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おかしな転生  作者: 古流 望
第19章 ファーストキスはチーズ味
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175話 迷い込んだ裏路地

 「皆、お疲れさまでした」


 悪夢の十日間を終え、モルテールン家の新人たちは、貴族街のモルテールン邸でペイスの労いの言葉を聞いていた。


 「お、終わったぁ……」

 「良かった。本当に良かった。うぅ」


 モルテールン家の新人八名。全員が揃って全身筋肉痛で、立っていることすら辛い状況なのだが、訓練の成果だろう、きちんと姿勢よく立っている。涙目ではあったが。


 「ヤント、それにアーラッチ。二人とも、いざという時に戦える力を養うということがどういうことか、分かりましたか?」

 「「はい、指揮官殿!!」」

 「訓練は終わったから、もうそのような返事は不要なのですが……まあ、当初のふざけた態度よりは良いでしょう。貴方達は、当家の従士となった以上、有事に際しては率先して戦いに臨むこととなる。そして残念な……僕としては本当に不本意なことに、当家が戦いに巻き込まれる可能性は、他家よりも高い。すなわち、いい加減な実力であったなら、貴方達は高い確率で死ぬということです」


 ペイスの言葉に、神妙に頷く若手たち。特にアルやヤントは入念に鍛えられたこともあり、訓練前にあったような“不良ファッション”のような雰囲気は綺麗さっぱり無くなっている。

 元々大した意思を持ってしていたことでは無かったのだろう。矯正するのも容易かったとは、副隊長の弁である。


 「死にたくないなら、そして従士を辞める気が無いなら、力を付けることです。戦う力は勿論のこと、情勢を読む力、周りの空気を読む力、情報を集める力なども大切。そして、いざという時に最高の状態を保てるよう、適度に力を抜く方法も覚えなくてはならない」

 「はい」


 もしもこの場にモルテールン家の先輩たちが居たら、どの口で言うのかと憤っていたことだろう。特に、周りの空気を読むことに関して、ペイスだけは説教できる立場にはないと皆が口を揃えるに違いない。

 もっとも、ペイス自身は「読めないのではなく読まないのです」と開き直ることだろうが。


 「貴方達は、普段の父親たちの“力の抜き方”のみを見て、色々と誤解をしていたのでしょう。彼らは力の抜き方についても一流ですから」


 人が便利な機械を手に入れたとして。例えばスマートフォンを手に入れたとして。最高性能がどれほど素晴らしく、理論値の通信環境が高品質であっても、それを常に維持できないなら無いも同じ。

 最高の通信速度が何ギガバイト秒、何テラバイト秒あろうと、咄嗟に取り出した時の速度が亀の歩みではストレスになる。圏外に居ては無用の長物。

 スパコン並みの計算速度を持っていようと、立ち上がりや再開までに何時間もかかるスマホなどゴミも同然。

 性能の良し悪しは、上限だけで決まるものではないのだ。


 人もまた同じであり、単に強いだけでは精鋭ではなく、その力を何時でも発揮でき、同時に柔軟性をもっていてこそ精鋭。敵というものは、試合の時のように面と向かって礼をしてから襲ってきてくれるものではないし、今から襲いますと教えてくれることも無い。襲われてから、ちょっと待ってください、は通用しない。

 そして、人間にはどうしても生物としての限界。疲労や体調の問題がある。毎日毎晩、不眠不休で居られる人間などは存在しない。

 高いパフォーマンスを維持しようと思うならば、どこかで張り詰めた弦を緩めなければならない。実力者とは、上手な“サボり方”を知る者のことだ。

 モルテールン家の古株の連中は、紛うことなく精鋭である。故に、オンとオフの切り替えも上手く、家に帰ればただのおっさんに早変わり。

 そんな“父親としての顔”しか知らないヤントやアルが、従士というものを“楽な仕事”と誤解していたのも、ある意味では仕方のないことだ。


 彼らの心根を見抜き、精鋭主義のモルテールン家に求められる水準がどういうものかを体験させたペイスもまた、非凡な指導者である。そして何より、“力の抜き方”についてはモルテールン家で誰よりも詳しい者でもあった。要は一番のサボり魔だ。ちょっと目を離すとすぐに厨房で趣味に走る。


 「さて、それではこれより三日間。貴方達にはその力の抜き方について学んでもらいます」

 「力の抜き方?」

 「ええ。当家の品位を貶めない限りは、自発的行動と独自裁量を大きく認める自由課題。早い話が、休暇を与えるので、その間好きに過ごしなさいということです」

 「「うぉおお!!」」


 徹底した鞭で心から反省させた後は、ある程度の飴を与えるもの。

 モルテールン領から出たことのないヤントを始め、王都には生まれて初めて来たという者が大半だ。自由に過ごしていいとなれば、実に心躍る。

 身体が筋肉痛でないならば、だが。


 「今日一日ぐらいはゆっくり体を休め、明日明後日と王都を散策してみるのも良いでしょう。見聞を広め、豊かな心を育み、王都での地理感や土地勘を養うのもまた仕事の内です。特別ボーナスも渡しておきますので、楽しんでください」


 皆を労いつつ銀貨を二枚づつ渡し、全員を見回したペイス。

 そして、非常に残念そうな顔をした。


 「ただ、僕はザースデンに戻らねばなりません。王都での滞在は、父様とコアントローが責任をもって取り計らってくれますので、後はそちらに任せます」

 「ペイスは……いや、ペイストリー様はどうされるのでしょうか」


 調教、もとい訓練の成果もあり、態度がしっかりと改まっているヤントが、ペイスに聞いた。自分たちと同じか、或いはそれ以上に訓練をこなしていたペイス。これで疲れていないというなら、本物の化け物だ。幾らペイスと言えど、休みの一つも取るはず。そう思っての質問だった。

 だが、一般人(ヤント)の想像力の上を行くのがペイストリーという異端児だ。


 「僕は、領地に戻って早速仕事です。シイツから、いい加減戻ってくるようにと連絡がありましたので。『戻らねえなら酒を全部飲んじまうぞ』と脅しを寄越してきたので、戻らないと、これ幸いと酒だるを空にしかねません」

 「え!? これから更に仕事ですか!!」


 これには新人全員が驚いた。

 多少の配慮があったとはいえ、過去腕に覚えのある若者たちの心を悉くへし折って来た、国軍の伝統ともいえる特訓をこなしながら、その上で更に仕事をしようというのだから。

 新人の中には、ペイスにはドラゴンの血でも混じっているのではないかと本気で疑い出したものまで居る始末。


 「全く、シイツは人使いが荒いですよ」


 自分のことは盛大に棚に上げて、従士長の人使いの荒さを嘆く領主代行。

 では、と言いおいて、新人たちの前から本村に帰っていった。


 「マジか……あんだけ訓練して、これから仕事って」

 「まあ、良いじゃないか。ペイス様はペイス様だし。前に親父に聞いたんだけど、あの人のやることをいちいちまともに受け取っていたら、体が三つあっても足りなくなるって話だし」

 「そっか……しかし、休みか。小遣い貰って、大手を振って休める!! 遊ぶぞ!!」


 若さの特権というものだろうか。

 筋肉痛も精神疲労もあるはずなのだが、いざ休みとなれば、楽しく遊べるとテンションが上がってしまう。

 新人全員が、差こそあれ皆テンションが高い。


 「王都でアクセサリーってどれくらいするかな?」

 「銀貨が二枚もあるし、結構買えると思う」

 「お金が余ったら、服を見ればいいわ」

 「おお、良いね。そうしよう」


 新人の女性陣は、早速王都散策の目的地を決めたようだった。

 彼女たちは村から碌に出たことが無いので、王都の装飾品の値段の高さを知らない。最低でも金貨が必要と知った時に彼女たちがどう驚くのかは、神のみぞ知る。

 もっとも、女性たちの買い物についていって、男を見せようと画策する者も居たわけだが、(スケベ)が泣きを見るのだけは確実だ。


 わいわいがやがや楽しそうにしている新人たちの中で、どうしようかと考えていたアーラッチに、ヤントが声を掛けた。


 「アル、ちょっと付き合えよ」

 「ん? 何かあるのか?」

 「兄貴が王都の情報を教えてくれたことがあるんだよ。オススメの場所を幾つか回るつもりだから、どうせなら付き合えよ」

 「お、良いね」


 ヤントの兄ラミトは、既にモルテールン家に雇われて従士として働いている。モルテールン家の“裏方”として重要な任務を担っており、他領の情報収集や、情報工作も多少嗜んでいる外務官。

 当然、行商人の身分として王都にも訪れており、数多くの“面白い場所”を知っていた。


 そして、兄貴という者は弟に対して常に兄貴風を吹かせたがるもの。帰省の度にヤントやルミといった弟妹(ていまい)に、自分のしてきた仕事の自慢をするわけだ。

 勿論機密情報は言わないわけだが、王都の楽しめるポイントをしたり顔で教える等は兄貴風を吹かせるに丁度良く、飽きを感じる程度には何度も話をされていた。


 「例えばどんなところ?」

 「メス猫の戯れ、って店はどうよ?」

 「どんな場所だ?」

 「何でも、シイツ従士長が常連になってるお店……って話なんだが。楽しい場所だってことしか知らない」


 ヤントもまだ若い。いや、幼いと言ってもいい。

 普通ならば遊び人が常連という時点で、そして店名のそれっぽさで、未成年が立ち寄っては重大な悪影響がある店だと気付きそうなものだが、彼には気付けない。

 尚、何故そんな場所についてラミトが知っているのかは本人の名誉のために秘密にするが、彼がヘタレで奥手な性格を治せていない事実から察して余りある。大体、おっさん連中が悪い。

 十代の男というのが大人ぶって色々なことの“経験者”ぶりたがるが、実は単なる耳学問というオチはありがちな話だ。


 「どんな場所か行ってみるか」

 「異議なし」


 ヤントとアーラッチが同期達と分かれ、連れ立って「メス猫の戯れ」に歩き出す。


 だが、三十分ほど歩いた時点で、両者の顔に不安そうな表情が浮かんできた。

 教えてもらった場所に近づけば近づくほど、不穏な気配がしてきたからだ。いや、正しくは若い青年達の目が泳ぐような光景が増えて来たというべきだろうか。

 如何にも徹夜明けと言いたげな、気だるげな雰囲気をした女性。それも肌の露出度合いの高い煽情的な格好をした女性たちがひょっこり立っていたり、人目もはばからずディープな絡み合いをしている男女の姿があったり、或いは筋肉の上に筋肉を着込んだような怖そうな男が睨んできたりと、中々にそれっぽい。

 一言で言うなら、非合法(アンダーグラウンド)な雰囲気。


 「あれか?」


 ようやく見つけたお店と思しき建物に着いた時、ほっとしたのが正直な感想。

 しかし、店を見つけたからと言って、そこが営業中とは限らない。

 まして、お天道様が高いところにあるうちは。

 “その手のお店”と知らずに訪ねた、二人が幸運だったのか、不幸だったのかはさておき、訪ねた店は閉まっていた。

 店の扉は鍵がかけてあるようで動かず、窓には全て木戸が下りているところから、まず間違いない。


 「あらん? 坊やたち、こんな明るい時間からうちに来るなんて、お盛んね」


 閉まった店の脇、掃き掃除をしていた女性が、ヤントとアルに声をかける。見たところ二十代後半か、或いは三十代前半といった感じ。色っぽさが見え隠れしつつも、昼間だからか寝起きのように気だるげにしている。


 「え? あの? ここの店って……メス猫の戯れ?」

 「そうよん。王都でも一番の娼館。貴族様から庶民まで、殿方なら誰でも素敵な一夜を過ごせる、夢のお城。まだお店を開けるには早いけど、坊やたちがどうしてもって言うなら、銀貨五枚で相手してあげるわよん」


 箒の柄に足を絡めながら胸で挟み、しなを作りながら擦りあげるような動作をして見せた女性。免疫の無い二人は、それだけでも真っ赤になる。思春期の純情少年など、百戦錬磨の商売女からすれば楽しいおもちゃだ。


 「お。俺らはそういうつもりじゃ無かったんで、し、失礼します!!」


 慌てて二人揃って逃げ出した。

 まさかそんな店だとは思っても居なかったわけで、不意打ちにも程があると内心で愚痴る。若干不自然な走り方になりながら走り去る少年達を見送る女性は、笑っていた。

 娼館に来たは良いものの、度胸が無くて逃げ出すような男は珍しくもないからだ。揶揄い甲斐のある子達だったと、掃き掃除に戻る。


 走り去った当の二人。

 娼館から離れた場所で、はあはあと意気を荒げながら、息を整えようとしていた。

 まさかこんなところで自主的な走り込みをやるとは思っても居なかったようだ。


 「くっそ、兄貴の奴、あんな店だったんなら、先にそう言っておけよ」

 「危うく、有り金全部巻き上げられるところだったな」


 ペイスから支給された特別ボーナスが、銀貨二枚。二人合わせて四枚だ。これで足りなかったからこそ正気を保って逃げて来られたが、足りていたらふらふらと女性の誘いに乗っていたかもしれない。それぐらい、あの手のお店の誘惑は強烈だ。

 尚、本当の料金は銅貨数枚からであり、銀貨五枚というのはぼったくり価格。要は冗談で遊ばれていたわけだが、二人ともそんなことには気が付かない。


 「で、ここは何処だよ」

 「さあ?」

 「おい、迷ったのか!? 道が分かってて走ってたんじゃないのか?」

 「んな余裕があるわけねえだろ!!」

 「どうするんだよ!!」

 「知るか!! とにかく、知ってる道を探してみるしかないだろう」


 一心不乱に走っていたことで、自分たちの現在位置を見失ってしまった二人。

 怪しげな雰囲気のする一帯で、迷子になってしまったわけだ。不安になるなと言っても無理がある。


 「とりあえず、こっちに行ってみようぜ」


 闇雲に歩いていても意味がない。

 幸いにして、王都であれば多少の高さがあればどこからでも王城が見えることもあり、目印には出来た。城を見ながら一定方向に歩けば、同じ道をぐるぐる回ることだけは無いはず。


 大体の方角を目途にてくてくと歩いていた二人だったが、そんな彼らの耳に、ふと女性が助けを求める声が届く。


 「おい、今の聞こえたか?」

 「ああ。誰か助けてって女性の声だった」

 「あっちだ!!」


 義を見てせざるは勇なきなり。国一番の勇者が立ち上げたモルテールン家に、臆病者は不要である。まして女性の危機を見過ごすような輩は、モルテールン家の恥。

 怪しげな店と店の間の細いわき道の、更に奥から聞こえて来たであろう、女性の声。

 それを頼りに裏路地を行けば、荒っぽそうな男達四人に囲まれる、若い女性が居た。

 おまけに、女性の服は乱暴に引きちぎられているようで、茶褐色の若々しい肌が露わになっており、それを見下す男たちの顔には、下卑た加虐を楽しむ欲望が張り付いている。

 男達は“まだ“服を着ていたが、どう見ても婦女暴行の現行犯だ。


 「んだあ!? 見世物じゃねえぞこらぁ!!」

 「邪魔すんなら殺すぞガキ!!」


 そして案の定というべきか、ある意味で標準規格(テンプレ)といえる型通りの脅し文句。少なくとも、男たちに礼儀正しさなどは皆無である。


 「助けてください!!」


 女性の声が、改めて裏路地にこだまする。微かに見えた希望の糸に、全力で縋りつく。


 「ヤント!!」

 「皆まで言うなよアル……お前ら、女性から手を放して大人しく立ち去るなら見逃してやるぞ!!」


 ヤントの言葉は、男達の嘲笑を煽るだけだった。

 まだ幼さの残る若い男の二人組だ。男達の方が数にして倍はいるし、喧嘩で場数も踏んでいる連中からすれば、二人組は身の程知らずも甚だしかった。


 「餓鬼がっ、正義の味方気取りの代償は、テメエの身体で払いな。骨の五、六本で勘弁してやる!!」

 「死ねや!!」


 臭そうな男達のうち、一人が女性を羽交い絞めで抑え、残りの三人で一斉に襲い掛かる。

 そんな暴漢に対し、十代の青年二人。明らかに劣勢。客観的にはそう見えただろう。

 だが、暴漢達にとって予想外だったのは、この二人もまた地獄の特訓を越えたモルテールン家の従士であったことだろう。

 伊達に地獄は見ていない。


 「せっ!!」


 物騒な世の中、剣は肌身離さず持っていたわけだが、その武器が本来の役目を果たす。

 散々に叩きこまれた剣術の冴えは、流石は一端の軍人と思えるだけの鋭さをもって強姦魔たちを切り裂く。

 都合三閃。それで十分事足りた。


 「ぎゃあ!!」

 「ぐえあっ!!」


 三人のうち、二人はあっという間に切り伏せられる。

 新人と言えど、飾りでモルテールン家に雇われているわけでもなく、遊びで幼少期より鍛えられていたわけでもない。まして、悪魔の特訓を経て一回りも二回りも成長しているのだ。

 町のチンピラ如きは、ヤントとアルにとっては物の数ではない。


 瞬く間にやられた仲間の姿を見て、暴漢達の残り二人は、慌てて逃げ出す。覚えて居ろという捨て台詞まで、在り来たりなものだったのは失笑ものだろう。


 「あの……ありがとうございました」


 助かったのは襲われていた女性だ。

 救いに現れてくれた二人の青年に対し、御礼を口にした。


 「大丈夫だった?」

 「はい」


 破られてしまった服の、ちぎれた部分で精いっぱい肌を隠しつつ、女性は気丈にも答える。

 これまた若い二人にとっては、目のやり場に困る光景だ。

 あさっての方向を向きながら上着を貸したアルの機転が無ければ、何時までも狼狽えていたかもしれない。


 「こんなところに女の子が出歩くなんて、危ないよ?」

 「そう……ですね」

 「何だか、事情がありそうだけど……良ければ、家まで送っていこうか?」


 肌の露出が著しい若い女性が、怪しい雰囲気の一帯を歩けばどうなるか。まだ日が高いとはいえ、あまり良い想像は出来そうにない。狼の群れの中に生肉ぶら下げて突っ込むようなものだ。

 だからこそ、女性を家まで送るという発想が自然に出て来た。アーラッチもペイスの薫陶篤きフェミニストである。


 「そうですね、お願いします。御礼もさせて欲しいですし」

 「そっか。それじゃあ送っていくけど、その前に」


 アルは、女性に対して、一呼吸置いた。


 「ここがどこだか分かる?」


 自分が迷っている最中だったことを、思い出したからである。


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表紙絵
― 新着の感想 ―
[一言] 時間経過の描写が無いため日を跨いではいないとすると、二人とも全身筋肉痛のまま暴漢を退けたのはすごいな。
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