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第24話『同棲生活』

お陰様でブックマーク3000件突破!

50万PV突破しました!

ありがとうございます!


今回は伊織視点です。

「だあーはっはっはーーっっ!

ヒーヒーヒーーっ!おもしれなぁー!

いきなり彼女2人?ないわー!

まじないわー!やるなー。伊織!」


この大爆笑しているのは瀧澤亮司。師匠だ。


いつもの様に特別調理室に来ると、いきなりコレだ。おそらく情報を仕入れたのだろう。発信源はわかってるけど…。


「…一応、聞くけど密告者はダレ?」

「ん?楓に決まってんだろ?」


やっぱり…。まぁ、亮兄なら吹聴して回る事は無いと思うけど。そこのネットワークは侮れない。

どこで弱みを握られるかわかんないからなぁ…。


「それで?どーなんだ?ん?童貞は卒業したか?

ん?師匠には報告義務があんだろ?ん?」


ウゼー。セクハラ親父そのものだ。

そんなの言える訳ないじゃん!


「ノーコメント。」

「なんだ、まだかよ。」


何故、バレる?ってゆーか、付き合いが長いから隠し事の類いは無意味だけどさ。


「ま、お前が楽しそうなら良かったわ。

んで、その小夜ってのは可愛いのか?」

「ちょっと待って。今、沙那恵さんにメールするから。亮兄が浮気を…っと」

「テメッ⁉︎何してやがる!そりゃ反則だろ!」

「僕はノーコメントって言ったよ?」

「あーあー。わかったよ。揶揄うのはこれぐらいにしといたら。」


相変わらず沙那恵さんには弱い。


「あ、そうだ。後で伊吹のヤツが伊織のトコに顔出すって言ってたぞ。アイツもビックリしてたけどなー。ま、反対するヤツじゃねーだろうし、心配いらねーだろけど。」

「父さんが…?来るの?なんで?」

「あー。挨拶してーんだろ?彼女によ。

次の病院の休診日に行くって言ってたぞ?」


……父さんが来るのか。反対はされないだろうけど、なんて報告すればいいのかわかんない。


僕の父親、保科ほしな 伊吹いぶきは医者だ。隣の市で開業医をしていて、一代にして総合病院にまで登り詰めた傑物だ。基本的に無口だけれど、とても理解力があり、一人息子の僕を大切にしてくれている。僕も父さんの跡を継いで医者になるつもりだったんだけど…。

まぁ、その話はまた後日で。


とにかく忙しい人なので、こちらに来る事はほとんど無い。それがわざわざ来るとなると…。


「ん〜…わかった。あとで連絡してみるよ。」

「あぁ、それがいいだろ。少しは安心させてやれよ?孝行息子。」

「わかってるよ、亮兄。それより今日の授業を始めてよ師匠。僕も忙しいんだ。」

「おまえ…師匠を敬う気、あんのか?」


だって2人がお腹空かして待ってるかもしんないしね?作るの3人分になったから、それなりに量も必要になるし。



授業が終わり、スーパーで買い物をして帰る。

今日のメニューはパスタだ。小夜さんのリクエストでカルボナーラの予定だ。


「ただいまー。」


「おかえりー。伊織、荷物持つよー。」

「ん。おかえり。パスタ楽しみ。」


美咲さんと小夜さんが出迎えくれる。

あ〜、こういうのいいなー。新婚さんみたいで。

ただ、美女2人というのが普通じゃないけど。

荷物を置いてリビングに行くと僕は固まった…。



えっと…ナニコレ?


そこには何やらスケジュールが書かれている。


月 小夜

火 美咲

水 小夜

木 美咲

金 小夜

土 3人

日 交代でデート


誰か説明プリーズ…?

そして僕はフリーズ…?

動揺してラップが出来たわ…。


「えーと?2人とも、コレはナンデスカ?」

聞きたくないけど、聞かなきゃいけない。


「ん。見ての通り。一緒に寝る日。」


「ちゃんと考えたんだよー?小夜はディナーに出なきゃ行けない日もあるから、基本的には小夜が1日多いの。私は夕方からいれるしねー。それに小夜が遅番の時は伊織も迎えに行くでしょ?それでね……」


話が半分くらいしか頭に入りません!

何?その日?天国に召される日?

えーと、僕の意見は?無い?無いの?


「えーと…拒否権は?」


「ない。と言うか2人の時間欲しい。」

「そーだ!そーだ!改善を要求する!」


あ、そうですか…。

とりあえず、ご飯の準備しよ…。


「ダメ。ご飯の前に話し合う。」

「ゴメンね?伊織。でも大事な事だよ?」


僕は2人に両腕を挟まれた。

うっ…感触が…で、でも、

幸せじゃないって言ったら嘘になる。


「あのさ?僕も男なんだよ?美咲さんに小夜さんみたいな美人と一緒に寝て我慢出来る自信無いの。だから、あんまり無理言わないで?」


美人と言ったら照れる2人。

可愛い過ぎかよ!!


「ん。我慢しなくていい。むしろ来て欲しい。」


「ん〜、それは小夜に同意。一応、彼女なんだよ?何もされないのも自信無くすかな?興味持たれて無いみたいで。」


2人はそう言うけどさー…。

ヘタレと言うなかれ。僕も自信無いんだけど…。

ましてや彼女なんて初めてなんだよ!


「別に何もしなくても良い。

一緒にいるだけで充分。ダメ?」


「伊織。私からもお願い。ダメ?」


こんな美人2人の『ダメ?』攻撃に耐えられる男がいるでしょうか?無理です。


「もう好きにして…」諦めた。


「やった!嬉しい。大好き。」

「伊織!今日は初めてだから

3人で寝よ?よろしくね!」


2人の嬉しそうな顔が微笑ましい。

ホントにいいの?これ?


「伊織。難しく考えないで。私達は伊織の側にいたいだけ。伊織もそう思って欲しい。」

「そうだよ?そこは疑って欲しくないな?」


疑うかよ…。でも、こんな状況を一番信じらんないのは僕だ。だってあり得ないもん。


とりあえず話はまとまったのでご飯を作る。


今日はカルボナーラ。

これにはちょっとこだわりがあるんだよね。


まずは麺。フィットチーネみたいな生麺も悪くないんだけど、あえて乾麺を使う。今回使用するのは低温乾燥の麺だ。一般的に売っているパスタのほとんどは高温乾燥の麺だ。麺に光沢があり、表面がツヤツヤしている。対して低温乾燥の麺は表面がザラザラしていて、アルデンテの時間が短い。その代わりソースが絡みやすくクリームソースなどには適している。


次に生クリーム。今回は中澤乳業の35%クリーム。この生クリームの素晴らしい所は純度だ。クリームの質がムチャクチャ高い。


ベーコンはブロックベーコンを大きめに切る。

ニンニクとタマネギをみじん切りにしてじっくり炒めおいて冷ます。これで下処理は終わり。


じゃあ、作るか。

まずはバターを入れベーコンを弱火でじっくり炒める。炒まったら生クリームと先程のタマネギを投入っと。塩とブラックペッパーで味を調えて、弱火でじっくり煮詰めて乳化させる。ここがポイントだね。強火でやるとクリームとベーコンの脂が分離しちゃうから。よし、ソースは出来た。


パスタを茹でよう。低温乾燥の麺はのびやすいので少し早めにあげる。茹で上がったらそこに卵黄と粉チーズを投入して手早く混ぜる。この時、火は入れない。卵黄が固まっちゃうと美味しくないからね。よし!完成。これが僕が一番美味しいと思うカルボナーラだ。


「2人とも出来たよー。」


「ん。美味しそう。ありがと。」

「んまそー!いい匂い。早く食べよ。」


「んじゃ召し上がれ。」


「「いただきます」」


一口食べる。うん美味い。いい仕上がりだ。

師匠に初めてこの作り方を教えて貰った時は感動を覚えた。本場イタリアのカルボナーラは日本人には向かないそうだ。美味しく感じないって言ってたな。僕も一度行ってみたいな。


「んー!美味しい。ビックリした。」

「美味っ!!美味しいよ!伊織、これスゴい!」

「オーナーが作ったヤツよりウマい。」

「え?プロよりスゴいってこと?」

「ん。さすが瀧澤亮司の弟子。」


あ、小夜さんは知ってるんだっけ。オーナーからかな?一応、師匠の弟子は内緒なんだよね。


「小夜…?今、何て言ったの…?」


小夜さんはしまったと言う顔をした。


「ん?何も言ってない。」

「いや、言ったよね?瀧澤亮司って聞こえたよ!え?伊織の師匠って瀧澤亮司?あのっ⁉︎」


こりゃ無理だな。美咲さんには話しておこう。

そのウチ師匠もここに来るだろうし。


「美咲さん、僕の師匠は瀧澤亮司なんだ。」


僕は師匠との関係を話した。昔から知ってて、父さんの親友である事と、弟子である事は内緒にしておくを伝えた。


「へえ…なるほどねー。でも、伊織が料理上手なのも納得した。伊織の才能もあるけど、師匠もスゴいんだね。改めてスゴい彼氏持ったなー♪」


そう言って腕に抱きついて来る。

左腕の圧迫感が幸せです。


「ん。美咲姉。ズルい。私も。」


小夜さんが右腕に抱きついて来る。

右腕のマシュマロ感が幸せです。


「2人ともパスタ伸びるから早く食べよ。」


「このまま食べる。伊織、あーん。」


小夜さんがパスタを巻き付け、僕の口に持ってきた。は、恥ずかしい…。


「あ、あーん…。」ぱくっ


「あーっ!私もっ!はい、あーん。」


「あーん」ぱくっ


「次。私も食べさせて。あーん…」


パスタを巻き付け小夜さんの口に。ぱくっ

可愛い…小夜さん可愛い過ぎ。


「い、伊織!私も私も!あーん…」


美咲さんにも同じように。ぱくっ

可愛い。美咲さん可愛い過ぎかよ…


雛鳥に餌付けしている気分。

僕たちは食べさせ合いをしながら残りを食べた。


ご飯を食べ終えて、いつもの様に美咲さんが珈琲を淹れる。小夜さんはお風呂を沸かしている。そして僕は洗い物。この辺は分担作業だ。


「伊織。お風呂沸いた。先入って。」

「え?先にいいの?それじゃお先に。」


「ふうーーーっ…気持ちいい。」

僕は湯船に浸かる。ユニットだけど一坪タイプのバスタブだ。一人暮らしなのに広くて、とても贅沢な感じ。実家の方が広いけど、それでも贅沢だね。なんて思っていると脱衣所から音がする。


ガラッ…

「伊織。背中を…」 藤島流柔術『無音』!


パタンっ。ふう、間に合った。

藤島流柔術は僕が小さい頃から習っている護身術だ。隣の市でお婆ちゃんが師範代をしている。

今の無音は相手との距離を一気に縮める歩行術だ。こんな所で使うとは思ってなかったけどな!


「伊織。なんで閉める。もう服脱いでる。」

「ダメに決まってんでしょ⁉︎」

「大丈夫。バスタオルは巻いてる。」

「一つも安心出来ねえ⁉︎」

「安心して。美咲もいる。」

「は〜い。伊織開けて♡」

「不安が増したわ!ダメだよ!」

「動揺している伊織も可愛い。大好き。」

「あ〜け〜て〜よ〜!」


2人がぐいぐい押してくる。女性2人とはいえ僕も腕力はある方だ。負けはしない!

だが、俺は素っ裸だ。非常にマズイ。


「あっ!バスタオル落ちちゃった。」


なん…だと…⁉︎


「チャンス。今。」

「引っかかった!ナイス私!」

「しまっ…⁉︎」


ガラッと!ドアを開けられ、僕は尻餅を付いた。

そして僕の股間が晒された。


「……………」

2人が無言で僕の股間を凝視している。

僕は慌てて湯船に身体を沈める。


「もう!いいから出てけ!」

「「は、はい。」」


くそっ!恥ずかしい。なんか脱衣所でヒソヒソ声が聞こえる。


(小夜!小夜!なんか伊織の大きくなかった⁉︎)

(ん。ビックリした。あんなに⁉︎)

(だよね?私もビックリした!大丈夫かな?)

(私も心配。挿いるかな?)


聞こえない。何も聞こえないから。

とりあえず身体を洗って出よう。

いつまでもここにいるのは危険だ。


僕は不機嫌そうに無言になる。

その空気を感じ取っている2人は

僕に近づいて来ない。


(やばくない?伊織怒ってるよ?)

(ん。ちょっとやり過ぎた。反省。)

(謝った方が良くない?)

(ん。同意。謝りに行こう。)


「い、伊織…あの…」

「ご、ゴメンなさい。やり過ぎた。」


無視。2人には少し反省して貰う。

でも…そんな捨てられた子犬みたいな瞳をされると、こっちが悪い気がしてくる。


シュンっ…としている2人。

はぁ〜…仕方ない。


「反省してます?」

「「はいっ!」」


「もう…じゃ、許してあげる。」

「「い、伊織〜っ!!」」


2人して抱きついてくる。もうどっちが年下わかんないなぁ…。


(良かった。機嫌直った。)

(良かったよ〜。焦ったモン。)

(次はもう少し慎重にやろう。)

(そうだね。気を付けよ!)



反省してんのか?


その日は3人で川の字になって寝た。

両腕が柔らかい感触に包まれて、

とても良い香りに包まれて、




僕が睡眠不足になったのは

当たり前の事だった。









相談する2人


『むう。攻め方が悪かった。』

『でも、少しは伊織も意識してくれてんじゃない?』

『ん。伊織は奥手。こちらから行かないと。』

『じゃ、次はこんなのどう?』

『ん。いい案。コレなんかもいい。』

『おー!いいね。それもやっちゃう?』


そうして夜は更けていった。



次回も伊織視点『幼馴染』



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