二十七話 腐慈薔破魔/フジバハマ
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かつての仲間達と会話するヤヨイ。
そんな空気感に飲み込まれてしまい少し居場所の無さを感じるエプロン達。
「なぁ…これ、ホンマにウチらいたか?ヤヨイめっちゃ饒舌にかましてるやん。これならウチらも一緒にいる必要ないんちゃうか?……」
「でも私達がいるお陰で気にせず好きな事言えてるんじゃないの?」
真面目にヤヨイの事を考えるアイツに一同、驚きを隠せない。
「!!…アイツ。どうしたのよ。まともな事言っちゃって。熱でもあるんじゃないの?」
「?私は平気だよ。風邪もひいてないし、気持ち悪くもないよ」
「良かった。いつも通りのアイツや。だとしたら余計不思議や…」
「先輩達はアイツさんの事ちょっと馬鹿にしすぎなんじゃ?」
「別に馬鹿になんかしとらんよ。ただ、いつもとちょっと違うから不思議に思ってな。それに自分らはあんまり知らんかもしれへんがアイツはこういうヤツやで」
「何を…そんなわけないですよ。私達、一応高校生ですよ。それにアイツさんは私達と違って大人ですし…」
「ほら、ちゃんと体温も平熱でしょ?見てみて?」
どこからか取り出した体温計で自分の熱を測りその結果を私達に見せつける。
「な、これで分かったやろ。年齢なんて関係あらへん。アイツはこういうヤツや」
「……よーく分かりました。覚えときます」
「それで話ってのはな〜に?私にあんな事をしておいて、その上わざわざ手紙を出してまで私と話したい内容って一体なんなの?」
「……分かってるだろ。俺達がテンプレ的にヤヨイを追放したのなら次に取る行動は決まってるだろ?大分遅くなってしまったが……」
「さぁ?私には見当もつかないわ」
「ヤヨイ。ちょっとは前みたいに私達と話してくれてもいいんじゃないの?」
シズカの言葉にヤヨイは。
「無理に決まってるでしょ。それにそうさせたのはアナタ達でしょ?」
「…………」
「……ヤヨイあんなに色々強気なこと言ってたけど、結構奴らの事未だに未練持ってたんやな」
「うん。無理もないよ。どんな事があったにしろ一度は仲間だったんだもん。そう簡単には割り切れないよ」
「またまともな事を…」
ヤヨイ達に聞こえないボリュームで話すエプロン達。
「…ヤヨイの気持ちは当然だ。ヤヨイが言った通りあの頃の俺達は憧れていた異世界転生ができて少し調子にのっていた」
「少しね……」
「あ、いや、少しじゃない、とても調子にのっていた。今思えばあの頃の俺達は本当に間抜けでバカだったと思う。本当に反省している。あの時の判断にはとても後悔しているよ。こんな展開飽きるほど見てきたつもりなのにな…」
「何が言いたいの?」
「単刀直入に言わせてくれ。俺達とまた一緒に過ごさないか?…今も俺達にいい感情を思ってない事は百も承知だ。それだけの事をしたんだから無理もない。でも俺達はこの3年間で変わったんだ!…言葉だけで信じろってのも無理なのは分かってる。だからそれを証明する為にもう一度俺達を信じて欲しいんだ!頼む!」
アキラはヤヨイに手を差し出す。
「……シズカやコハルはそれでいいの?」
「勿論私達もアキラと同じ気持ちよ。また一緒に仲良くやっていきましょう?」
「私も同じ。元日本人どうし一緒の群れで生きるべき」
「……そう。気持ちは伝わったわ」
「本当か?」
「ええ。確かにアナタ達も変わったみたいね。今までならそんな言葉すらアナタ達の口からは出なかったと思うから」
「それなら!…」
「エプロンさんどうします?このままじゃヤヨイ、彼らの元へ戻っちゃいますよ…一応ヤヨイも仲間なんですよね?だったら、」
「一応やない!正式なウチらの仲間や」
「そうでしたね」
「それに多分やけど、カモメが考えてるような事は起きへんで」
「え、どうしてですか?」
「この手のパターンは異世界物ではよくある話や。これが王道パターンなら、そろそろウチらの出番かもなぁ?」
「??」
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