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映像特典の撮影と本性

洋画のDVDやBDについているメイキング映像って良いよね~

字幕がないと解らないけど…

リンダさんがハンディカメラを構え僕を捉えている。


「それじゃあロア君行きますよ。はい、スタート!」


僕もその掛け声を聞いてから一拍置き手に持ったマイクを構えてから喋りだす。


「皆さんこんにちは!第1回のビデオブログを案内するロア・グッドールです。今回はこの広い撮影スタジオの中を案内したいと思いまーす」


今回は僕とリンダさんで映像特典の一つになる『撮影現場の裏側』の素材を撮影しにきた。


一旦カメラを止めて製作スタジオの前から場所を変えて多数のトレーラーハウスの集まる場所に移動していく。


並ぶトレーラーハウスは主要キャストの宿泊施設兼待合室として使っている。出番の多い俳優は毎日自宅からスタジオまで通うのは面倒という事で製作スタジオ側から一人一台トレーラーを用意されている。


「じゃあここから撮影しましょうか」


「はい」


「じゃあ行きます。3…2…1…スタート!」


「まずはこのトレーラーハウスを紹介したいと思います。ここは俳優の宿泊施設として使っていて家が遠かったり翌日朝早くスタジオ入りしなくてはならない時などに使われます」


僕はトレーラーの扉の前に立つ。


「それじゃあ今からこのトレーラーハウスに入ってみましょう。ちなみにこのトレーラーは僕が使っています」


トレーラーハウスの中に入ると中はベッドやソファなどがあるワンルームでシャワーやトイレも完備されている。


「ここが僕の借りているトレーラーです。ここで待ち時間の時は学校の課題をこなしたり、映画などを見たりしています」


リンダさんがトレーラーの中をカメラで一通り撮影する。


「そんなに面白いものもないと思いますけど」


まじまじとカメラで部屋の中を撮られるのは少し気恥ずかしく感じた。


「綺麗に片づけてますね」


「借り物ですから汚す訳にはいかないですよ。それに僕は自宅がそれほど遠くではないのでまだ泊まった事はありませんよ」


「何か私物があれば見せて欲しいんですが……何かあります?」


「そうですね~携帯ゲーム機とかですかね。待ち時間が長いときはやりますけど私物自体まだそんなに持ってきていないのでこれぐらいですかね」


これと言って面白いものがなく盛り上がりに欠けてしまう結果となってしまった。


「なるほど。解りました。次に行きましょう」


リンダさんが一旦カメラを止める。


「すいません。あんまり面白くありませんでしたよね?」


「そんな事ないです。撮影は始まったばっかりなんだからモノが少ないのは仕方ないですしそれに仮の部屋だけど男の子の部屋が見れるなんて中々ない映像ですから」


僕たちはトレーラーの外に出て次に撮影するソフィアさんのトレーラーの前に移動する。





リンダさんがカメラを回したのを確認し僕が扉をノックする。


「ソフィアさーんトレーラーの中を見せてくださーい」


トレーラーの扉が開きソフィアさんが出迎えてくれた。


「ようこそ。どうぞ入ってー」


僕とリンダさんがトレーラーの中に入る。内装はどのトレーラーも大して変わらないがソフィアさんの部屋にはトレーニングに使うダンベルや健康に良さそうな野菜ジュースの箱が置いてある。


僕のトレーラーとは対照的で私物が沢山置いてある。印象としては健康に気をつけている感じがする。


「野菜ジュースの缶がいっぱいありますね好きなんですか?」


「そうなの、このジュースは私にとってなくてはならない大事なもので常に二箱はないと不安になっちゃうの」


「僕にも一つください」


「いいよ、冷蔵庫に冷えてるやつがあるから好きに飲んでいいよ」


「それじゃあいただきまーす」


僕は野菜ジュースを一口飲む。そのジュースはとても濃厚でドロドロとしていた。


「その……なんというか凄く濃厚ですね」


ジュースを飲んで率直に苦手だと思った。色んな野菜の味をこれでもかと凝縮したような感じで一度に大量に飲むと気分が悪くなりそうだった。


「でしょ?食事が偏ったりなんか物足りないときとかに飲むの。ロア君も何本か持っていく?」


「けっ結構です」


「あんまり口に合わなかったかな……」


「正直に言うとそうですね……ごめんなさい」


「気にしないで、私色んな人にこのジュース勧めたけど誰も好きとは言わなかったから」


「そうなんですか?」


ソフィアさんは嫌いな野菜はあるが野菜自体は大好きなようで僕の目の前であのジュースをガブガブと飲んでいる。


「無理に飲まなくていいからね。残してもいいからね」


「え?いやでも悪いですよ。僕の方から言い出したのに」


「そんなことないよ大丈夫だから」


「少しずつなら飲めるので何とか飲み切りますよ?」


少しやせ我慢することにはなるが少しずつなら大丈夫だろう。


「い、いやその……気にしないで?私が処分しておくからそこのテーブルの上に置いてって?本当大丈夫だから……ね?」


「そうですよ。ロア君が無理に飲んで気分が悪くなったらそれこそ一大事ですから」


「それじゃあ……お言葉に甘えますね」


僕は飲みかけの缶ジュースをテーブルの上に置く。


「それじゃあ僕たちはこの辺で」


「うん。またね~」


僕とリンダさんはソフィアさんのトレーラーを後にし次のトレーラーに移動する。





「次はこのトレーラーにお邪魔しましょう」


僕が軽くノックをすると中から「どーぞ」と声が聞こえた。僕とリンダさんがトレーラーの中に入るとそこには白いバスローブだけを着たシンディさんが片手にワイングラスを持って僕たちを出迎えた。ワイングラスの中には赤ワインが注がれてあった。


そのワイングラスを回すように揺らしワインの香りを楽しんでいるようだ。


「よく来たわね。さぁ中に入って」


「お邪魔します」


中に入ると棚やテーブルの上にお酒のボトルが所狭しと置いてあった。


「あの……いつもそんな恰好でいるんですか?」


「え?この格好?勿論そ~よ。私って素材の良いものじゃないと肌に合わなくって~このバスローブも海外から取り寄せた質の良いシルクで作られているのよ」


シンディさんがワインを一口飲む。


「でもついこの間、薄汚いスウェットとパーカーで飲んだくれているアナタを見ましたよ」


リンダさんがカメラを構えたまま過去の出来事を言う。


「え?何言っているの?そんな訳ないじゃない。勘違いされるような事言わないでくださる?」


「お高く留まったクールなキャラでいるのは辛いとか言ってたじゃないですか」


リンダさんが新事実を言い放つとシンディさんの表情に焦りが窺える。


「どうなんですか?」


僕はシンディさんにマイクを向け尋ねる。


「ロア君そんな訳ないじゃない。ちょっと勘違いしてるわ~」


また、ワインを一口飲むシンディさん。心なしかワインの水面が小刻みに震えている気がした。


「それと『クールなキャラの方が男にモテるから止めるに止められないし』とも言ってましたよ?」


リンダさんが畳み掛けるように暴露をする。


「そうなんですか?」


僕は改めてシンディさんに疑問を呈す。


「あの時は酔ってたし、自分でもその……あの……ちょっとカメラ止めろ!」


シンディさんが撮影を止めようと立ちあがる。


「ロア君逃げましょう!」


「ハイ!」


「まてコラ~」


リンダさんから撤退の指示がでる。僕もマイクを引っ込めトレーラーからリンダさんと共に退散する。


「よし、この辺でビデオブログを締めましょう」


リンダさんが走りながら僕に提案してくる。


「ハイ!第一回ビデオブログはここまで!それではまた!」


僕は締めの言葉を言いリンダさんがカメラを止めた。

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