乙女ゲームのように人生一度でいいからモテてみたいと思いながら死んでしまった私が、異世界で三人の義兄弟の王子達から求愛されて悶絶死しそうになる ~風邪~ 【モテ悶7】
「あれ? ……何だか頭がクラクラする……」
ガンッ!
今朝から体調が優れなかったのだが、無理して王宮の掃除をしていたら、フラフラしてドアに頭をぶつけてしまった。
「ユフィア王女様?!」
「あ、大丈夫です……」
一緒に掃除をしていたメイドのミラリナが、心配して身体を支えてくれた。
「……大丈夫には見えませんよ……。ん? 身体が物凄く熱くなってますよ!!」
「そうなの?」
……言われてみれば、身体が熱い気もする……
「直ぐに、お部屋にお連れします!!」
ガバッ!
「え!?」
ミラリナがいきなり私をお姫様抱っこした。
タッタッタッ!
そして、そのまま駆け出して、私の部屋へと向かう。
「……あれ?」
こういうのって、王子様にされるものじゃないの?
……初めてのお姫様抱っこを、同性のメイドにされてしまった……
◇
「これは高熱が出やすい風邪ですね」
部屋のベッドでしばらく休んでいると、宮廷医師が診察をしてくれた。
……風邪で高熱になっていたのか……
……通りで頭がクラクラして、ブルッと寒気もするわけだ……
氷枕で首の動脈を冷やしているので、体温は下がると思うけど……
寒気によって布団の暖かさを感じないため、広い部屋がいつも以上に広く感じられた。
「……そういえば、一人暮らしで風邪をひいた時も、こんな風に一人で寝込んでいたな……」
転生前のことを思い出すと、寂しさが増してくる。
「……寂しい……」
そう口にした矢先。
バタン!!!
「え?」
「「ユフィア!!」
「ユフィア姉さん!」
勢いよくドアが開いたと思ったら、ロドリアお兄様、ラフタス、ミランドが同時に入って来た。
「……高熱が出たと聞いたぞ……」
「……私に何かできることはありますか……」
「……ボクが身代わりになれないかな……」
王子達が各々(おのおの)心配してくれている。
ウグッ!
いつもならテンションだだ上がりの展開なのに!!
病気のこの身体が口惜しい!!
あ、でも、風邪をひかなかったら、このシチュエーションはなかったのか……
そう考えると、不思議と風邪も悪くないと思えてくる。
とはいえ……
しんどいものはしんどい!!
私は心の中で叫んだ。
が、段々(だんだん)、少し身体を動かすだけでも辛くなってきた。
王子達が心配そうに私をじっと見ている。
最高か!!
……もうこのまま死んでもいいや……
「……あっ……」
宮廷医師が処方してくれた薬を飲んだからか、眠気が………
……ああ、ずっと王子達を見ていたい……
見ていたいのに………
「も、もう、ダメだ……」
「「ユフィア!!」
「ユフィア姉さん!」
王子達の叫び声も空しく、私は眠ってしまった。
◇
「あー、よく寝た」
目を覚ますと同時に、私は上半身を起こして、身体を伸ばした。
薬が効いたのか、熱はすっかり下がっている。
「クスッ!」
布団の上を見て、私は微笑した。
ロドリアお兄様、ラフタス、ミランドの三人が腕枕をした状態で、私の方に顔を向けたまま眠っている。
「……ありがとう、私の王子様達……」
風邪をひいて辛かったはずなのに、私の心は幸せな気持ちになっていた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!!
短編なので毎話続きではありませんが、『モテ悶』の第7弾を書いてみました。
先日、風邪をひいてしまったので、今回はこんな話になりましたw
……皆さんも、季節の変わり目は風邪をひきやすいので気をつけましょう……
時系列関係なく好きな話を書いて、話が溜まってきたら、編集して連載小説として投稿するのもありなのかなぁとか考えています。
評価が多いと続きを書きたくなる気持ちになりやすいので、もし続きを書いて欲しいと思った方がいましたら、画面下の「☆☆☆☆☆」から評価をよろしくお願いします。
感想も気軽に書いていただければと思います。
ブックマーク登録は嬉しいですが、続きを書くにしても、しばらくは短編で投稿して行くことになると思いますので、お気に入りユーザで登録してもらった方が便利かもしれません……




