第16話『バイト先』
感想書いてくれた方々、ありがとうございます。
今の所、順調に更新出来てます。
今日もジャンル別日間で2位でした!
ありがとうございます!
「3番テーブル、アンティパストミスト
上がりましたー。」
伊織です。
今日はバイト先のキャンティーナにて働いてます。
このバイト先は亮兄の紹介なんだけど、
住んでいるマンションからも近いので助かります。
オーナーもいい人だし。
今月から前菜やサラダの盛り付けも任せて貰えるようになりました。
オーナーにもセンスが良いと褒められたので嬉しいです。
今はディナータイム中なので忙しいけどやり甲斐があるバイトです。
「ん。ありがと。持ってく。」
この独特な喋り方をしている人は小夜さん。
この店のホールを担当している人で、
ソムリエールを目指しているそうだ。
小夜さんはものスゴい美人で、ストレートのセミロングで少し茶髪にしている。髪の毛がスゴく細くて綺麗だ。『色っぽい』ってこういう人を言うんだろうね。クールビューティーって感じ。
小夜さんには何故か、バイトを始めた頃から何かとお世話になっている。さりげなくフォローしてくれるので本当にありがたい。ただ、何かペットを可愛がっている様に感じるのは気のせいだろうか?
「おい!保科!これ洗っとけっつたろ!」
「あ、はい!すみません。」
「テメー、こんなんも出来ねーのか?あん?」
「すみません、オーダーが入っていたので…」
「あ?なにー?言い訳ー?調子に乗ってる訳?」
「いえ…すみませんでした。」
この絡んで来たのは先輩の矢崎さん。僕がバイトに入った頃から、こうやって何かにつけて突っ掛かってくる。ま、ここは仕事場なんだから、いい人ばかりじゃないよね?こういった人とも上手く付き合わないと。
「伊織ー。こっち手伝ってくれー。」
「はい!すぐ行きます!」
オーナーの声が掛かって難を逃れた。
矢崎さんは舌打ちしてるけど、仕事しようよ。
しばらくしてピークも落ち着いてきた。お店は21時までで、今は20時。片付けをして22時までがバイトの時間だ。ちょうど、落ち着いた頃に小夜さんから声が掛かった。
「伊織。お客さんが呼んでる。
なんかスゴいキレイな人。」
「え?わかりました。すぐ行きます。」
誰だろ?ホールに向かうとそこには、
「えへへー♪来ちゃったー♡」
美咲さんがいた…。
「あれ?美咲さん。どうしたの?」
「ん〜?伊織のご飯無いし、つまんないから来ちゃった。それに伊織の仕事姿も見たかったし。」
「そうなんだ。でも今日はスーツなの?
仕事帰り?いつもこんな遅くないでしょ?」
「んふふー。似合う?仕事は終わってるけど、
伊織に見せたかったから着てきたー♪」
すげー似合ってるよ。照れて言えないけど。
美咲さんは長い黒髪をポニーテールにしていて、
スーツを着ているとカッコいい女性に見える。
中身はポンコツ姉だけど(笑)
「もう…まぁ、ゆっくりして行って。
バイト中だからあんまり相手出来ないけど。」
「じゃあ、終わったら一緒に帰ろ?
待ってるから!」
「ダメ。終わるの22時だもん。
美咲さんは明日も仕事でしょ?」
「ケチ〜!横暴だ〜!」
僕はバイトに戻ろうとすると、
パントリーにいた矢崎が掛けて来た。
「おい、保科!あの美人誰だよ?
スゲーいい女だな!」
「僕の知り合いですよ。」
「はぁ?あんなイイ女がお前の知り合い?
勿体ねーな!俺に紹介しろよ!」
コイツはアホなのだろうか?
僕を訪ねて来てるのだから
知り合いに決まってるだろう?
なんでお前に紹介しなくちゃいけないんだ?
僕には勿体ないは理解出来るけど。
「はぁ…でも、嫌がると思いますよ?」
美咲さんの性格からして、この手の男は大嫌いなはず。了承するはずが無い。しかしこの男は、
「あぁ⁉︎ いいから行って来いよ!」
はあ…なんでこんな事しなくちゃいけないんだ。
そう思いながらもう一度美咲さんの所に行く。
「あれ?伊織、どうしたの?」
「あー、実は店の先輩が美咲さんを紹介しろって…。それで美咲さんに大丈夫か聞きに来たんだけど…」
僕が嫌々そうに言うと、
美咲さんは勘付いたのか、
「嫌。そう言っといて。」
バッサリ切っていた。
「わかった。そう伝えとく。」
そう言って戻った。予想通りだな…
僕がパントリーに戻ると矢崎が、
「おい!保科!どうだった?」
「嫌だそうです。」
「あぁ⁉︎ ホント使えねーヤツだな⁉︎
もいいいわ、俺が直接言って来るわ。」
そう言って矢崎は美咲のテーブルに向かった。
コイツはなんなんだ?何かあれば行くつもりだけど、美咲さんに何かしたら承知しないぞ?
「あ、すんませーん!俺、保科の先輩で
矢崎っていいます。お名前なんつーんすか?」
シーーーン……。
美咲さんは絶対零度の雰囲気を出していた…。
「え?あ、あの名前は〜…」
矢崎がめげずに声を掛けてると…
「何故、私が貴方に名前を教えなくてはならない?
そもそも、私は客ではないのか?
この店は店員が客をナンパするのが普通なのか?」
「い、いや、あの、その…」
矢崎がしどろもどろになっている。
「私は保科くんに嫌だと伝えたはずだ。
にも関わらず、どういった了見だろうか?
済まないが責任者を呼んで貰えるか?」
取り付く島も無い…。
美咲さん、他の男にはこんな感じなのか…
すると、騒ぎに気付いたオーナーが出て来た。
「お客様、大変申し訳ございませんでした。
矢崎、お前は下がってろ。」
矢崎はスゴスゴと引き下がった。
「大変申し訳ございません。お詫びに今日のお代はこちらで持たせて下さい。」
「いえ、大丈夫ですよ。私は保科くんには世話になっているので、彼が働いている場所で迷惑を掛けたい訳ではありません。だから、お代は払いますし、これからも通わせていただきますよ。あ。あの彼は近づかせないで下さいね。」
美咲さんは大人の対応だった。
何か新鮮だな…カッコいい美咲さん。
最近、ポンコツ姉な所しか見てなかったから。
美咲さんは僕に手を振って帰った行った。
美咲が帰った後オーナーに、
「伊織。知り合いに迷惑かけて済まなかったな?
あとで彼女にもお詫びを渡してくれ。」
「いえ、オーナーが謝ることじゃ…」
「いや、店で起こった事は全て俺の責任だ。矢崎の事も含めてな?アイツには少しキツく言っておく、伊織の事もな。ヤツに当たられてる様だが気にするな。お前には才能がある。卒業したらウチで働いて貰いたいくらいな?」
そう言ってオーナーはニカって笑った。
ちゃんと見ててくれてるんだな…
こんな上司なら一緒に働きたいと思う。
「それじゃ、気をつけて帰れよ。」
「はい!お疲れでした!」
さて、帰ろう。
着替えてロッカーを出ると、
小夜さんがいた。
「伊織。一緒に帰ろ。送って。」
「わ、わかりました。」
「大丈夫。近いから。」
マジか…?
僕の一日はまだ終わらないらしい。
小夜さんのアパートは、
店から10分くらいらしい。
「送ってなんて珍しいですね?」
「ん。ちょっと心配事があった。
伊織はボディガード。」
「心配事?何かあったんですか?」
「大したことない。すぐに着く。」
うーん…なんかあったんだろうな。
役に立つかはわからないけど、普段小夜さんにはお世話になってるし、これぐらいは構わない。
なるべく気に掛けておこう。
「今日の人。誰?」
「美咲さんですか?お隣さんですよ。」
「そう。付き合ってるの?」
「いやいやいや、ないですよ。
僕みたいな地味な男と美咲さんなんて。」
「でも。親しそうだった。」
「まぁ、仲は良いとは思いますけど…」
「…………。」
そのまま他愛も無い話しをして
小夜さんのアパートに着いた。
「ここ。ありがと。」
そこは古びたアパートだった。
小夜さんみたいな綺麗な人が
住んでいる様にはとても思えない…。
「寄ってく?」
「うえっ⁉︎ イヤイヤ、帰りますよ!
ダメですよ?こんな時間に!」
「むー。構わないのに。」
小夜さんが可愛らしく頬を膨らます。
「僕が構います!それじゃおやすみなさい。」
「ん。おやすみ。」
小夜さんが部屋に入るのを
見届けてから家路につく。
何故だろう?
ちょっとした不安が胸に残った。
小夜と美咲の絡みはもう少し後です。
少しずつ盛り上がってきますよ!




