漫画家・高橋留美子先生の執筆スケジュールに仰天した
「うる星やつら」「らんま1/2」「犬夜叉」などで有名な漫画家、高橋留美子先生のTwitterが面白い。
https://twitter.com/rumicworld1010
6月に開設され、担当編集の方が主に運営されているのだが、出版物の案内などのほか、先生が読者の質問に直接答えるコーナーなどもあって、実に楽しい。
最近まで行われていた先生の「お家ツアー」では、玄関に等身大ラムちゃんがいたり、膨大な書庫や仕事机が見られたり、連載作品の開始号のサンデー本誌が取ってあったりと、何とも貴重な画像や情報が次々公開されている。
先生の作品のファンで、まだご存知なかった方、是非是非ご覧ください。
ところで、先のアカウント開設当初に、先生の執筆スケジュールが載せられたことがある。
https://twitter.com/rumicworld1010/status/1399667038981791746
作画期間の話とはいえ、このスケジュールに度肝を抜かれた人も多いのではと思う。
なにせ、夜の21時に作画がスタートし、そのまま翌日9時まで作業。
そして3時間ほど就寝したあと、昼の12時からはまた活動が始まる。
そりゃ、もっと過酷なスケジュールで執筆している漫画家さんやイラストレーターさんなどは沢山いるだろう。
しかし、高橋先生はこれまで長年に渡って連載を続けてこられた身であり、さらに5月に「ベルセルク」を連載されていた三浦建太郎先生が死去されたこともあって、返信欄は先生の健康を気遣う声であふれた。
確かにその気持ちは十分わかる一方で、ご本人がこれがいいならいいのでは?とも思った。
というのも、高橋先生はこれまで数多くの長編漫画を世に送り出し、今も現役で連載活動中である。
常人には到底、理解も到達もできない域まで達している方だ。
その方が、このスケジュールがいいと言っているのだから、それがベストなのだと。
睡眠時間も人によって必要時間は違うし、長く寝ればいいというものでもない。
またこのスケジュールを見て、自分はそれほど不健康ではないと思った。
それは、作画以外の時間に「家事」がちょくちょく入っていることだ。
以前のエッセイで健康維持に大切な、「NEAT」という概念をご紹介させていただいた。
NEAT(非運動性活動熱産生、Non-Exercise Activity Thermogenesis)とは、「しっかりとした運動ではなく、立っている姿勢を維持したり家事をしたりという日常生活の動きをする際に発生するエネルギー」のことだ。
つまり、一見不健康そうに見えるこのスケジュールも、執筆以外の時間で家事などをし体を動かしているので、言うほど不健康ではないのでは?と感じる。
人の心が十人十色なように、健康や生活もそれぞれ違ったベストな形があり、本人がそれで結果が出てなおかつ健康であるならば、それが一番なのではと。
かくいう自分も仕事はほとんど自宅の椅子に座って行なっているが、人間ドックや健康診断でいつも問題がないのも、ちょくちょく家事をしたり散歩をしていることが大きいはずだ。
最後にもう一つ。
高橋先生は仕事について、楽しいが9割5分、のこり5分は「眠い」の辛さだそうだ。
https://twitter.com/rumicworld1010/status/1410176289219219458
最強すぎる。
自分も恐らく、好きなことをやっているという「心の健康」が、肉体の健康維持にも貢献しているように思う。
また、好きなことだからこそ没頭できるし、他者から見たら無茶なスケジュールでも、本人は自然とこなせるのだ。
しかしながら、多くの人は仕事について、辛いことの方が遥かに多いのではないだろうか。
自分の身の周りでも、好きでもないしやりたくもない仕事で心をすり減らしている方は沢山いる。
そんな現実にうんざりしている人が多いからこそ、異世界で無双する「なろう系」が人気になるのではと。
批判も多い「なろう系」だが、その前に批判すべきは社会のあり方だと自分は思っている。
いつの時代も、創作作品は社会の鏡だからだ。
そして、心をすり減らしながらも今と向き合っている人たちがいるからこそ、社会が成り立っている。
そこには感謝の念しかない。
自分は「なろう系小説」は書けないが、携わる音楽という分野にて、少しでも心を動かせたり楽しませられるものを作りたい。
それが、誰かの「心の健康維持」に役立てれば、こんなに嬉しいことはない。
高橋先生の執筆スケジュールに驚きつつ、ふとあれこれ感じてみた。