第22話『美咲と小夜 前編』
仕事が忙しくて更新遅れました!すみません。
出来たら今日中にもう1話投稿します。
「楓さ〜ん!私に味方してくれるんじゃなかったんですか〜??」
『あら?私はあの子が幸せなら協力するって言ったわよ?あの子が幸せになるなら、それが美咲ちゃんでも小夜ちゃんどっちでもいいわ。』
私は今、先日の件で楓さんに電話していた。
『それに美咲ちゃん、何があっても伊織の側にいてくれるって言ったんじゃないの〜?』
「んぐっ…⁉︎それは確かに言いましたけど〜…
楓さんの言ってた何かってこの事なんですか?」
『いいえ、全く違うわよ♪そうね〜、強いて言えばあの子には沢山の選択肢を持って欲しいからかしら?可能性は一つじゃない、いくらでもあるって思って欲しいってトコかな?』
楓さんが言ってる事は、いつもどこか曖昧で難しい。奇妙な同棲生活が始まったけど、ある意味この人のせいだ。ただ、この人を敵に回すメリットは何もない。伊織が信頼している実の叔母であるのは事実なのだ。そう言えば、伊織の両親何してるんだろ?伊織のお父さんに連絡しておくように言ってたけど、お母さんは?多分、楓さんのお姉さんって事よね?
『それに美咲ちゃんにとっても良かったんじゃない?形はどうあれ伊織と付き合う事になったんだから。あのままじゃいつまでも進まなかったし、ライバルに取られてたかも知れないわよ?』
「うっ…それはそうですけど〜…。」
イマイチ釈然としないが、それは事実だ。
私が伊織の彼女…キャッ♡彼女だって!
『とにかく頑張んなさいな。美咲ちゃんと小夜ちゃんなら上手くいくかもね?私の勘だけど。それにあの子は何かワケありっぽいわね〜?その辺がポイントかもよ。』
「わ、わかりました。」
電話を切り、私は小夜の部屋に戻る。
「美咲。遅い。何してたの?」
「電話よ!電話!いいでしょ、私が車出してあげてるんだから!」
「ん。それは助かる。」
今日、私は小夜の引越しの手伝いをしている。
ちなみに何故こんな事をしているかと言うと、
単に伊織の前でいいカッコしたかったからだ!
なんて言うの?小夜が休みで私もちょうど有給消化で休みだったし?伊織は学校あったし?気の利く女アピールっての?大事じゃない?
一応、車持ってるんだよ?国産の安いヤツで中古だけどね?だって実家、群馬の山奥だし電車なんてロクに通ってないしね。車が必須なのよ、あそこは。はっはっはー。
そんな訳で伊織に優しい女アピールするのと同時に、一度小夜とは話しておきたいと思ったからだ。気になる事もあるし。まぁ答えてくれるかはわからんが。
小夜と私はお互いを名前で呼びあっている。仲が良い訳じゃない。小夜が「小夜でいい。」と言うので私も、なら私も美咲でいいと言っただけ。
私達が付き合い始めた翌日、引越しの準備をすると言うので手伝いに来た次第だ。
梱包を手伝いながら小夜を見てみる。
それにしても綺麗な子だな〜…。
女の私から見てもメッチャ綺麗だと思う…。
顔ちっちゃ!睫毛ながっ!髪の毛細っ!
スレンダーだけど、出るトコ出てるし。
背は私よりちょっと低いかな?私は163cmあるから、158cmくらい?
胸は…私の勝ちだな!イェイ!Dカップ万歳!
うぅ〜…何でこんな綺麗な子がライバルなのよ〜?私、負けてないよね?心配になってきた。
私は小夜に聞きたい事を聞いてみた。
「ねえ?この前伊織に助けて貰ったって言ってたでしょ?何かあったの?伊織に聞いてもはぐらかして教えてくれないんだモン。」
「……大した事じゃない。」
「何よ、教えなさいよ。それで伊織に何かあったら私はあなたを許さないわ。」
「…なら話す。私がレイプされそうになった。
それを伊織が助けてくれた。それだけ。」
「なっ⁉︎レ、レイプって⁉︎」
「夜道に襲われた。相手はこの前貴方の名前をしつこく聞いてたアホ男。」
あのクズ男か‼︎
見た目もクズなら中身もクズかよ!
「そ、それで大丈夫だったの?」
「ん。それを伊織が助けてくれた。
強かった。カッコ良かった。」
へ?伊織って強いの?そんな風に全然見えないけど?何か一子相伝の秘術でも持ってるとか?
「あ…ごめん。嫌な事思い出させたよね?無理矢理聞いて悪かったわ。…ごめんなさい。」
「ん。構わない。」
この子…話してみると悪い子じゃないみたい…
もう…嫌いになれないじゃない。
こんな妹がいたら嬉しいけど…。
「とりあえず、まとまった。運ぼう。」
「そうね。そうしましょう。」
3人で話し合った結果、今の私の部屋は残す事にした。1LDKで3人はかなり厳しいのと、着替えたり、風呂、トイレなどを考えると2部屋あった方が都合が良い。
何より今後を考えて、たまには2人きりの方がいいからだ。そりゃあ、付き合ってるんだからね?期待しない方が嘘でしょ?キ、キスしたり?、抱いて貰ったり?したいモン!
ヤキモチを妬かないと言ったら嘘になるけど、それはお互い様だ。だって欲しいもん!2人きりの時間!小夜と2人で話し合って合意した。もちろん、伊織には内緒だよ?
そんな訳で小夜も荷物の大半は、私の部屋へ。
基本、生活ベースは伊織の部屋。食事もお風呂とかもそう。夜寝る時は別れる。今は私と小夜が私の部屋に戻ってるんだけどね!伊織が恥ずかしがるから。近いうちに小夜と相談して変えてやろう…。
そして家賃は2部屋を3人で折半する事にした。伊織は学生だから家賃の支払いは親だ。だから食費で調整する事にした。それにいくら好きとは言え私達も社会人だし、学生に頼る様な真似はしたくない。養うくらいじゃないとね!
え?ツバメ?ナニソレ?美味しいの?
「私も聞きたい事ある。あの日は2人でご飯食べてた。でも付き合ってはいない。どういう事?」
「え?あ、あははは…。」
私は恥ずかしいけど事情を話す事にした。
「そう。そう言う事。」
「ははは…でも少しは手伝ってるんだよ?」
「つまりはお金の関係ね。」
「違うわ‼︎」
「冗談。」
くそー。なんか悔しい。
「私も早く伊織のご飯食べたい。」
「すぐ食べられるよ。本当美味しいんだから。」
「なんで美咲が自慢気?」
「だって自慢だもん。」
「そう言えばオーナーも言ってた。
伊織は才能あるって。」
本当は料理だけじゃ無いんだけどね。
流石にモデルの事は言えないしなー。
「それに…スゴくカッコいい。」
「え…?そーだったかなー?」
あれ?小夜ってば伊織の素顔に気づいてる?
それはマズイ?
「美咲は嘘が下手。」
「うぐっ…⁉︎」
「伊織が助けてくれた時、伊織の素顔見た。
スゴくイケメンだった。内緒なの?」
「出来ればね?それに私達に
ライバル増えても困るでしょ?」
「…わかった。内緒。」
なんだろ?うまくやってけそう?
ま、伊織が絡むとわかんないけどね?主に私が。
「とりあえず!荷物運んじゃお!
伊織が帰って来ちゃうよ?」
「ん。そうしよ。」
近いので大した距離では無いが、
女の子2人で運ぶのは大変だ。
やっぱ伊織に手伝って貰えば良かったかな?
私の部屋に着いて荷物を降ろした。
最低限必要な物だけ持って伊織の部屋に向かう。
「あ。合鍵…。」
あ…普通に使ってた。
小夜がちょっと寂しそうな顔してる。
むー。仕方ないな。
「伊織が帰って来たら頼んでおこう!ね?」
「ん…でも、嫌な顔されるかも…」
こんな可愛くて綺麗な子でも、不安になるんだな…
私と変わらないや…。
「私達の彼氏はそんな男じゃないでしょ?
むしろ嫌がったら私が怒ってあげるわ!」
小夜はビックリした顔をしてる。
あれ?なんで私、小夜を庇ってる?
んー…ま、いいや!
「ん。ありがと。」
そう言って笑った小夜の顔は
とても可愛かった。
次回は美咲と小夜後編。小夜視点のお話です。




