第十一話 暗雲
<タルチット>でうさ耳少女と出会い、この村とこの王国の暗い影を知った真司たち。いよいよ本格的に王国の調査を開始しようとしていた。
一方、王国城下町ではアルたちが単位を落としていた。
暗い影が皆の心に立ち込める…
地球なめんなファンタジー『日本異世界転生記』第十一話!!
***
ガレリア王国<第一高等学校>
法学の試験を落とした、アル、ローズ、リリーの三人は残りの科目を落とすまいと、必死に勉強していた。
「もうっ!なんでこんなことになるのよ!」
リリーが愚痴を漏らす。この三人の中で一番頑張っていたからだ。
「ご、ごめんね。ついはしゃいじゃった…」
ローズは申し訳なさそうに、リリーのカップに紅茶を注ぐ。アルと同じ班になって浮かれていて、まったく試験に集中していなかった。
「・・・」
アルは黙ったままだ。
「はあ…」
リリーはため息をついた。
(アルってば、法学以外に関しては、急にまじめになるんだから。)
黙々と、手を動かすアル。その真剣な目の先に見据えるのは、昨晩の父の言葉だった。
ー昨晩 ドーソン家屋敷
コンコン。
アルはドアをノックした。
「なんでしょうか、父上。」
ワイングラスを持ちながら、思案顔の父が座っていた。
「よくきたな。じつは、お父さんここを離れて遠くで仕事をしなきゃならなくなった。」
「えっ!」
アルは驚きを隠せない。この王都を離れるということは、事実上左遷されたということだからだ。
「どうして!なにかの間違いでは…」
アルは信じられなかった。
「いや、勘違いしないでくれよ…。新たな国との国交を築くよう、王直々にご命令を賜った。制圧軍は返り討ちにあったようだ。それほど強力な国とは、私のような外交官が相手をしなければならない。<カルサ>が一人いなければ、国交を結べない。わかってるな。」
「…!はい。」
アルは幼い時に母を病気で亡くした。兄弟もいないため、父と二人で暮らしてきた。優秀な父に憧れて、<カルサ>を目指した。だが、その役職のせいで、父は辺境の地に行かなくてはならない。
「おまえを一人にしてすまないな…」
この時アルは敵に簡単に屈してしまう王国軍を、自分の非力さを恨んだ。
(絶対に、強くしてみせる。強くなってやる、この国も俺自身も…!)
***
ガレリア王国 某所ーー
「うっ!ぐはっ!」
黒いスーツを着た一人の日本人が屈強な肉体を持った男に殴られていた。
「いいかげん、口を割ったらどうだ。」
男は不敵な笑みを浮かべながら、さらに数発顔を殴った。
この拷問を受けている日本人は内閣秘密諜報部<NHC9>の一人、雲雀丘 淳だ。王国の索敵魔法の存在を知らず、捕まってしまった。
「絶対に言わん!この命にかえてでも!」
「強情な奴だ。」
男があるボタンを押した。
「あああっ!」
雲雀丘の身体に電気が流れる。
「いつまでもつかな…くっくっく」
「はやく、殺してくれ…」
雲雀丘の身体はもはや限界であった。
読んでいただきありがとうございました!!
感想・評価よろしくお願いします!!
・・・国公立大学の発表シーズンですね~。私もいまドキドキです!この場で合格報告できたらいいなと思います。
ではでは、読んでいただいた皆様に幸あれ…!




