第三話 陸上幕僚監部ノ特殊調査部隊
駐屯地に集まった士官たちは、今後の作戦・行動予定を旅団長から聞いている。災害派遣として出動するため、部隊を再編するのだという。中央自衛隊の迅速な対応に感服するも、佐竹真司三等陸尉の名前がない…
地球なめんなファンタジー『日本異世界転生記』第三話!
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佐竹真司三等陸尉は、全士官に配布された資料をみて、驚きを隠せなかった。その内容は簡単に言えば次の通りである。
『全士官に告ぐ。この公文書は最高軍事機密である。家族にも漏らさないこと!我々は現在、同盟国アメリカをはじめとする世界中の国々と通信が途絶えている。また、周辺をすぐさま調査した結果、ユーラシア大陸ではない、未知なる大陸と九州北部が繋がっている。内閣は日本国そのものが異世界転生したと判断し、国民の安全を最優先とする。国民がパニックにならないよう、危険と思われる地域の立ち入り制限、報道を制限する閣議決定をする。全職員を挙げて、この危機に立ち向かうべし!』
第十二旅団田尻陸将補は整然と並んだ士官たちに今後の計画を説明している。
「資料の通りだが、これから日本は独自で作戦を展開することになる。我が旅団の任務は地域住民の安全確保、および他国との通信復活である。かつてない災害だが、一丸となって乗り切ろう。」
真司は気合を入れるように、資料の中の自分の担当を探した。しかしなかなか見つからない。
(おかしいな…。普通科に俺の名前がねぇ。慌てて作られた資料だから入力ミスか…?)
他の士官たちはすでに任務に向かっている。とはいっても、普通科は基本的に警察と協力して市内のパトロールが主な任務であり、住民に対して状況説明をすることも多いので、あまり危機意識というのも薄い。通信科は、わずかな電波も逃すまいと、血眼になっている。さすがだなと、真司は感心する。戦車など火砲を扱う特科隊は臨時訓練となるようだ。偵察隊は未知なる大陸へ向けて、ヘリコプターを飛ばした。資料を見て、真司は気づいた。
(俺たちもかなり早く集合したが、この資料の完成度といい、情報が異常に早く収集されている…。中央情報隊の仕事か…。いったいどうやったんだろう)
奴らの作戦は秘密裏に進められるため、ほとんどわからない。
「あの…。すみません。配属表に誤りが…」
「この資料に誤りはないとのことだが?」
(っっん!なら俺はどこだよ…!)
災害派遣ということで、舞台を再編するとのことだが、まったく迷惑だ。
田尻陸将補が真司の名前を呼ぶ。
「すまない。これは佐竹三尉に、幕僚長からの電報だ。」
田尻陸将補は真司へ封筒を渡す。
「ありがとうございます。私の配属先ですが…」
「ああ、その中に書いてあるよ。今日付で貴官は陸上幕僚監部隷下の特殊調査部隊に配属されるらしい。」
陸将補の柔らかな笑顔が印象的だ。
(え…えええええええええええええっっっ!!!!!!!!!!!)
真司の目玉が飛び出た。
佐竹真司三等陸尉宛
貴官ヲ陸上幕僚監部隷下ノ特殊調査部隊二配属 貴官ヲ隊長トス
1個普通科小隊ト副隊長トシテ野村真奈美軍曹ト橋本ハヤト軍曹ヲ付ケル
任務ハ未知ナル大陸ノ調査オヨビ政府高官ノ護衛デアル
(まじかよ…。隊長って無理…。よりにもよって最前線)
真司の顔が引き攣る。しかし、命令が下った以上任務を全うするほか、選択肢は、ない。
「未知なる大陸の調査および政府高官の護衛、ただいまより任務を遂行する!」
(はあ…。ちょっくら異世界探検してきますか)
こうして、真司は特殊調査部隊隊長として、異世界に赴くのであった。
読んでいただき、ありがとうございました!!楽しんでいただけたら、とっても嬉しいです!
ストックをすべて投稿しましたので、また誠意制作しようと思っております!
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