第25話『幼馴染』
今回は短め。
伊織視点です。
今日は日曜日だ。美咲さんだけじゃなく、今日は小夜さんも休みだ。なので今はお昼を作っている。今日のメニューはキーマカレーだ。
「キーマカレーって初めてかも?
どんなカレーなの?」
「簡単に言うと挽肉を使ったカレーだよ。ヒンズー語で細切れ肉の事をキーマて言うんだ。ある意味ドライカレーに近いけど、玉葱とトマトなんかをカレー粉で炒めて作るんだ。」
「へー。あ、温玉乗せるの?温玉大好き!」
「本来は乗せないけど、乗せても美味しいんだ。
美咲さん、好きでしょ。」
「えへへー♪伊織は優しいねー。」
「ん。カレーの匂い。美味しそう。」
そうして挽肉を炒めていき、そこに玉葱のみじん切り、ニンニク、生姜を加えて更に炒めていく。本来ならカレー粉を使うが、僕の好みであえてカレーフレークを使う。この方が日本人好みだと思ってる。仕上げに角切りのトマトを入れて完成。見た目はガパオライスみたいだけど、これも立派なキーマカレーだ。
「よし!完成。食べよう。」
「わーい!食べよ食べよ!」
「ん。私がご飯を盛る。」
「あ、美咲さん。サラダ取り分けて。」
「はーい。小夜は粉チーズ多め?」
「ん。お願い。」
3人での食事もだいぶ慣れてきた。
いつもの様に会話しながら食事をする。
「んー♪美味しい!
普通のカレーとは違うけど、こっちもいいね!」
「ん。温玉と混ぜるとまろやかになる。
美味しい。これ好き。」
「ありがと。おかわりもあるからね。」
キーマカレーは好評なようだ。
「それで、お昼食べたら
どこか行きたいんだっけ?」
「そう。近くに出来たショッピングモール。
買い物しに行きたい。」
「そろそろ夏物も出てるしねー。伊織の好みの服を着たいから小夜と見て回りたい!」
「伊織は好みを教える。必須。」
好みって言われても、2人ともこれ程の美人だ。
何を着ても似合うと思うけど…。
「あと下着も見る。伊織も一緒。」
「そこは絶対無理!断固拒否しますっ!」
「え〜っ?なんで〜?一緒に選んでよ〜。」
あそこは聖域だ。男が立ち寄っていい場所じゃない。断固拒否だ!
そんな言い合いをしている時だった。
ピンポーーン!
「あれ?誰だろ。宅急便かな?
はーい!今開けまーす!」
僕が玄関を開けると、
ガバァッ!
「イッくーーん!久しぶりーー‼︎
会いたかったよ〜〜〜!!」
いきなり美少女に飛び付かれた!
「こ、小雪⁉︎」
「そーですよー!愛しの小雪ちゃんですよー♪」
「な、なんでここに??」
「えへへー♪それはねー…」
すると背後から寒気を感じた。
「伊織……誰なんだソイツは?」
うぉっ…美咲さんが戦闘モードに⁉︎
「伊織…ダレソレ?」
さ、小夜さんの背後に般若が見える⁉︎
「え、えーと、コイツはですね…。」
僕がしどろもどろしていると、
「うえっ⁉︎なになにー??大変だー!なっくーーん!大変だよー!いっくんが女連れ込んでるよ⁉︎
それも2人もー!!」
「小雪、オマエ早いんだよ。階段を3階までダッシュで行くって…何だって?」
「だからー。いっくんが女連れ込んでるのー!」
「おー!伊織、久しぶりー!元気そうだな。
ところで、何で美人が2人もいんの?」
前も後ろも説明を求めてる感じで…
なんなんだ?このカオス…。ヘルプミー。
とりあえず2人には部屋に上がって貰った。
「えーと、紹介します。この2人は僕の幼馴染で親友の…夏樹と小雪です。」
「初めまして、二宮 夏樹っす。」
「相楽 小雪でーーすっ!」
「それで、こちらが…」
「高峰 美咲だ。」
「桐野 小夜。」
「「伊織の彼女です。」」
まあ、そうなんだけどね?
でも、この場で言うとさ…。
「おいおい?伊織、2人とも彼女ってどういう事だよ?説明しろよ。意味わかんねーぞ?」
「そーだそーだ!説明しろー!私はいっくんをそんな子に育てた覚えはないぞー。」
僕もオマエに育てられた覚えは無いわ。仕方がないので僕は2人とこうなった経緯を説明した。
「ふーん。なるほどなー。伊織らしーっちゃらしーか。ま、いんじゃね?不幸な人がいないんなら。」
「そーだね。仕方ない。認めてあげよー。
ありがたく思いたまえー。」
なんで小雪は偉そうなんだよ。
夏樹も小雪も小学校からの幼馴染で親友だ。
夏樹は絵に書いたようなイケメンだ。文武両道を地に行くヤツで、スポーツ万能、成績優秀、明朗快活な性格で男女を問わず人気者だ。
小雪は金髪の長い髪をサイドポニーにしている美少女だ。活発で明るい性格をしている。こう見えて成績も良い。見た目はギャルっぽいが中身は真面目なところもある。
ちなみにこの2人は、僕が協力して高校の時から付き合い始めた。
「へー。幼馴染かー、ビックリしたー。」
「浮気かと思った。戦争する覚悟だった。」
2人も納得してくれたみたいだ。良かった。
「それにしても2人ともホントに美人っすね?
どうか伊織の事、宜しくお願いします。
俺が言うのも何ですけど、本当にいい奴なんで。」
「あー!私もお願いしまーす。不束者ですがよろしくお願いしまーす!」
「…不束者はオマエだ。」
「えー?いっくん酷いよー。
なっくーーん!慰めてー?」
そう言って夏樹に抱きつく小雪。
「あ〜、お二人ともビックリしますよね?小雪は抱きつき癖があるんすよ?主に可愛い女の子限定っすけど。あっ、俺と伊織だけは例外ですね。幼馴染なんで。」
「2人ともスッゴい可愛いー!抱きついてもいいかなー?ねー?いっくんー。平気?」
平気な訳ないだろ。全く…小雪は相変わらずだな。
でも、この2人が居たから今の僕がいるのは間違いない。それぐらい大事な親友だ。
「2人は大学生なの?」
「ハイ、そうっす!東大文1の1年です。弁護士目指してます!」
「同じくー!東大文1の1年生でーす!将来はなっくんのお嫁さんでーす。」
「と…東大生?2人とも?」
「スゴい…。頭いい。」
2人が驚いてると夏樹がこう答えた。
「俺なんか大した事無いっすよ。高校の時、伊織に一回も勝てなかったし。はっきり言って伊織の方がすごいっすよ。」
「そーだねー。いっくん、いつも1位でなっくんが2位でー。私が3位だったー。」
「こ、高校はどこなんだ?」
「あれ?伊織から聞いて無いっすか?『海皇高校』っすよ。それに伊織が東大受けてりゃ理3の合格間違い無しって言われてましたし。」
「そーそー。いっくんに教わったから私達も東大合格出来たしねー。」
「「か…海皇高校」」
海皇高校は全国的に有名な進学校だ。毎年何人もの東大合格者を輩出している名門だ。
「だから、伊織が専門学校に行くって言った時は先生方が総出で止めてましたしね。あの時は大騒ぎだったなー。」
「夏樹…」
「うっ…わかったよ。余計な事は言わねーよ。」
美咲さんも小夜さんもビックリして固まっているよ…。もう過去の事だから話したく無いのに。
この様子だと、後で質問責めだろう。
「それにしても、今日はどうしたんだ?
急に来るなんて?何かあったの?」
僕は話題をズラした。あまり、昔の事には触れたくないんだよね。
「ん?あぁ、大学も慣れて来たし、暫く伊織の顔も見てなかったからな。小雪が会いたがっていたから押し掛けた。」
「そんな事だと思ったよ。連絡くらいしろよ。」
「サプライ〜〜ズ!!」
小雪がテヘペロしながら目元にピースサイン。
「はぁ…ま、いっか。それで?今日はどーすんの?
僕達もこれから出掛ける予定だったんだけど?」
「えー!お出掛け?行きたい!小雪も行きたい!
ねー、なっくん行こうよー!」
「小雪、邪魔しちゃ悪いだろ?また今度来ようぜ?」
「別にいい。大丈夫。」
「そうね。せっかく来てくれたんだし、帰って貰うのも悪いわ。」
2人が賛同した為、なし崩し的に5人でショッピングモールに向かう事になったのだった。
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