第四話 北九州≪フロンティア≫
真司はついに、大陸と繋がった北九州に到着した。現地部隊の説明を聞き、特殊調査部隊のメンツと顔合わせする。どんな奴が居るんだろうと、不安を感じる真司の前に現れたのは---能天気ばか軍曹と真司にメロメロのツンデレ軍曹だった!?
地球なめんなファンタジー『日本異世界転生記』第四話!
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都内某所ーー
「佐竹真司三等陸尉以下副隊長二名、一個普通科小隊は九州へ向かったか?」
「はい。ただいま輸送ヘリで≪フロンティア≫へと向かっております。」
「もうすぐ着くころだろう。航空自衛隊によると、内地4000㎞に大きな国があるらしいが。」
「ええ。まずはその国の内政や軍事を調査させるつもりです。」
「なんとしても国交を樹立し、食料を確保しなければ」
***
九州北部≪フロンティア≫--
「う、嘘だろ…!」
本来、海だったはずの場所に広大な陸地が広がっている。見渡す限り不毛な土地だ。真司はかつてこの地を観光しに来たことがあったので、少し寂しいような、悲しいような、複雑な気持ちになった。
パタパタパタパタッ
真司が≪フロンティア≫を管轄する部隊にこの地の説明を受けていると、ヘリが着陸した。[CH50-JA]だ。こいつはかつて、チヌークという愛称で親しまれた輸送ヘリの後継機だ。外観はほとんど変わっていないが、最高速度・輸送量どれも世界最高水準だ。
「うおおお!?ここほんとに北九州っすか!?」
・・・なんか威勢のいい奴が降りてきた。
「うっさいわね!!陸地が繋がったって聞いてなかったの?」
なんかすげー可愛い子も降りてきた。
なるほど、階級章をよく見ると、どちらも軍曹だ。つまり、こいつらが、橋本ハヤト軍曹と野村真奈美軍曹である。副隊長、俺の直属の部下になるわけだ。
(い、嫌だ~~~~!!!!)
なんだ、これ。あれか、おれはやっぱり左遷させられたのか。くそ…!旅団長の柔らかな笑顔が思い出される。
軍曹二人に続き、ぞろぞろと小隊のメンバーが出てくる。こいつらはまともそうだ。
「・・・あ!」
野村真奈美軍曹がこちらに気づき、走ってきた。
「っちょ!置いてくなよ!」
橋本ハヤト軍曹が野村真奈美軍曹を追いかける。
(こいつら、まさか探検ごっこのつもりなんじゃ…)
真司はさすがに一喝しておこうと思った。・・・が、しかし。
「野村真奈美、橋本ハヤト以下一個小隊、只今参上しました!」
ビシッ!!と敬礼して、はきはきと言う。気づけば、橋本ハヤト軍曹も姿勢よく敬礼してる。こうされると、真司は何も言えなくなる。もともと強く言うのが苦手なタイプなので、部下といえど、一喝などできないのである。
「・・・ああ。特殊調査部隊の隊長、佐竹だ。よろしく・・・」
苦虫を嚙み潰したような顔で、真司は言った。
(~~~!!かっこいい・・・!い、いえ、ダンディー!そう、ダンディーよ!!)
野村真奈美軍曹…いや、野村がすごい目でこちらを睨む。おそらく、俺のあいさつが気に入らなかったんだろう。能力の高そうな子なので、余計にそう感じたのかもしれない。
(ううっ!落ちちゃう…)
顔まで赤くなってきた。え、そこまで、駄目だった?俺のあいさつ…。
それも、やはりこいつ、橋本ハヤトのせいだ。やっぱりこいつだけには喝を入れよう。
「…橋本。さっき少し様子を見ていたが…。」
「はっ!なんでしょう!」
(う…。怒ったら悪いかな…)
少し間をおいて、真司は口を開く。
「…野村にもっと優しくしろよ」
「はいっ!・・・ええ?!」
「特殊調査部隊全隊員、18:00に中央食堂集合!明日の夜明けには未知なる大陸へ向け、出発する!!そのミーティングを行う!!それまで自由時間!はい、解散!」
『『はいっ!!』』
恥ずかしさ隠しに、大声で全隊員に言う。ポカンと口を開ける橋本。
(隊長…!私をそんなに想って…!)
鼻血を出して倒れている野村。…ついに怒りがマックスに達してしまったか…!申し訳ない。
作戦計画概要を受け取りに、野営地本部へ、真司は歩き出す。
「あ!俺もお供します!」
橋本が笑顔で言った。もう元に戻ったようだ。
「野村はどうするんだ」
「大丈夫っすよ。あいつは。」
真司は苦笑いしながらも、こう言った。
「はぁ。遠足じゃないんだからな。」
「自衛官たるもの、そのぐらいわかってますよ!」
橋本が笑いながら、答える。
案外いいやつなのか、そう真司は思い始めた。
***
真司たち特殊調査部隊がいる、北九州野営地。そのはるか上空で、赤い龍〈炎龍〉に乗った騎士は偵察飛行をしていた。
(な、なんだこの国は・・・!我が王都に引けを取らない建造物の多さ。この人口。見たこともない機械。一週間はかかる。支配には。《ステルス魔法》を使えない騎士たちは見たこともない魔法で堕とされた…)
「侮れない」
そう言って、王都へ戻って行った。
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