第六話〈ガレリア王国〉と日本
異世界でも中国の侵略は止まらない。その一方で〈ガレリア王国〉では平穏な日常が送られていた。作戦会議をする真司たち特殊調査部隊を突然何者かが襲う。
地球なめんなファンタジー『日本異世界転生記』第六話
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中国 西方300㎞ーーー
「フハハハハハ!人がごみのようにいるぜ!!!」
人民解放軍の火砲部隊がどんどん押し寄せる。そこに抗う者はいない。豊かだった農村を現代の最新兵器を携えた兵士たちが襲う。
「…!くそ!俺たちの村に!」
一人の青年が悲痛な面持ちでその光景を見ていた。
転移してすぐ、中国はこの事態を把握できなかったが、人民解放軍による調査により、西に肥沃な土地と国民が存在することが、発覚した。その地域はまだ、国家という自覚がなく、正規軍も無い平和な地域だった。各地に都市国家・農村国家が誕生し、徐々に統合が進んでいくか、というところで、中国による侵略が始まった。
しかし、中国はある大きな問題を抱えていた。それは、内陸国となってしまったことである。ついにアメリカ合衆国と並ぶまでになった海軍はもはや陸に揚げられたホオジロザメだった。
中国はすぐさま、周辺を侵略し、領土の拡大に努めたのであった。
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〈ガレリア王国〉城下町ーーー
「おーい!アル!今日もいい天気ね!おはよ!」
王城を頂上として、なだらかな斜面に連立するレンガ造りの建物。ここは〈ガレリア王国〉の王都だ。そんじょそこらの国とは比べ物にならないほど、大きい。想像しづらかったら、あれだ、『進〇の巨人』の国とそっくりだ。もちろん、壁なんてないし、大きい人もいないぞ。最近は戦争に負けて、景気が悪いらしい。・・・あ!俺の紹介だよな。俺はアル。アル=ドーソンだ。第一高等学校の生徒だ。すげえだろ。将来的に国の仕事を任せられるっポイ。なんせ親父は、この国の外交官なんだぜ。おっと、忘れてた。大きなバゲットを手に、こちらへ走ってくる美少女、こいつはローズ、幼馴染だ。金髪ストレートロング、男の理想。誰にでも明るくて優しい天使のようなやつだ。
「・・・ねえ!ねえってば!!」
「…あ!悪い!!」
「どうしたの?難しい顔して。」
つい、うっかりしてしまった。
「いや、なんでもない。ちょっと考え事してただけだ、」
「え~?なによ。私にも言えないようなこと考えてたの?」
「え?あ、ああ、そうさ。それよりも早く学校行こうぜ」
話をはぐらかしながら、先へ促す。ローズはブ~~っと頬を膨らましている。
「なによ。もうパンあげないっ。」
そう、これ。もうめっちゃ可愛い。
ーーー〈ガレリア王国〉は今日も平和な日常を送っている。
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北九州野営地ーーー
特殊調査部隊が食堂にそろっている。いまから、作戦を隊員に伝えていく。
「えー。さっそく作戦を発表する。各自しっかり頭に入れるように。」
『はいっ!!』
「当初の予定通り、王都へ行く前に、国境で確認作業ができるなら相手の政府に連絡していただく。それが不可能だった場合は、国境近くの町で調査を開始してすぐ帰るぞ・・・」
ガタガタッ!ドカーン!!!ガシャガシャ!!!
「うわああ!」
「な、なんだ?!」
「うてーい!」
ドカーン!
馬に乗った騎士たち、そして大きな大砲をこちらへ向けて発射してくる。ドラゴンに乗った兵士が光線でテントを燃やす。完全なる奇襲であった。
しかし、なぜ我々は気がつかなかったのであろう。真司は疑問に思ったが、いまはそれを考えている暇はない。
すぐに守備隊が駆けつけてきた。これでも遅いほうだが。いよいよ反撃開始である。
敵は、騎馬隊300、大砲50門、盾のナイト400、〈炎龍〉30である。奇襲により、一時混乱したものの、守備隊の戦力は歩兵90、戦車10、戦闘ヘリ10である。数では不利だが、敵は近代的装備を有しておらず、こちらのほうが有利に見える。
守備隊はまず重機関銃を用いて、迫りくる騎馬隊を殲滅する。
「うわああ!」
一瞬で騎馬隊の波は消え、辺りは屍で埋まる。まだ多数残っているが、いまの攻撃にひるんだようだ。そこへ戦車隊の榴弾が撃ち込まれる。敵の大砲もろとも破壊した。
「な、なんということだ…!!」
「く…!俺たち〈炎龍〉隊だけでも一矢報いるんだ!!」
戦闘ヘリへ、攻撃をしかける。
「回避行動をとります。・・・目標、α・βロックオン。・・・3,2,1、ファイヤ!」
ブシューとミサイルが二本、〈炎龍〉へ発射された。どちらも命中。ことごとく〈炎龍〉も駆逐されてしまった。
奇襲を仕掛けてきた軍隊はほぼ殲滅した。13名の捕虜を捕らえ、話を聞く予定だ。
「ったく、作戦に影響しなきゃ、いいけど。」
攻撃されたとはいえ、ここの管轄ではないし、俺たちがこれから進める作戦は別だ。もしかするとこの事件がこちらに有利に働くかもしれない。とにかく、参謀からの支持を待つか。
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〈ガレリア王国〉某所ーーー
「もう、ここを出発していたか…!くそ!日本は大丈夫だろうか…」
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