第5話『毎日ではないけれど』
台風凄かった…。
嗚呼あぁああぁぁあーー‼︎‼︎⁈
私は何をトチ狂った事を言ってるんだ‼︎
ヤバイ⁉︎
伊織くんが何かポカーーんとしてる⁉︎
事情を説明せねば‼︎
し、深呼吸して…スーー…ハーー…。
良し‼︎立て直しだ‼︎
「ん…、すまない。少し言い方を間違えてしまった。実はだな…。非常に言いにくいのだが、私は多少?
料理が苦手でな?
それに仕事が忙しいので、外食で済ませてしまう事が多くてな?このままではいけないとは思っていた所だったんだ。」
嘘ですけどね?多少じゃなくて壊滅的ですけどね?
弟には毒扱いされてますけどね?
仕事なんて、ほぼ定時で終わりますよ?
だって私、優秀ですから‼︎
残業しなくても終わりますから‼︎
「それでだな…。君の…伊織くんの料理を食べてだな、その…ファンになってしまったんだ。」
だって!こんな料理食べたらホカ弁なんて食べたくないじゃん!コンビニなんて無理じゃん!
「そこで、提案なのだが…材料費は全て私が持つ。毎日…いや、週に何回かで構わない。私に伊織くんの料理を振る舞ってくれないだろうか?」
正直、金を払っても食べたいレベルだ。
下手なチェーン店で食べるよりも、伊織くんのご飯の方が断然いい。
彼は少し考えた後にこう言った。
「まず、材料費は折半させて下さい。僕も修行中なので、高峰さんに試食していただくと言うのはどうでしょう?僕も意見を言ってくれる方は貴重ですし。それと、学校の授業は15時過ぎには終わるのですが、週に何回かその後に師匠の特別授業があるので18時ぐらいになります。
あと、週に3回ぐらい18時から22時までアルバイトをしています。それなので、毎日は難しいです。それと学校の期間が2年なので、そこまでで終了になります。それでも良ければ。」
え?それっていいって事?
試食に協力?しちゃう、しちゃう!
喜んでしちゃう!寧ろご褒美?
ンフ♡いかん、冷静に…クールにだ。
「うん。それで構わない。では、契約成立だな。」
「ハイ。こちらこそよろしくお願いします。」
そう言って彼は頭を下げてた。
「いや、頭を下げるのは寧ろ私の方だ。
こちらこそよろしくお願いします。」
私も頭を下げた。
こうして、2人の「御飯契約」が始まった。
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