第12話『ひざまくら』
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あれから1週間が過ぎた。
私は伊織がバイトの日以外は、
伊織の部屋に入り浸っている。
だって側にいたいんだモン♡
私の態度が変わってから、
伊織も少し口調が砕けて来た。いい傾向だ。
でも、なんかお姉ちゃんに対する
可愛い弟みたいな感じが釈然としないけど、
今はまぁいいや。
まずは距離を縮めるのが大事だモンね!
少しずつ攻めて私を意識させてあげるんだぁ。
ただ、伊織は恋愛には鈍感みたいだからなぁ…。
少しぐらい露骨な方がいいのかな?
そこら辺は私も偏差値低いからなぁ…。
会社に出勤して、同僚と
ランチをしながら考えていると、
「美咲さん、スゴく機嫌良さそうね?
何かいい事あったの?」
「そー!そー!何か血色もいいし、
肌キレー!エステとかー?」
「もしかして彼氏?彼氏?
美咲先輩モテそうだしなー。」
血色がいい理由も、機嫌がいい理由も全て伊織だ。
バランスのいい食事で
健康的になっているからだろう。
「ふふっ。想像に任せるよ。」
会社では相変わらず仮面を被っている。
ただ、軽く微笑みながらそんな発言をすると、
周りの同僚達は固まった。
「え?マジ⁉︎」
「ヤバい!ビックニュースじゃない⁉︎」
「美咲さんに恋人?社内が騒然となるよ⁉︎」
いやいや、お前ら…
誰も恋人がいるなんて言ってない。
ただ、否定も肯定もしないだけ。
なんて軽く考えていたら、
その日の内にその情報は社内を駆け巡り、
噂になっていた。お前ら暇なのか?仕事しろ!
帰宅しようとしていたら、
チャラ男の風間先輩が声を掛けて来た。
「高峰くん、なんか噂があるようだけど、
僕ぁ、モチロン君を信じてるよ。
噂を訂正する為にも、今夜どうだい?」
うわっ…うぜぇ!
この勘違い野郎にはハッキリ言わんと
解らんな?本当に死ね!
「すみませんがお断りします。それと私には好きな人がいますので、こう言ったお誘いは他を当たってください。ではお先に失礼します。」
「す、好きな人?だ、誰なんだい?
会社のヤツかい?」
「は?貴方にお答えする必要性はありません。
それでは失礼します。」
そう言うと風間は愕然とした表情をしていたが、
私には知ったこっちゃ無い。
でも、これが切っ掛けで社内の噂は加速していったが、私は知ったこっちゃないったら、知ったこっちゃないの!
 
帰り道に伊織に電話する。
「あ、伊織?今日大丈夫だよね?
今日のご飯なにー?」
『今日は、油淋鶏と餃子だよ。』
「ふーん。よく分かんないけど、
美味しそう!すぐ帰るね!」
まるで同棲中のカップルみたいね?ふふっ♡
セリフが男女逆だけどね!負けない!
それより今日は気になっていた事を聞かなければ。伊織に彼女がいるかどうかだ。
いないと思うんだけど、確認は必要だしね。
いたら立ち直れないかも…。
帰宅して着替えてから伊織の部屋にGO!
「ただいまー!」
我が家の様に入ると、伊織が
「おかえり。まだもう少し掛かるから
座って待っててー。」
おかえりと誰かが言ってくれるのはスゴく嬉しい。
この前にそんな話をしていたら、
伊織が言ってくれる様になった。
この子は本当に優しい、天使や。
さて…さっそく先制攻撃だ!
「伊織、何してんの?」
「うえっ⁉︎ 近いって美咲さん!」
必殺!『え?当たってるんだけど?
いや、当ててんのよ。』攻撃だ!
攻撃は見事に左腕にヒット〜!
照れてて可愛い。
「え〜?近いかな〜?ヤダ?」
「い、嫌じゃないけど…」
くふふー。成功、成功♡
「もう…!もう少しで出来るから
待ってて!ハウス!」
「キャイン!って犬じゃないモン!」
と、まぁこれぐらいの
やり取りは出来るようになった。
まぁ、あまり露骨にやるのも
はしたないから、大人しく待ってよっと。
しばらくして、
「出来たよー!お待たせ。」
「待ってないよー。美味しそー!」
「どうぞ、召し上がれ。」
「いただきまーす!」
今日のメニューは油淋鶏と餃子、玉子スープだ。
「んー!甘酸っぱくて美味しい!
ご飯が進むねー。これどんな料理?」
「ん?油淋鶏?簡単に言うとね、
唐揚げに胡麻油と甘酢を絡めた中華料理だね。」
「ヘェ〜。あ、餃子も羽根つきだ!
パリパリしてて、ジューシィだね〜!」
程なくしてご飯を食べ終えたら、
私の出番。実は高校時代、
ウェイトレスのアルバイトをしていた私。
珈琲のドリップだけは得意なのだ。
その話を伊織にしたら、
食後の珈琲は私の担当になったの!
えへへ…ちょっとだけ嬉しいw
しかーし!私は攻撃の手を緩めなーい!
「伊織ー、今日もご馳走さま!
いつも、ありがとー!」
「いえいえ、どういたしまして。」
「そんな君に、お姉さんが
ご褒美をあげてしんぜよう♡」
「え…ご褒美?なんだろ?」
「ふっふっふ…ここへおいでー♡」
私はポンっポンっと自分の膝をたたく。
「え…?まさか⁉︎」
「そ!ひざまくらー♡
愛い奴じゃー、近う寄れ近う寄れー♡」
「ちなみに、拒否権は…」
「無いよー。一度やって見たかったの。
お願い、伊織?ダメ?」
必殺!上目遣いのダブルコンボ!
「うぅ…お邪魔します…。」
伊織は渋々お膝にやってきた。
んん〜♪可愛いなぁ…。
「へへへ…。伊織は可愛いねー。
頭も撫でちゃおう。」
「恥ずかし過ぎるんだけど…。」
さーて、この状態で
聞きたかった事を聞いてみよう。
さりげなく、あくまでさりげなく…
「ねぇ、伊織は…彼女いるの?」
「うえっ⁉︎ い、いないけど…。」
よし!第1関門突破!
「へー、そうなんだ。欲しいとは思うの?」
「ん〜…欲しいとは思うけど、
僕は地味だしねぇ…」
よしよし、いい感じだ。
あと伊織の目も見てみたいんだよね。
この体勢なら、前髪かき上げ易いし。
「髪型変えてみたら、印象変わるんじゃない?」
そう言って、伊織の前髪をあげてみる。
え…?なに?
スゴくカッコいいんだけど?
なんで隠してんの?モデルみたい…
本気でドキッとした…。
でも、どこかで見た様な…
気の所為かな?
「ね、ねぇ…?なんで伊織は
前髪で目を隠してるの?」
「あー、楓さんに言われたんだよ。
伊織は目付き悪いから前髪で隠しなさいって。」
「か、楓さん?」
「あ、僕の叔母だよ。まぁ、叔母さんっ言うと
怒るから楓さんって呼んでるんだ。」
正直、謎だ…。その、楓さんは伊織の素顔を
知ってて隠せって事でしょ?なんで?
伊織の頭を撫でながら考えていると、
ガチャ。
突然、玄関の鍵が空く音がした。
「伊織ー、いるんでしょー?
入るわよー!」
え?え?なに?
「伊織ー、次のバイトなんだ…けど……」
私達は膝枕の状態で固まって…
「あらあらあら〜?お邪魔しちゃった?」
え?この美魔女はダレ?
さあ、たいぶ距離が縮まった2人に
台風がやってきました。
次回『楓、襲来』
 




