サンタモニカのBig Tree
サンタモニカに今年も真新しい
Big Treeがお目見え
昨年の同じころ、君に言ったことを
覚えているのかな
サンタモニカはどこにでもある喫茶店
マスターは僕の学生のころから知っている
恋愛、車、山登り、お酒の種類など・・・
ずいぶんといろんなことを教わった
サンタモニカの入り口に飾られた木には
来店客が
いつしか小さな願い事を書いた紙を
結びつけるようになった
その願いが不思議なことに叶ったりするという
噂は広がって
この時期になると
駐車場には車が停められないほどになる
営業時間の1時間も前から
車がどんどんやってくる
県外ナンバーも目立つようになってきた
マスターに頼まれて
僕はときどき駐車場の誘導係になる
車に乗っている人たちの表情もにこやかで
僕は、
この時期のサンタモニカが特に好きになっていた
もちろん、マスターの料理もうまい
自称フランスに2年間修業に行ったというけれど
それは誰も確認できていない
だけど、フランス風家庭料理の味はゆがめない
サンタモニカは週末にもなると
2時間待ちの状態が続く
海岸に近いこの店はそれはそれで
夕陽を見ながら待つこともできるし
灯台の灯りに照らされた波間も
幻想的なんだ
そのうちに取材に来るよとマスターに話すと
じつは、もう3社くらい来てるよ、だけどすべて断っているんだと
僕は半分ほっとする気持ちと
もし取材となったら
そのあとのサンタモニカはいったいどうなるんだろうと
心配なことばかり考えている
そう、サンタモニカの由来は何だと思う
君にそう尋ねると
マスターが、
サンタモニカの街が好きだとか
サンタモニカという曲が好きだとか
君は理由を並べたけど
すべて違うんだ
サンタモニカは
店の入ってすぐに
サンタさんが口にハーモニカを加えて笑顔でいる
サンタ+ハーモニカ=サンタモニカ・・・
だから年中、この店にはサンタさんがいるってこと
この時期以外に来るはじめての人は
サンタさんが何でいま?ってなるのだけど
マスターは多くを語らない
サンタモニカは今夜もにぎわっている
マスターも自慢の料理をふるまっている
僕は最近思うんだ
本当のサンタさんは
マスター本人じゃないかと・・・