始まりは突然に。
シリーズ連載スタートです。初心者ですがよろしくお願いします。
“青春は誰でも駆け抜けたいものである”
ある所にちょっと性格に難がある青年達がいた。
ある少年はクールで真面目かと思えば、とてつもなく冷徹であったり。
ある少女はしっかり者で、かと思えばとてつもなく引っ込み思案であったり。
これはそんなちょっと変わった2面性のある少年少女達の青春劇である。
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自分に自信が無い。
そんなこと誰でも思うことである。
そして、それを隠そうとしてしまう。
夢ノ原学園は都内でも有名な学園で
ヨーロッパにあるお城のような外見とは裏腹に学園内はとてもよく管理されていて都内でも、最先端技術を誇っている企業の協力による設計でありデザイン性があり綺麗だ。
誰もが一度は入りたいと思う学園である。
夢ノ原学園はいわゆる小中一貫校であり、受験により小等部に入り、小等部から中等部に上がる際に外部からの受験、入学が許される。
都内でも偏差値はとてつもなく高いエリート高である。
中でも小等部からは中等部への持ち上がりが許されるが、中等部からの入学は難関である。
なにしろ内部からの入学枠は外部の二倍である。そのため外部からの入学生はエリート中のエリートであるのだ。
そんな夢ノ原学園の中にはいわゆる
“くそエリート”
と呼ばれる者達がいる。学園内でも学力トップにたつ者達のことで男子からも女子からも憧れの的である存在である。
主に三年生であって、その中にも色々なグループがある。
でも。
憧れを抱く者達は知らないのである。
その中にいる青年達のことを。
そう、彼等には誰にも言えないあるものを抱えていることを。
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『聖川華子の青春劇。』
聖川華子は今年夢ノ原学園の中等部三年生になる。
華子は小等部からの持ち上がりであるので内部でありそこそこ友人はいる、そう思うのが普通なのだが華子の場合は少し違っていた。
小等部を六年間通称“ぼっち”と呼ばれる人間であったのだった。
しかし中学に入りやっと友人と呼べる存在ができた。
そんな喜びを噛み締めるも二年が経ち早々受験生になってしまったのだ。
三年生は一番辛い時期だという。
新学期なのにモヤモヤして心が落ち着かない。
「はぁー。」
“憂鬱だ。”
そのようなことを通学中のバスの中で考えているとふと窓の外に目をやると満開な桜が道脇に並んでいるのが見えた。
あまりの美しさに悩みも吹き飛んで、座って硬くなった体を伸ばした。
4月になったと言うのにまだ肌寒くてコートから制服に変えようか迷う時期である。
私は今日から受験生だ、という意識も持たないまま学校に行こうとする自分がいる。
「大丈夫かな、私。」
と、呟いた瞬間。
ピロリン
スマホのメール受信音がなり、画面をつけてみるとそこには『春坂美雪』と表示されていた。
中等部に入ってからの最初の友達であり今では親友である存在である。
なんだろう、とメールボックスを開いてメッセージを読む。そこには
『早く、学校に来て!
めちゃくちゃ大変なことが起きてる!天変地異が起こるくらい!』
と書かれていた。
「え。」
なんだろうと思わず声を漏らす。
慌てて口を噤んで口元に手を添える。
美雪から朝にメールが来るなんて、とても珍しいことだ。
きっと何か、大変なことがあったのに違いない。
華子はそう思うとなんだか、さっきまでの不安が飛んでしまった。
(早く、行かなくちゃ。)
もうバスは終点の駅に着こうとしている。
中学生活最後の一年は不安がいっぱいだ。
怖い。心配だ。憂鬱だ。
それでも、頑張ってみないと、分からないじゃん。
そう思った華子は勢いよく立ち上がった。
これから始まる、大変な日々を知らずに。
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聖川華子
中学三年生。
中学まで友達がいなかった。ストイックな黒髪ポニーテールの女の子。
料理を含む家事全般が苦手。