三十一話 弾輝来怨/ダンデライオン
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そして決闘直前。
「……ハッ!今何時!?もう終わった!?」
気絶していたマケガオがようやく気がついた。
「残念。丁度これからよ」
「えーーー。内心ラッキーって思いながら気絶したのに…こうなったらもう一度気絶するしか!」
「もう、諦めなって。私も嫌だけど覚悟決めるしかないのよ。…イヤだけどさ」
「そんなーー。私達が勝てるわけないじゃん!むりだよ~」
「それでもやるしかないのよ。私達に拒否権なんかないんだから。それに、私達2人とも何故かエプロンさんに気に入られちゃったから尚更負けられないのよ」
「え、なんで!?いつの間に!」
「アンタのその変な特技のせいで変な人に気に入られちゃったんでしょうが!もう、どうしてくれんのよー!」
「ちょっと!本人近くにいるんだから聞こえたらどうするの!?」
「そんなのもうどうでもいいわよ。どうせこの戦いで負けて遅かれ早かれ痛い目にあうんだから。そんなの気にしてられないわ。だったら言いたいことぐらい言って痛い目にあった方がよっぽどマシよ」
「やけくそだね……」
「仕方ないでしょ!下手したらこれで私達死ぬかもしれないのよ。だったらもう後のことなんて知らないわよ!」
「じゃあ私はどうするの?」
「だから!一緒にやるのよ!このまま無様に死にたいの?」
「死にたくないよー!」
「でしょ?だったらあんたもやけくそでもなんでもいいからめちゃくちゃ本気だして頑張るのよ!それしかないの!」
「うん。…でもどうしよう?」
「何が!」
「戦い方だよ。相手は私達が知るようなヤンキーとかじゃないんだよ!この世界の人達と戦うことすら初めてなのに魔法とか変な技とか出してこられたら防ぎようがないじゃん!」
「それは……」
「それは?」
「私に聞かないで!」
「えーーーーー…」
「そんな顔しないでよ。相方のアンタが思いつかないんだから私が思いつくわけないでしょ」
「じゃあ、私達勝てないじゃん!!」
「いや、まだそうと決まったわけじゃない。私達にはアイツさんがいるのよ。あのアイツさんならきっとなんとかしてくれる!筈…。もしもの時は全部アイツさんに任せちゃえばいいのよ」
「でもさ、アイツさんが強いのは私も知ってるけど、大丈夫なのかな?急に出てくる火の玉とかビームとか食らっても平気かな?」
「さぁね?あの人ならどんな攻撃を受けても平気で笑ってそうだけど…。でも見てみなさいよ、そんなアイツさんの顔」
「ん?」
アイツはずっと一言も喋らずアキラ達を一度も目を逸らすことなく笑顔で見続けている。
「何あれ、どういう感情?もしかしてもう、始まってるの?」
「そうなんじゃないの。私にはさっぱり分からないけど。でもなんか策があってじゃないかしら?」
「だったらさ、話かけてみようか?」
「は?やめときなって!怒られたらヤバイよ!ただでさえピリピリしてるかもしれないんだから」
「でもさ、作戦があるなら私達も知っておいた方がいいじゃん?一応私達一緒に戦う仲間なんだから」
「それはそうだけど……」
「だから一緒に聞きに行こ!」
「イヤよ。私は行かないわよ!ちょっ、待ってって、あーー……」
「いいから行くの!」
マケガオは嫌がるドヤガオを強引に引っ張ってアイツの元に連れていく。
「あの、アイツさん!作戦とかあるなら私達にも教えてくれませんか?」
アイツの雰囲気に動じる事なく話しかけるマケガオ。
するとアイツは2人の方を見るとさっきまで笑顔だった顔が一瞬で真顔になる。
「え!…」
「ほらー!……」
真顔のままアイツは2人に向かってゆっくりと首を縦に振る。
それが終わると直ぐに笑顔に戻してアキラ達を再び見続ける。
「ねぇ、今のどういうことかな?」
「……ごめん、流石にあのリアクションは想定外」
「怒ってる?」
「いや、そんな感じに見えなかったけど寧ろちょっと喜んでる?」
そんな会話をしていると遂に決闘の合図が聞こえだす。
「それでは皆様!準備と覚悟の方はよろしいでしょうか?」
「勿論だ。俺達の準備はとっくに出来てる。覚悟の準備なんてそもそも俺達には必要ないからな」
「流石ですね、アキラ様。これがSランク冒険者の余裕と言ったところでしょうか。是非モノの違いとやらを彼女達に見せてやってください!……私の手が必要ないのなら、それにこした事はありませんから……」
その様子を少し離れた所から見ているエプロン達。
「なんなんあの女!さっきから怪しいなーとは思っとったけど露骨に奴らの事を贔屓してへんか!?アイツは審判みたいなもんちゃんうか?だったらもっと公正にやるべきやろ!」
「多少の贔屓は仕方ありませんよ…。ギルドにとってS級冒険者は大切な存在であり1番の貢献者ですから……」
「こうなったら意地でも勝つしかないな!勝ってわからせる。勝ったら贔屓も関係ないやろ!お前ら!奴らに目にもの見せたれや!!」
「……」
「ほら、ヤヨイも応援したってよ」
「あ、はい。皆さん頑張ってください!……」
「ちょっとどうしたんよ?浮かない表情して」
「いや、皆さんが強いってのは私も分かってるんですけどやっぱり心配で……スミマセン」
「ヤヨイ……」
「そんなに心配なら何が心配かぐらい教えてくれる?」
「!カモメさん…」
「私も一応自称情報屋だからさ、気になった事はなんでも知りたいたちなんだよねー」
「でも……」
「仲間になったんでしょ。だからって隠し事するなって言うわけじゃないけど、でもそれってさわざわざ隠す事でもないんじゃないの?」
「カモメも随分ヤンキーらしくなったやんけ……」
「私はただ皆さんの真似をしてるだけですよ。それにこれはヤンキーとか関係ないですから」
「真似でも結構。自分の口で言ったらそれはもう自分の言葉や!」
「…分かりました。ならお話しします。でもそれは私達が仲間だからです。だからこそ!正直にお話し致します……このままだと私達は勝てません」
「珍しく言い切るんやな……」
「すみません……さっきも言ったみたいに皆さんが強い事は私も知っています。でも、どうやってもこのままじゃ勝てないんですよ!いくら考えても皆さんが勝てるビジョンが浮かばないんです。あ、だからって皆さんが奴らより弱いから負けるて言ってるわけじゃありませんよ」
「分かっとるわ。だったら何が問題なんや?」
「アキラです……」
「あのバカ、そんなに強いんか?」
「アキラは今まで一度も負けたことがないんです」
「……たまたまでしょ?」
「違います!」
「だったら単に自分より弱い奴だけと戦ってるだけとか?」
「それは……なくもないかもしれませんが……。」
「否定しないのね」
「そういう奴ですから。それにそれはそれで強さの一つには変わりありませんから。しかも一応まがいなりにも奴はSランク冒険者です。それにはちゃんと理由もある」
「チートスキルか」
「その通りです。前にも言った通り私達転生者は強力な能力を持ってここに生まれます。その能力の強さはまさにチート。この世界のバランスなんかガン無視の強さを誇るものばかり。私の持ってる鑑定の能力もその内の一つなわけです」
「どんなスキルなの?」
「今から話すことは絶対に内緒にしてくださいね。この国では基本的に他人が持つ能力を知ることやそれをまた誰かに話すことは禁じられているんです。バレたら即処刑です」
「ならこれで共犯や。死ぬ時はウチらも一緒に死んだるわ。カモメもいいやろ?」
「……まぁ、仲間ですから。覚悟しますよ」
「そこまで仰るなら私も覚悟を決めます。私の知ってる事は全部お話しします。もう秘密にしたり言うかどうかで悩んだり、そんなつまらないのはもうやめます!だって私も仲間ですから!」
「言ったな?」
「ええ、言いました」
「なら話してもらおうか?仲間のために」
「はい!」
そんな2人をよそにカモメだけは疑念の表情でユウリを睨み見つめていた…………
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