第13話『楓、襲来(前編)』
今回短めです。
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「あらあらあら〜?お邪魔しちゃった?」
な、なんで楓さんが…?
とりあえず、固まってる美咲さんに説明しないとだな…。この体勢はマズイので起き上がるとしよう。
「もう…いきなりどうしたの?楓さん。
えーと…こちらは僕の叔母で楓さんで、
それでこの人は隣に住んでる人で…」
「知ってるわ♪ 美咲ちゃんでしょ?」
え?なんで?
「なんで?って顔してるわね?
答えは亮司さんよ♡」
「亮兄⁉︎ 何してんの⁉︎ あの人⁉︎
…って事はまさか?」
「そうよ〜♪ 美咲ちゃんを見に来たのw」
ぐ…これは揶揄う気満々の顔だ。
亮兄と楓さんのコンビはヤバい…。
正直、2人には僕は頭が上がらない。
「貴方が美咲ちゃんね?初めまして。
伊織の叔母の藤島 楓よ♪」
美咲さんは緊張で顔が強張った状態で、
「は、初めまして!た、高峰 美咲と申します!
ふ、不束者ですが!よ、よ、よろし…」
「美咲さん!挨拶が違う‼︎」
「あ、あれ?」
お願いだから燃料投下しないで!
「ふふっ♪ 緊張しなくても大丈夫よ。
貴方の顔を見たかったのもあるけど、
別件で伊織に用事もあったから。」
「……それで、何の用事?楓さん…。」
僕が少し警戒していると、
「あら?そんな大した事じゃ無いわよ?
伊織、来週の木曜日の放課後空けといてね?」
「ひょっとしてバイト?」
「そーゆー事♡よろしくね〜♪」
なんだ、いつものバイトか。
僕は出版社に勤めている、楓さんに頼まれて年に
3、4回、通販カタログの服のモデルのバイトをしている。顔は写らないって言うし、何と言ってもバイト代が高額だ。1回3万円は高校生には断れない案件だった。2時間ぐらいで終わるから正直、美味しい。
「わかったよ。でも、入ってくる前にチャイムくらい鳴らしてよ!いくら合鍵を持ってるからっていきなり入ってくる事ないでしょ⁉︎」
「あらあら?わざとに決まってるでしょ♡抜き打ちよ、抜き打ち♡伊吹義兄さんに頼まれてるしね〜♪
まぁ、いきなり膝枕してるとは思わなかったけど。」
クッ…やはりわざとか。
楓さんは愉快犯な所があり、昔から振り回されている。ただ、僕を猫可愛がりしているのは確かなので悪意はないんだけど。
「わかった、来週の木曜日ね。空けとくよ。」
「ありがと♡それじゃ、お邪魔しちゃ悪いから帰るわね。伊織、避妊はするのよ?」
「ひ…避妊?…もう!何言ってんの‼︎」
「あ、美咲ちゃん、何かあったら相談してね?
ハイ、これ私の名刺♪ それじゃまたね〜。」
そう言って楓さんは美咲さんに名刺を渡して帰っていった。
「なんか、嵐みたいな人だったね…」
美咲さんはそう言った後、楓さんの名刺を見て固まってる。ん?どうしたの?
「ね、ねぇ…伊織?こ、この楓さんの名刺だけど…こ、講談出版社って…desire編集部編集長…って書いてあるんだけど…?」
「あー、楓さんは出版社で働いてるみたい。結構偉いみたいだけど、詳しくは聞いてないなー。」
「ウソ…⁉︎ 伊織!知らないの⁉︎ 『desire』って言ったら超有名なファッション雑誌だよ⁉︎そこの編集長ってとんでもないよ!」
美咲さんが驚いている。ファッション雑誌なんて見ないからなぁ…。全然ピンと来ない。
「ふ〜ん、そうなんだ。ファッション雑誌なんて見ないからわかんないや。有名なの?」
「有名なんてモンじゃないよ!10代から30代の女性なら知らない人なんていないよ⁉︎ え?伊織、バイトって言ってた?まさかモデル⁉︎ モデルしてんの?」
美咲さんが血相を変えて興奮してる。残念だけど、
僕みたいな地味な男がモデルなんてある訳無い(笑)
「違うよ。そんな訳ないでしょ。何か通信販売だっけな?そのカタログのモデルをしてるだけ。顔も写らないって言うし、僕でも大丈夫って言うから。」
「そ、そうなの?え…でも、desire?モデル?あれ?そんな訳…でも、彼は詳細不明な…でも、あの顔は…え?まさか…」
なんか美咲さんがブツブツ呟いてるけど、
どうしたんだろ?
「伊織!私、ちょっと楓さんのお見送り行って来る!待ってて!」
「え?そうなの?じゃあ、デザート用意して待ってるから早くね。今日はクレープだよ。」
「わかった!じゃね!」
そう言って美咲さんは玄関から飛び出して行った。
ホントどうしたんだろ?
物語はまだまだ序盤です。
この話は単なるほのぼのラブストーリーではなく、これから少しずつ波乱や涙を交わる展開に変化していきます。徐々に徐々に変わっていく人間模様と楽しみながら書きたいと思います。次回もよろしくお願いします。
感想を書いてくれた方ありがとうございます。
とても励みになります。書き始めて1週間、日間2位でビックリしました。




