8ポイント目「宴の前」
騒ぎまくっているテーブル付近の探検者達、顔が引きつっている買い取りカウンターの男職員・・・うん、こりゃまずい事になったな?
査定が終わりこちらへと
「 ウ・・ウルフベアのか・・か・・買取になりますが目立った外傷もほとんどないので大金貨8枚にニャります 」
と言ってくる男の職員さんだが・・うん・・・ドモってるし噛んでるしやっぱり問題あるところか・・・
こういう場合の円滑な他の探検者やギルド職員への付き合い方を考えると・・・
大金貨8枚を受け取りつつ
「 すいません、あそこの食堂で売ってるものでテーブル席に座ってる人数とギルド内の職員さん分の食べ物や飲み物買ったとして大金貨1枚で足りますか? 」
「 は・・・はい、たりますが? 」
テーブル席の人達は俺がこの職員さんと何を話しているのか興味津々のようだ・・・今も声を押し殺してこちらに聞き耳を立てようとしている人がちらほらいるし・・・
あ・・・あの人は確か・・・
「 ボドルさん、ちょっとこっち来て!! 」
「 へっ? 」
テーブル席で他の人と同じように聞き耳を立てていたシーフ風の朝ぶっ飛ばされていた人が目に入ったのでちょっと呼んでみる。
周りをキョロキョロ見つつ他の人からの”早くいけ”の空気のプレッシャーに耐えられずこちらへと諦め半分で頭を掻きながらトボトボ歩いてくるボドルさん。
「 ル・・・ルーキーが俺にな・・なんのようだ!! 」
「 はい、これから少しの間かもしれませんが皆さんにお世話になるので仲良くしてもらおうと思っていますのであの食堂に言ってここで宴でもしましょう!!費用はこれでどうぞ!! 」
そう言って大金貨を一枚投げ渡す。
最初何かわからないようだったが受け取った物を見るとワナワナし始めた・・・
「 おい、お前ら!!このルーキーが今日宴会を開いてくれるってよ!!”ドワーフの酒樽”亭で注文してここで宴会だァーーーーー!! 」
「「 おぉぉぉぉぉぉおおおっぉぉぉぉぉぉぉ!! 」」
ギルド内が喜びの声で騒がしくなった、てかこの時間にギルドの中にいるなんてあんたら依頼は終わったのか?
まあこちらからの申し出で空気が違う方向にいってよかったな・・・と思っていると不意に自分の背後に気配を感じ振り返った。そこには威圧感のある右目に眼帯をつけた白髪の自分より身長の高い筋肉質の老人がつったっていた・・・怖い・・・。
ロボ・・・威嚇するのはやめような・・・。
「 坊主がシンジだな?なるほどリュミが期待の新人というだけはある。なかなかいい眼をしている 」
「 ど・・どうもありがとうございます 」
「ほう・・・謙虚だな、ますます気に入った!! 」
そうこう話していると事務カウンターに座っていたリュミさんがクエストカウンターに座っていたお姉さんと一緒にこちらまでやってきた。
「 ブリック支店長、シンジ君が宴会開いてくれるらしいんですけど・・・許可いただけますか? 」
「 ほう、坊主のおごりか・・・おごりでダメと言う事もなかろう? 」
そう言うと騒いでいるギルド内に身体を向け
「 貴様らーーーーよーーーーく聞け!!新人であるシンジが今日自分の新人歓迎会も兼ねた宴会を開いてくれるそうだから知り合いも呼んで大いに楽しめ!! 」
「「 ブリックさん直々のお許しも出たぞっーーー!! 」」
ますます熱くなるギルド内うん大金貨一枚で足りるのかわからなくなってきたな・・・
「 まぁ宴会になると行動力の速い奴が3人は居たからもう注文なんかをしに走っているだろう。坊主、ちょっとだけ俺のとこで話を聞いてもいいか? 」
慌ただしい1階を後にして2階にあるギルドマスターの部屋に通された。部屋の中は随分と簡素でギルドマスターのでかい机と応接用の高級そうな机としっかりとした作りの椅子に本棚が3つ並ぶ壁以外には目立つような物もなく随分と簡素な部屋だった。
少し部屋の中を見回しているとギルドマスターから椅子に座るよう勧められ座ったところで対面にギルドマスターも腰を下ろした。
ギルドマスターが座ったところで自分の横にロボも腰を落ちつけた。
「 まぁとって食おうというわけじゃないから安心せい、坊主・・お前、誰か師匠はいるのか? 」
「 はい、ギルドマスター。自分は昔から祖父と暮らしていたんですが狩りや自給自足の仕方は祖父に習いました 」
「ギルドマスターはよせ、堅苦しくて職員以外からはその職名で呼ばれたくないからの。ワシの事は”ブリック”でよい。して、そのお前さんのじいさんの名前はわかるか? 」
「 名前はわかりませんが祖父からもらったナイフならあります。はい、これです 」
そう言ってナイフをブリックに渡す。
ナイフを手にとった”ブリック”ギルドマスターはナイフを見て驚いた顔を一瞬だけしてナイフをこちらに返してくれた。
「 坊主はシンジという名前だったな?じいさんとはふたり暮らしだったのか?父ちゃんや母ちゃんはいなかったのか? 」
「 実は物心着いた時から祖父と二人で暮らしていて父や母の事は知らず、昔祖父からお前の親はお前を守るために魔物の餌食になってしまったと聞かされたことがあるくらいで・・・ 」
「 そうか・・・悪い事を聞いたな。じいさんは生きているのか? 」
「 それが・・・5日前に亡くなってしまって・・・ 」
「 重ねてすまんな・・・ご両親もお爺さんもセイカキーレ様の元に帰ったことだろう。もう行っていいぞ、すまなかったなわざわざ部屋にまで来てもらって、明日からも頑張って依頼をこなしてくれい!! 」
「 こちらこそ、貴重な時間を割いてしまい・・では失礼します 」
そう言い部屋を後にするシンジとロボ。
シンジが出て行ったのを確認したあとで自分の机の椅子に座り何かを考えるように窓の外を眺めながらブリックはポツリとつぶやいた。
「 ライアン騎士団長・・・あなたのお孫さんなんですか? 」
それはこの国の隣国「セルファート王国」の騎士団長を勤めていたライアン・アル・ブラフォードの事を指していた。
その名前が出たのもブラフォード家の家紋である剣を脚で掴む鳥が描かれたナイフを見たからだった。
通貨価値早見表
大が500円玉サイズ 普通のは10円玉サイズ
銅貨=10 大銅貨=50 鉄貨=100 大鉄貨=500
銀貨=1000 大銀貨=5000 金貨=10000
大金貨=100000 黒金貨=1000000
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