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第七話 捕ラワレタ同胞

〈ガレリア王国〉の奇襲を乗り切った北九州守備隊。しかし、首脳陣はこの結果に怒りが爆発。師団長から真司へ伝えられた、新たな任務とは!一方、ガレリア王国では平和が続いている。


地球なめんなファンタジー『日本異世界転生記』第七話!

***


 北九州野営地ーーー


 〈ガレリア王国〉による奇襲、その被害は軽微であった。だが、奇襲を許してしまった守備隊は解体を命ぜられ、この北九州を統括する第四師団が直接任務にあたった。真司たち特殊調査部隊も戦闘処理を手伝っていた。


「なあ。俺たち、本当に異世界に来ちまったんだな。」

真司が敵兵の死体を布にくるみながら、言った。

「確かに。こんな、ゴリゴリの騎士団とかドラゴンに乗った兵士とかをみたら、実感しますよね。」

橋本ハヤト軍曹はタブレット端末へ戦死した兵の情報を打ち込んでいく。

 特殊調査部隊の隊員が一人、真司のもとへ、走ってくる。

「隊長、第四師団長がお呼びです!」

「…!了解、ありがとう。」

真司は作業を隊員と代わり、野営地本部へ急ぐ。


「佐竹真司、ただいま参りました!」

「…やあ。まあまあ。座りたまえ。」

師団長の柔和な笑顔で緊張が解かれた。

「はい、失礼します…。」

少し遠慮がちに椅子に腰を掛ける。

「時間がないので単刀直入にいうよ。日本のスパイが敵さんに捕まったようだ。さっきの奇襲部隊、すでに我々は把握しておったんだが、敵さんがスパイの存在に気づいて、一歩先周りしていたようだ。こちらもなるべく早く救出したい。夜闇は危険だが特殊調査部隊には、すぐに出発し、交渉ルートを切り拓いてくれ。」

師団長は申し訳なさそうに頭を下げた。

真司は尋ねた。

「師団長。我々陸上自衛隊は未だ上空から偵察しているだけだと認識しております。スパイを送り込んでいるなど、初耳です。情報が伝達されていないのでは。」

師団長は目に怒りの炎を灯し、答えた。

「…政府だ。我々自衛隊のスパイではなく、内閣が持つ御用機関。自衛隊に対してもそのほとんどを秘密にしている。水面下で送り込んで、失敗しおった。まったく。」

「なるほど。ですが同じ日本国民として、助けましょう。」

「うむ。きみを隊長にしてよかった。」

「!いえいえ。ありがとうございます。」

真司は立ち上がり、「失礼しました!」と言って退室した。


***


 〈ガレリア王国〉第一高等学校ーーー


アルとローズは法学の実践授業を受けている。

「…ふむふむ。王国特別法第275により、・・・はあ?もうわからん!」

アルが珍しくてこずっている。

「うふふっ♪アルにもわからないものあるのね!」

ローズが満面の笑みで言う。ほとんどの科目で負けているローズにとって、アルに勝てるのが嬉しいのだ。

「完璧超人じゃないからなあ。」

アルにとって法学は天敵だった。この授業は、10班に分かれて法律を武器に自分の政策の正当性を主張する。ディベート大会みたいなのが最終回にあるので、その場で他班の政策を曲げたら勝ち。負ければ単位は取れない。法学の科目は多くの生徒にとって鬼門である。

アルとローズは同じ班だ。つまり、このままではアルに足を引っ張られて単位を落としかねない。このことに危機感を抱いているのはアルとローズとともに3班を成すリリーだけだ。

(ローズったら、アルと同班になったからって、うかれて・・・!)

ローズも法学には強いが、このままでは役に立たない。リリーは頭を抱えた。


〈ガレリア王国〉第一高等学校、ここでは日夜、王国のために仕えんとする若者が切磋琢磨している。


読んでいただきありがとうございました!!楽しんでいただけたら、とっても嬉しいです!

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