行動が困難になる。


「……なんなのよこれ!……なんで私が痛みを感じるのよ!!……痛い、痛い、何も見えないっ!!」


「……目がぁっ……んっ…な、何が起こったの?、私そんな魔法知らない!」




「私もそんなの聞いてません!何がどうなっちゃってるんです!!?」

「落ち着きいや、ヤヨイ。ウチがちゃんと説明したるから。ええか?奴らはこれが魔法とかなんとか言ってたけどアレはそんな大層なもんちゃう。ただただ口に含んでいた液体を顔に吹き付けただけのただの嫌がらせや。昔からの古典的な技やけどな、意外とされるとどうしようもないねんなぁ、コレが」


「嫌がらせのレベル過ぎてますって!いつから考えていたんです?」

「考えてたっていうよりはさっきアイツにウチがそれに必要な道具を渡しておいたんや。一応毒霧はウチの得意技やからなぁ。いつでも出来るように道具は携帯してんねん」


「なんかもう色々と聞きたいことが多すぎてよく分かりませんが、なんでコハルはともかくそんな嫌がらせみたいな技がシズカに効いたんでしょうか?シズカはどんな攻撃でも効かない筈なのに。なんでこんなに?」

「ダメージ自体は大したもんやない。さっきも言ったけどこれはただの嫌がらせや。相手を倒せる技やない。でもな、相手の不意をつくのには最適な技や。それこそ意識外の攻撃に弱い奴には特にな」


「?……あっ!そういうことですか!!」


「そうや。どんな攻撃も効かない体でも意識外なら関係ないんやろ。それに毒霧は相手にダメージを与える攻撃じゃない。無効化された所で意味もないからな!そもそも奴もこんな事をされるなんて奴は夢にも思ってない。仮にや、それを警戒していたとしても顔にさえかかってしまえばこっちのもんや。しかも、一度攻撃をくらえば暫くは目も開けられない。それなら……」

「やりたい放題!!見えてなければチートスキルは使えませんからね!!」


「そういうこっちゃ」


「スゴい。まさか、これってシズカの能力の事を見越してのこの作戦だったんですか?」

「なわけないやろ。そもそもな、ここまで毒霧が活躍する事すら珍しいねんから。ウチもびっくり仰天や!」


「これ、本当に勝てるかもしれませんよ!」

「かもやない。必ず勝つんや。よーく見とき。ウチらの仲間が勝つところを」

ここまで閲覧頂き誠にありがとうございます。


よろしければブックマーク、評価を頂けると、とても励みになります!



次回もお付き合い頂ければ嬉しい限りです。

勝手に祈ってお待ちしております。

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