あべこべワールド
プロローグで初投稿て書くの忘れてました初投稿です。この作品は作者の好きなものをすべて盛り込んだ作品です。「あべこべ×オネショタ×映画」今回映画要素はまだでませんがご容赦ください。
僕は奈落に落ちてしまった。
地獄とかではなく劇場の舞台床下にある大きな穴、舞台装置の奈落である。
深い穴に落ちたことで僕は命を落としてしまった。
命を落としても不思議なことにその先があった。おそらく自分のいた世界ではない別の世界に転生したのだ。
転生した世界は車や高層ビル、パソコンなど現代社会となんら変わらない技術と文明があるが。男女の比率が異なり男性の数が全人口の約二割ほどと少なく女性はその数少ない男性をものにする事に躍起になっている。そのため男女の貞操感や性欲も逆転しているようだ。
僕はこの世界に転生し十年になる。五歳頃から前世の記憶を湧き水のように少しずつ思い出し現在では自分が何者であったのかを完全に思い出せるようになっていた。
僕の前世は郷田甲二という男で役者一本では食べていけない売れない俳優。
二十八歳独身、個性的な顔をしていて太く垂れた眉毛にごつい輪郭で髪は角刈りにしていた。ブサイクといえばそこまでだがそれでも僕は自分の姿は嫌ではなく個性的だと思っていた。個性的だからこそ自分にしかできない役があるんじゃないかと演技の勉強をずっとしてきたし将来は個性派俳優として売れたいと思っていたが、舞台稽古の帰りにうっかり奈落に落ちてしまった。
転生後の僕はロア・グッドールという美少年だ。金髪のサラサラヘアーに眉は細く綺麗なアーチを描き青い瞳と白い肌、体の線は細くまるでファンタジーの住人だ。
前世では個性派俳優を目指していたが転生した今でも俳優としての夢は捨ててはいない。
個性派は狙わず子役としてまずデビューをするつもりだ。なにせ顔はファンタジークラスに整っているのだから可愛さで勝負するのが一番だろう。
芸能プロダクションの面接ではその場で合格だったしこの世界の男性タレントの貴重さは今だ計り知れない。
「ロアく~んそろそろ行こうか」
転生後の母が玄関で呼んでいる。僕はこれから芸能プロダクションの入所手続きに行くところだ。
「どう?緊張してる?」
「そんなに緊張してないよ大丈夫」
母の名はサーシャ・グッドール。綺麗な顔立ちにブロンドの長い髪、手足はスラリと長く身体は引き締まり二十五歳で僕を産み現在三十五歳ととても若々しい。
仕事はIT関連のベンチャー企業を立ち上げた社長である。この若さで起業し成功を収めるなんて優秀過ぎる人だと常々思うが、そんな母も僕にはデレデレだ。
「お腹減ってない?なにか食べていく?」
「大丈夫だよ早く行こ?」
少ししつこい所があるがそれもご愛嬌である。高級車に乗り込み芸能プロダクションに向かう。
「お母さんね、ロア君が俳優になりたいって言い出したとき運命を感じちゃったな~」
車を運転しながら感慨深そうに言う。
「え?」
「お母さんもね十歳頃に女優になりたいと思ってたんだよねー」
母が助手席に座る僕を笑顔で見ながら答える。
「お母さん前見て!」
その時信号機が赤になっていた。母は素早くブレーキペダルを踏んで車は急停止した。普段この時間帯はそれほど交通量も多くないが、もしもの事があってからでは遅いのだ。
「危ないよお母さん」
「ごめんね。お母さんちょっと浮かれてたね反省します」
正直驚いた。転生して十年でまた命を落とすのかとよそ見絶対ダメ。
それから母は徹底した安全運転で車を走らせる事三十分余り、予定していた時刻の午後三時に芸能プロダクション『アンタレス』に到着した。
ここまで読んでいただきありがとうございます。貞操逆転ってほんっとうにいいもんですね!